平成最後の『アニー』開幕!時代も世代を超えて愛され続けるミュージカル


世界大恐慌直後の米国・ニューヨークを舞台に、孤児院で元気に生きる少女を主人公にしたミュージカル『アニー』が2019年4月27日(土)に東京・新国立劇場で開幕した今年で34年目となる『アニー』は、2017年に山田和也を演出に迎えて、舞台美術などを一新している。初日前日には公開ゲネプロと囲み会見が行われ、アニー役をWキャストで演じる岡菜々子と山崎玲奈、ハニガン役の早見優、ウォーバックス役の藤本隆宏が登壇した。

初日に向け、岡は「お稽古があっという間で、本番を思うとお腹が痛くなるんですけれど、みんなが楽しくお話をしてくれて緊張がほぐれるので、最後までがんばっていきたいと思います」、山崎は「初めて主演するミュージカルなので、お客さんに自分のアニーを伝えられるようにがんばります!」と笑顔で挨拶。

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『アニー』初参加となる早見は「いよいよ明日だなとワクワクする気持ちとすごく楽しみだという気持ちでいっぱいです。2カ月お稽古で皆さんとご一緒させていただいて本当に楽しかったので、早く皆様に楽しんでいただけたらと思います」と気合十分。

藤本は、これが3度目の出演。「キャストが変わっていたり、新しい演出がたくさんあります。演出家の山田(和也)さんも今まで気づいていなかったこともあったそうで、作品はまったく違うものになっています。特にこの二人(岡、山崎の肩に手を乗せて)の歌声が素晴らしいし、素直に芝居をする姿が子どもらしく、アニーらしいです」と3度目の出演だから感じたことをアピール。

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そんな二人は、普段の仲について問われると、お互い顔を見合わせて「周りには仲がいいって言われますけど、どうかな~」とニヤニヤ。すかさず早見が「すごく仲がいいじゃない(笑)」とツッコミを入れると、「そういうことにおこう!」と言って会場を笑わせた。藤本は「主役をやっている大変さをお互い共有して、二人で励まし合っているんでしょうね。それが見ていて微笑ましいです。我々から見たらすごく仲がいいと思うよ」と優しげな眼差しを向けた。

今回初めて意地悪な役に挑戦をする早見は「話し方など、いろいろアドバイスをいただいたので今ではすっかりハニガンが降りてきて、普段からすごく意地悪な感じになっているかもしれない・・・。でも、役としては楽しいです」とコメント。藤本が「早見さんのハニガンは、まさにアメリカ人が演じているようにキュートでセクシーなところがあるので、まるでブロードウェイで見ているように感じる」と絶賛すると、早見は「藤本さんは本当に優しくて、みんなにねぎらいの言葉をかけてくださって、いつも褒めてくださるんですよ」と笑顔で、カンパニーの雰囲気の良さを感じさせた。

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最後に、藤本は「子どもたちががんばっている姿を見て、我々大人もがんばろうという気持ちになれる素敵なミュージカル」と、『アニー』の魅力を熱く語る。早見も「アニーを筆頭に、強く生きていく女性の物語でもあります。楽曲も本当に素晴らしいですし、どの曲もすごくときめくしワクワクします。ぜひ皆さんに楽しんでいただきたいと思います」と太鼓判を押した。

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ゲネプロには、岡がアニーを演じる「チーム・バケツ」のキャストが登場(山崎は「チーム・モップ」)。オープニングでオーケストラが『Tomorrow』のメロディーを奏でると、一気に『アニー』の世界へ。始まりは1933年のニューヨークにある孤児院の一室。世界大恐慌直後の暗い世の中だが、孤児院にいながらも明るくたくましく生きるアニー(岡)は、亡くなった母親を恋しがって泣く小さい子どもに寄り添う優しい少女だ。11年前孤児院に置き去りにされ、孤児院を牛耳る院長ハニガン(早見)にこき使われながらも、いつか両親が迎えに来てくれると夢見ている。

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ある時、大富豪オリバー・ウォーバックス(藤本)の秘書グレース(蒼乃夕妃)に気に入られたアニーは、クリスマスの2週間をウォーバックスのもとで過ごすことに。共に時間を過ごす中で、ウォーバックスは「アニーを養女にしたい」と思いはじめるが、アニーには諦められない夢を抱いていた。その気持ちに心を打たれたウォーバックスが動き出す。ところが、それを知ったハニガンと弟ルースター(青柳塁斗)とその恋人のリリー(服部杏奈)が、悪だくみを始めて・・・。

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オーディションでアニー役を勝ち取った岡は、透き通るような歌声がとても魅力的。はつらつとした表情がアニーのイメージにぴったりで、見ていてすがすがしい。一方で、子どもっぽいかわいらしい演技の中にコケティッシュな表情を見られ、特に一緒に映画を観に行きたいために、仕事の電話をしているウォーバックス(藤本)にプレッシャーをかける時の表情がおもしろい。

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また、アニーの相棒となる犬サンディは、これまで大型犬が演じてきたが、今回から小型犬に変更されている。イメージが変わるのではと思いきや、アニーと並んだ時のバランスが良く、視覚に新鮮さをもたらした。

アニーの運命を変えるウォーバックスを演じる藤本は、たった一人で財を成した気難しく不器用な男性を丁寧に演じる。秘書のグレース(蒼乃)のフォローを得て、少しずつ少年のような無邪気さ、時に戸惑いや寂しげな表情を見せるなど、心境の変化を分かりやすく表現。アニーと二人で歌い踊るシーンは微笑ましく、胸にグッとくるものがあった。

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一方、ハニガン役の早見は、これまでの彼女のイメージを覆すような見事な意地悪っぷり。しかしどこか憎めず、弟のルースター(青柳)とその恋人リリー(服部)、3人で歌い踊るシーンは、早見の魅力の一つでもある早見のスタイルの良さにより、立ち姿の美しさが際立った。

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暗い時代のニューヨークが舞台だが、希望に満ちた物語と『Tomorrow』をはじめとした素晴らしい楽曲の数々、そして、何より子どもの元気な姿が『アニー』の世界を鮮やかに彩っていく。きっと、子どもも楽しめて、大人にも大切なことを思い出させてくれる時間となるだろう。

丸美屋食品ミュージカル『アニー』は、5月13日(月)まで、東京・新国立劇場 中劇場にて上演。上演時間は、第1幕70分、休憩20分、第2幕55分の計2時間25分を予定。

【公式HP】http://www.ntv.co.jp/annie/

※山崎玲奈の「崎」は、「大」の部分が「立」が正式表記

(取材・文・撮影/咲田真菜)

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