鈴木拡樹「新たな可能性を秘めた『サイコパス』に」『舞台 PSYCHO-PASS』まもなく開幕!


2019年4月18日(木)に『舞台 PSYCHO-PASS サイコパス Virtue and Vice』が東京・日本青年館ホールにて開幕する。本作は、人々の精神が数値化される近未来で、正義を問われる刑事のドラマを描くアニメーションシリーズの舞台化作品。シリーズの脚本を手掛ける深見真が舞台版に書き下ろしたオリジナルストーリーを、アニメの劇場版では総監督を務めた本広克行が演出。公安局刑事課三係を舞台に、オリジナルキャラクターたちによるストレートプレイに仕上げた。初日前日には公開ゲネプロと囲み会見が行われ、演出の本広と、出演者より鈴木拡樹、和田琢磨が登壇した(以下、舞台・原作アニメ共に『サイコパス』と表記)。

鈴木が演じるのは、刑事課三係に所属する監視官・九泉晴人(くせんはると)役。開幕に向け、鈴木は「稽古場でも、早く舞台上に上がりたいという気持ちがすごく強かったです。とてもたくさんの照明と映像を駆使しているので、想像するしかなかったことが劇場に来て分かり、場当たりの中でもたくさんの発見がありました」と語った。

アニメが原作ではあるが登場人もすべてオリジナルということで、実際の稽古の中での変化も大きかったという。「キービジュアルを撮影していた頃に受けた取材の記事を読んだ方には謝りたいなと思うのですが(九泉の)性格が180度反転しまして・・・。さわやかという感じでもないですし、新人の監視官という感覚もない状態に仕上がったかなと思います。でも、それが楽しくて(笑)。そんな新鮮な気持ちを感じさせてもらえたのは、とても嬉しいことでした。一つだけ変わっていないのは、“シビュラ”を信じてやまない、ということ。信仰心とも言えるそういう力は、もともと描こうとしていたものより強くなっているんじゃないかなと感じています」と微笑んだ。ちなみに、九泉を演じていていて笑ったのは、この日の会見が久しぶりのことだったそう。

和田が演じるのは、九泉と同じ刑事課三係の嘉納火炉(かのうひろ)役。まず作品について、和田は「2.5次元と呼ばれるたくさんの作品がある中で、原作の力に役者の力が加わった新しい作品が、この舞台『サイコパス』なんじゃないかなと思います」と、鈴木と同じく開幕を心待ちにしている様子。

役作りについては「(個人として)キャラクターを作ったというよりは、脚本の深見さん、演出の本広さんのもと、共存している皆さんに作ってもらったような、三係で一つのチームを作り上げたという感覚が強いです。アニメには登場していませんが『こういう三係がいたらいいな』『こういうシーンがありそう』とお客さんに期待していただけるような、公安局になったんじゃないかなと」と振り返った。

ちなみに、和田は稽古開始日を1日間違えてフライングで稽古場に顔を出してしまった・・・というハプニングがあったことも明かした。「正直少しびびっていて・・・(笑)。勘違いしてしまったんですね。稽古場に入ったら、本広さんとスタッフさんが会議しているところで。その時が本広さんとの初対面で・・・良かったのか悪かったのか分かりませんが、そういうところからスタートしました」と振り返る。

鈴木に「そんなことってあるんだね(笑)」と言われると、和田は「あるんですよ(笑)!気合いを入れていたんだね、がんばろうと思って」と苦笑い。しかし、本広にとってその第一印象は良い方に転んだようで「あの時に『嘉納ってこういうキャラなんだ!』って思って、それが(演出にも)ちょっと影響したんだよ」と和田の天然(?)ぶりをおもしろがっていた。

本広は、鈴木とも和田とも、作品作りを共にするのはこれが初めて。「すごく人気の俳優さんたちと聞いていたので、ぶっちゃけ、イヤなやつなのかなと思っていたんですよ(笑)。人気のある方は、自分を持っているというか。でも、二人ともまっさらで来てくれたんです。(演出は)真っ白なキャンパスに絵を描くような作業でした。すごく楽しかった」とコメント。

“まっさら”というのは、鈴木にとっても一つのテーマだったようで「どういう演出をされる方なのか、すごく楽しみにしていたので、まっさらな気持ちで飛び込みました」。和田も「稽古場、楽しかったですよね。ものづくりをしている、という感じで。本広さんは役者の意見にしっかり耳を傾けてくださり、僕らに挑戦をする環境を与えてくれましたし、ご自分の世界もしっかりお持ちなのでお互いのすり合わせをしていく作業が、僕にとってはすごく楽しいことでした」と続いた。

本広は、そんな二人が徐々に『サイコパス』の世界に染まっていくのを目の当たりにして、とても楽しかったそうだ。特に鈴木は、直前に出演していた舞台『どろろ』からの変化が大きかったようで「初めて(鈴木が)稽古場に来た時は、百鬼丸が来た~!と思いましたもん(笑)。そこからだんだん九泉になっていくのを見て・・・やっぱり、演劇はおもしろいなあと思いました」となんだか嬉しそうだった。

