横山裕主演『北齋漫畫』開幕!森羅万象、この世のすべてを描くことに生涯をかけた葛飾北斎の物語


2019年6月9日(日)に東京・グローブ座にて、舞台『北齋漫畫(ほくさいまんが)』が開幕した。本作は、劇作家・矢代静一の戯曲で、葛飾北斎の物語を描いた作品。演出家・宮田慶子の演出により関ジャニ∞の横山裕が主演を務める。

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昭和から平成にかけての演劇界を牽引し、現在まで上演されつづける名作の数々を世に送り出した劇作家・矢代により1973年に発表された本作。葛飾北斎の画集を冠し、北斎と同時代に生きた曲亭馬琴や自身の娘である葛飾応為、養父であった御用鏡磨師の中島伊勢、そして謎の女との交流を軸に、この世のすべてを描くことに生涯をかけた北斎の物語が繰り広げられる。

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緒形拳が主演を務めた初演は高い評価を受け、その後には『Hokusai Sketch Book』として翻訳され米国でも上演。1981年には新藤兼人の脚本・監督、豪華キャストの出演で映画化もされた。その名作を、日本の演劇界を代表する演出家・宮田が初の顔合わせで横山を主演に迎え、新たな形で現代に甦らせる。

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主人公・葛飾北斎役の横山のほかに、北斎を惑わす魔性の女・お直役に佐藤江梨子、曲亭馬琴役に木村了、お栄(葛飾応為)役に堺小春、馬琴の女房・お百役に枝元萌、馬琴の下駄屋の丁稚・伍助役に吉田健悟、北斎の養父・中島伊勢役に渡辺いっけいといった個性豊かな顔ぶれが揃った。

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物語の始まりは、伊勢の豪邸内。後に葛飾北斎と名乗ることになる鉄蔵は江戸下町の貧しい家に生まれたが、伊勢の養子になる。鉄蔵は持ち前の絵の上手さから絵師の弟子となるものの、幾人もの師から破門されてばかりいた。そんな中、不思議な魅力を持つお直に惚れ込み絵を描いていた鉄蔵は、お金をせびる目的で伊勢にお直を紹介する。伊勢もたちまちお直の魅力にのめり込むが、魔性な心を掴めずにやきもきしていた。そしてある日、鉄蔵と伊勢はお直に呼び出された場所で下駄屋の丁稚である伍助といるお直を目撃し・・・。

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“北齋漫畫”の“漫畫”とは、劇中でも説明されるが、いつかちゃんとした絵を描くために森羅万象を漫然と書き留めた絵のことで、スケッチブックのような意味合いだという。ステージ上には上段と下段に複数の障子が配されている。その障子は役者の出入りにだけでなく、巨大なスケッチブックの1ページのように用いられ、そこに北斎の代表作を次々と映し出すことで、観る者を一気に北斎の生きた江戸時代へと引き込む。

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鉄蔵から北斎へと半世紀に渡る人生に対峙し、演じ切る主演の横山。破天荒に時代を駆け抜けた北斎の心の交流と生き様を、鬼気迫るまでの激情と共に迫真の演技で鮮烈に舞台上に浮かび上がらせる。関ジャニ∞のメンバーとしての活動する横山の、また違った新たな姿がそこにある。

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男を手玉に取るお直を演じる佐藤は艶やかに、そしてなまめかしく舞台の上に花を添え、お直に翻弄される伊勢役の渡辺の滑稽な振る舞いは笑いだけでなくどこか哀愁も誘う。そして、身勝手な北斎に振り回され、時に反発しながらも手を差し伸べるお栄と馬琴を堺と木村が好演。そんな二人の、すれ違いながらも重なる心の機微も見どころとなっている。

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森羅万象、この世のすべてを描くことに生涯をかけた葛飾北斎の物語。昭和に名を残す名作を、この令和の時代に横山が舞台という名のスケッチブックにいかにして描ききるのか。

なお、初日を迎えて横山よりコメントが寄せられたので、以下に紹介する。

◆横山裕(葛飾北斎役)
初日を迎えるにあたり、改めて、『北齋漫畫』という名作に出演できる喜びと感謝でいっぱいです。葛飾北斎という歴史に残る偉大な人物を演じるにあたって、稽古では大変な思いをし、壁にもぶち当たりましたが、なんとか無事に初日を迎えることができました。ご覧になるお客様に、横山が演じる北斎の魅力を感じていただけるよう、日々精進します。
また北斎だけでなく、渡辺いっけいさんら、出演者の皆さんが演じられる登場人物も素敵な魅力を持っているので、それぞれの生き様も観ていただければ。
令和に甦る『北齋漫畫』、楽しみにしていてください。

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舞台『北齋漫畫』は、7月7日(日)まで東京・グローブ座にて上演。上演時間は、1幕80分、休憩20分、2幕70分の約2時間50分を予定。

(取材・文・撮影/櫻井宏充)

 

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