松本白鸚『ラ・マンチャの男』50周年は「奇跡に近いこと。まっさらな気持ちで挑む」


2019年9月より、日本初演50周年を迎えるミュージカル『ラ・マンチャの男』が上演されるが、それに先駆けて製作発表会見が行われ、東宝株式会社取締役演劇担当の池田篤郎のほか、キャストの松本白鸚、瀬名じゅん、駒田一、松原凜子、宮川浩、上條恒彦が登壇した。

1969年に市川染五郎(現 二代目松本白鸚)主演で初演されて以来、50年にわたり上演され続けてきた本作。松本は初演以降、セルバンテス/ドン・キホーテ役を演じ続け、本公演で通算上演回数1,300回を迎える予定である。

012216_02.jpg

これについて松本は「皆様と一緒に今日の日を迎えられたことは自分にとって奇跡に近いことです。東宝さんがまた自分に声をかけてくださったことに対して、感謝の言葉だけでなく、俳優として演技でお礼をしていきます。まっさらな気持ちで『見果てぬ夢』を歌い、悲しみを希望に、苦しみを勇気に変えていきたいと思います」とコメント。

012216_03.jpg

『ラ・マンチャの男』初出演となるアルドンザ役の瀬奈は、以前自身が観劇した際に「終演後にはあまりの感動に涙が止まらず、心が震え、立ち上がれないほどの感動がありました」と明かし「あの時に客席で感じた感動を忘れず、魂を込めてアルドンザ役を演じたいと思います」と語った。

012216_04.jpg

2009年よりサンチョ役を、それ以前は床屋役、ラバ追い役なども演じてきた駒田。「1995年から本作に関わらせていただいていますが、出演のお話をいただいた時から、どんな時も心にこの作品がありました」と話し、松本が2018年1月に松本白鸚の名を襲名したことにも触れ「昔から”旦那様”と呼んでいたので、名前が変わられても、このまま”旦那様”と呼べるのがありがたいです(笑)」と会場の笑いを誘った。

012216_05.jpg

瀬奈と同じく今回が本作初出演となるアントニア役の松原は「初めて観劇した時は学生で、まだミュージカルの舞台にも立っていない頃でした。当時は自身の進むべき道について迷っていたのですが、劇中の『あるべき姿のために戦わないことは、愚かなことだ』という台詞に感化され、私も自身の夢のために戦っていこうと思えました。50周年の節目に参加できることはとても嬉しいですし、稽古の時間を一瞬たりとも無駄にせず、大切にしていきたいたいです」と、出演への喜びを語った。

012216_06.jpg

「前回初めて参加させていただき、見えない中で必死にもがき苦しんでいた」と振り返るのは、2015年より出演しているカラスコ役の宮川。「この舞台にもう一度立たせていただいて感謝の気持ちでいっぱいです。この作品、ともかくすごいんです。見てもやっても。だからこそ、50年も続いてきたんだと思います。楽しんで演じていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします」と作品をアピールした。

012216_07.jpg

牢名主役の上條は「出演者の中で最高齢となってしまいました(笑)」と笑いをとりつつ、本作について「時代を超越したテーマを持っており、作品が持っている雰囲気や風格が50年前と変わらず現代にも伝わる素晴らしいミュージカルです」と『ラ・マンチャの男』への信頼を明かした。

012216_07.jpg

1965年に『王様と私』初ミュージカル出演を果たした松本。「当時は歌舞伎から22歳の若者がミュージカルに出演することはなかったですし、日本にミュージカル自体が普及していませんでした」と当時を振り返り、当時の東宝の演劇担当取締役で、劇作家の菊田一夫から「日本にミュージカルが根付くまで、続けよう」と背中を押されたことを語った。

そして菊田と父である初代 松本白鸚の出会いが『ラ・マンチャの男』に続いていることに思いを馳せ「『見果てぬ夢』は菊田先生、そして父である初代 松本白鸚へのレクイエムのつもりで歌っています。50年前とは打って変わり、毎日日本のどこかでミュージカルが上演されていること、菊田先生も喜んでいることでしょう!」と熱い思いを明かした。

2002年からは演出も担当している松本だが”演出家 松本白鸚”に対して、駒田・宮川・上條の3人は「作品を俯瞰で見、全てのことを把握しながら演出していらっしゃいます」(駒田)、「すべてを見透かされている感じがしますし、いい緊張感、そしてワクワクドキドキを持つことができます」(宮川)、「稽古場が、すごく素敵ですね。松本さんの演出の元、役者が集中しているんです」(上條)とそれぞれコメントを寄せた。

会見の最後には松本が「過去を振り返るときりがないですから、常に先を見据え、毎日がクライマックスだと思いつつ演じていきたいと思っています。何か一つ心に響くようなものを与えられれば幸いですし、ラ・マンチャの精神がいつの時代も生き続けていって欲しいです」と締めた。

ミュージカル『ラ・マンチャの男』は以下の日程で上演される。

【大阪公演】9月7日(土)~9月12日(木) フェスティバルホール
【宮城公演】9月21日(土)~9月23日(月) 東京エレクトロンホール宮城
【愛知公演】9月27日(金)~9月29日(日) 愛知県芸術劇場大ホール
【東京公演】10月4日(金)~10月27日(日) 帝国劇場

【公式サイト】https://www.tohostage.com/lamancha/index.html

(取材・文・撮影/エンタステージ編集部)

チケットぴあ
最新情報をチェックしよう!
テキストのコピーはできません。