見どころは「『サイコパス』の世界観、テーマパークの中にいるような感覚。『サイコパス』の世界観を360℃体験していただくだけでなく、テーマパークの中で、一緒にアトラクションを体験してもらえるような気持ちになってもらえるんじゃないかなと思います」と鈴木。

本広も「2.5次元の芝居を、と言われたんですが、まったく新しいものを作ろうと思いました。映像と生の芝居、舞台と映画の感覚を、ここまでごちゃ混ぜにしたのははじめて。今まで培ってきた演出のすべてを、この作品で応用できているのかなと思います。お二人の力をお借りし、無理難題を聞いていただき、アクションも尋常じゃないぐらい大変なことをやってもらっています。スタッフもかなりテンションが上がっている感じです。これをお客さんがどう判断してくれるのか・・・僕は楽しみです」と自信をのぞかせ、「やっている時はう~っ!となったんだけど、楽しくて楽しくて。続編もあるんじゃないかな?と思うくらい」と逸る気持ちを口にした。

『サイコパス』はもともとアニメだけではなく「ノベライズにもしたい、ラジオドラマにもしたい、実写にもしたい、舞台にもしたい」と様々なメディアミックスを念頭に置いていた作品だという。本広は「僕らは“サイコプロジェクト”と呼んでいたんですが、この舞台はその一環です。“サイコプロジェクト”が途絶えてしまわないよう、絶対おもしろいものにしようと思って!僕の思いの丈を全部込めました」と熱い思いを吐露。

かなり綿密な仕上がりとなっているため、スタッフも神経を張り巡らせているようで「スタッフさん、キャストも含め、連日みるみるうちに色相悪化が・・・。100オーバーしていない人を探す方が難しいかもしれないです」と鈴木。「皆さんに最後まで観てもらえることが、僕らの“メンタルケア”になると思います(笑)」と、作品の世界観を交えて現場の様子を表現した。

原作のアニメは、2019年10月に第三期の制作が決定している。そんな人気作の舞台化であることを踏まえて、鈴木は「『サイコパス』という世界観の大きさを、出演する僕たちも改めて感じております。その上で、舞台版の『サイコパス』に登場するキャラクターは、どの原作にも出ていません。2.5次元と言いますと、なんとなくストーリー知っている方も多いと思うんですが、この作品に関しては、まっさらな状態で観ていただけると思います。同じ『サイコパス』ではありますが、新たな可能性を秘めた『サイコパス』として、楽しんでいただけたらなと思います」。

和田も「オリジナルのストーリー、オリジナルのキャラクターが出てくるので、もともとの『サイコパス』ファンの方にも、『サイコパス』の新たな魅力が僕らから発信できれば、本望だなと思っております。ライブビューイングも行われるということで、全国の『サイコパス』ファンの方にこの作品を届けられると思うと、すごく楽しみです」と結んだ。

このほかの出演は、中村靖日、多和田任益、小澤雄太、町井祥真、池田純矢、高橋光臣、山崎銀之丞、など。

【あらすじ】
公安局刑事課三係に所属する監視官の九泉晴人(くせんはると)は、公安局局長・禾生(かせい)からの命で連続殺人事件を捜査することになる。遺体は18ものパーツに細かく切断、その一つ一つにナンバリングがされていた。そして、繁華街の路地裏、4ヶ所に派手に飾り付けるという、いずれも同じ手口で犯行が繰り返されていた。
「どうしてバラバラにしたのか、どうして四箇所に死体をばらまいたのか、ナンバーをつけた理由は何か」
九泉は同じ三係に所属する監視官・嘉納火炉(かのうひろ)や執行官たちと、捜査を進める。被害者の身元を調べていくうち、「中国語の部屋」と名付けられた、とある装置が事件に関わりがあることに辿り着く。

その矢先、街中にバラバラ死体がばら撒かれるという、市民の色相悪化を狙ったサイコハザードが発生。「ヒューマニスト」と名乗る武力闘争組織がテロの犯行声明を上げ、シビュラシステムには重大な欠陥があると批判、さらに大きな事件を予告する。そして、捜査を進める中、公安局内部に裏切り者の存在が浮かび上がる。
事件の鍵を握る「中国語の部屋」とは。
ヒューマニストの狙いとは。
そして、“裏切り者”は誰なのか――?

『舞台 PSYCHO-PASS サイコパス Virtue and Vice』は、4月18日(木)から4月30日(火・祝)まで東京・日本青年館ホールにて、5月3日(金・祝)から5月6日(月・祝)まで大阪・森ノ宮ピロティホールにて上演される。

なお、大千秋楽となる大阪5月6日(月・祝)17:00公演では、全国62ヶ所の映画館でライブビューイングが行われることも決定している。“ライブビューイング”好きという本広は「ライブビューイングに耐えうるように、カット割りしながら作品づくりをしたつもり」とアピールしていた。多数の人気映像作品を生み出してきた本広ならではのこだわりが期待できそうだ。劇場に直接足を運べない方も、ぜひお見逃しなく。

【詳細】http://www.toho.co.jp/theater/ve/psycho-pass-stage/

【公式HP】https://psycho-pass-stage.com/
【公式Twitter】@PSYCHOPASSstage

(C)サイコパス製作委員会 (C)舞台「サイコパス」製作委員会

(取材・文・撮影/エンタステージ編集部)

 

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