舞台『囚われのパルマ』大阪で開幕!太田基裕らがゲームのビハインドストーリーを濃厚な人間ドラマに


2019年6月22日(土)に大阪・サンケイホールブリーゼにて、『囚われのパルマ -失われた記憶-』が開幕した。本作は、カプコンからiOS/Android向けに配信されているゲーム「囚われのパルマ」の初舞台化作品。初日前日には、囲み会見と公開ゲネプロが行われ、出演者より太田基裕、前島亜美、悠未ひろ、村上幸平、間慎太郎、石橋徹郎(文学座)が登壇し、初日に向けた意気込みを語った。

「囚われのパルマ」は、ある孤島で記憶喪失となった青年の、心と記憶を紐解いていく恋愛アドベンチャーゲーム。スマホの画面を通して“ガラス越し”に交流しながら、深い恋愛を描くという表現が高く評価されている作品だ。現在までに「ハルト編」と「アオイ編」、昨年12月には最新作「囚われのパルマ Refrain」が配信された。今回の舞台は「ハルト編」の主人公・ハルトが“あなた”に出会うまでのビハインドストーリーとなっている。脚色・演出はカリニカが担当。

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【あらすじ】
閑静な場所にある大手製薬メーカー「シーハイブ製薬」の開発研究所。
ハルト(太田)は、そこで先輩の久保田佑(村上)や郷田(山岸拓生)、同僚の山辺航(清水一希)、後輩の島本拓海(瑛)など数名の研究員たちと共に日夜研究に勤しんでいた。彼らは、よく小林祥子(頼経明子)が切り盛りするカフェに集っていたが、ハルトはあまり馴染んでいなかった。そこへ、海外の製薬会社から女性研究員・篠木文乃(前島)が派遣されてくる。篠木にはある目的があるようで・・・。

そして、裏ではエリート政治家・八木沼剛志(間)やシーハイブ医療センターの看守・狩谷(悠未)が動き出す。そんな中、研究所所長である政木(石橋)から新薬プロジェクトを立ち上げが発表される。これをきっかけに、ハルトを待ち受ける運命の歯車が、少しずつ動き始めるのだった――。

ハルト役を演じる太田は、本作がゲームの“前日譚”であることから「ハルトという人物がどのような環境で、どのような人生を歩んできたのか。そこにスポットを当てながら、今回の物語は進んでいきます。ゲームをやったことがない方にも、ぜひやってみたいと思っていただけるようにしたいです」と挨拶。

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篠木役の前島は、もともとゲームを知っていたそうで「周りでもとても人気のある作品だったので、携わらせていただけてすごく嬉しいです。舞台化が発表された時、ファンの方はどうやるんだろう?と思われたかもしれませんが、舞台で初めて『囚われのパルマ』に触れる方にも、原作ファンの方にも楽しんでいただける内容になったんじゃないかと思います」と、仕上がりに太鼓判を押す。また、舞台のオリジナルキャラクターとして物語の鍵を握る役を「原作の繊細で美しい物語のように、細かく丁寧にお芝居を作ることができました。製薬会社のお話なので、実験や開発をする際の手の動きなども一つ一つ考えて作ってきたので、注目してほしいです」とアピール。

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悠未が演じる看守・狩谷はゲーム内にも登場し常にハルトを監視している人物だが、舞台では・・・。悠未は「ゲームという平面のものを、生身の人間が演じることで立体化させていく作業が、難しくもあり、楽しくもありました」と振り返りつつ、「台本上だけでは読み込めない部分もたくさんあったので、キャスト同士で話し合ったり、芝居をぶつけ合ったりして、助け合いながらセッションできる濃い時間でした。この物語に生きた人間が魂を吹き込んだ時どうなるのか、楽しんでいただけたらと思います」と充実した稽古場であったことを明かした。

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村上が演じるハルトの先輩研究員・久保田と間が演じる政治家・八木沼は共に舞台のオリジナルキャラクター。村上は「原作のファンの方にも愛してもらえるように、空気感を壊さぬよう、かつ、良いスパイスになれたらと思って役を作ってきました」、間は「ものすごく出世欲の強い政治家の役なので、演出のカリニカさんと“とにかく悪く”“とにかく強く”を追求してきました」と、それぞれゲームの物語をより掘り下げるための人物作りをしてきたようだ。

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そして、石橋が演じる政木は、ゲームの後半に「ハルトを“よく知る”人物」として登場するキャラクター。石橋は、事前に原作・監修のカプコン側からゲーム内には現れていないような細かな設定などを渡されたそうで、「政木という役も、文字としての情報を人間の身体を通すことで生まれる熱や感情がありました。観に来てくださる皆さんに、間違いなく“ここに実在する”ことを伝えて、よりゲームを身近に感じてもらえる舞台にしたいです」と静かに語った。

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シリアスなストーリーで、密な稽古が重ねられてきたことを伺わせる作品だが、キャスト同士はいたって和やか。ひょんなことから、太田は5月28日に更新したブログで注目していた「ポケットから携帯を出すのがカッコよすぎる悠未の姿」を再現することに。キマった・・・かと思われたが、少しミスっていたことを石橋にツッコまれ大慌て。当の悠未はしきりに照れていたものの、舞台上でもその「カッコよすぎる携帯の取り出し方」はしっかりと披露されていた(太田・石橋曰く「風を感じる」そう)。

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最後に、太田は「この物語がどうお客様の元に届くのか、どう感じてもらえるか。舞台は、お客様に来ていただいて成立するものだと思っています。毎公演、来てくださるお客様に感謝しながら、板の上で、誠意を持ってがんばっていきたいと思います。大阪の初日から東京の千秋楽まで、キャスト一同がんばっていきます」と締めくくった。

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ハルトはなぜ、孤島の収容施設に囚われているのか・・・。ゲームを彷彿とさせる冒頭シーンから、物語は徐々にハルトの過去へと遡っていく。あまり感情を表に出すことがなく、無口であまり人との交流を得意としないハルトを、太田は丁寧に、細やかに表現する。目に宿る光の加減やためらいがちな視線の行方に込める、言葉になりきらないハルトの感情。記憶のある本来の「ハルト」がどんな人物だったのか、ゲームの物語に過去が出来ていく。

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前島らが演じる舞台のオリジナルキャラクターたちを含むそれぞれに物語があり、絡み合い、登場人物一人一人に人間味が増し、血が通う。遺伝子配列を模したような舞台セットの、一部が欠落している様がどこか悲しく映った。ゲーム内のハルトを知っている人も、これから出会う人も、「囚われのパルマ」という作品が持つ濃厚な人間ドラマを存分に楽しめる仕上がりだ。

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舞台『囚われのパルマ ―失われた記憶―』は、以下の日程で上演。上演時間は、約150分を予定。

【大阪公演】6月22日(土)・6月23日(日) サンケイホールブリーゼ
【東京公演】6月27日(木)~6月30日(日) シアター1010
※大阪公演6月23日(日)12:00公演、 東京公演6月30日(日)12:00公演では、終了後にトークショーを実施

【公式HP】http://palm-stage.com/
【公式Twitter】@palm_stage

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(取材・文・撮影/エンタステージ編集部)

 

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