屋良朝幸「気持ち良くないところもコール・ポーターの良さ」ミュージカル『Red Hot and COLE』製作発表


2019年3月1日(金)より東京・博品館劇場にてミュージカル『Red Hot and COLE』が上演される。その製作発表会見が2月8日(金)に都内で行われ、屋良朝幸、矢田悠祐、吉沢梨絵、彩乃かなみ、木内健人、真瀬はるか、彩吹真央、鈴木壮麻、翻訳・演出の小林香が登壇した。

本作は、ブロードウェイで活躍し、アメリカのポピュラー音楽史に多大なる足跡を残したソングライターと、その名曲をたっぷり紹介するシリーズ『ブロードウェイ・ショウケース』の第3弾。今作では、1920から1950年代に活躍した作詞・作曲家コール・ポーターの生涯を、いつまでも色褪せることなく親しまれ続ける彼の楽曲の数々で描く。翻訳・演出は、オリジナルミュージカルの創作や、華麗なショーステージの演出に定評がある小林が手掛ける。

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会見は歌唱披露からスタート。屋良がソロで「I’m a gigolo」を美しく豊かでメロディアスに歌い上げると、全員が登場し、軽やかでリズミカルに「Friendship」の合唱を披露。短い時間ではあったが、本作の魅力を感じさせるパフォーマンスとなっていた。

歌唱披露が終わると、まず小林が「コール・ポーターの人生の光と影を彼が作詞作曲した全26曲の名曲とともに彩るミュージカルです」と本作を紹介し、「複数役を務める方がたくさんいるので、どんどん引き出しを開けて下さいとお話していました。与えられた枠の中をはみ出して、皆が自由に稽古を進めていて、予期していなかった瞬間というものがたくさん生まれつつある稽古場です」と稽古場の様子を語った。

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続いてコール・ポーター役を演じる主演の屋良は「I’m a gigolo」の歌唱披露について「もっと情感たっぷりに歌いたかったんですけども、まさかこの場で歌うことになるとは一切思っていなくて・・・」と笑顔で語り、「本番ではもっと素敵にコール・ポーターとして歌えたらいいなと思っています」と意気込んだ。

楽曲を歌った感想は「とんでもなく難しいですね(笑)」と即答。「今まで経験してきた中で一番難しいんじゃないかと思っています。コール・ポーターの性格や人生が歌詞とメロディになっていると思っていて、気持ち良くない時もあるんですよ。でも、その気持ち良くないところもコール・ポーターの良さだと感じて、そこを理解しながらやっていくのは新しいし、おもしろいです」と述べ、さらに「メンバーがいい意味でそれぞれ自由ですし、皆が一つになって作品に向かって進み出した瞬間にすごくおもしろいものができると思っています」と期待を寄せた。

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映画『スター誕生』を描いた劇作家モス役などを演じる鈴木。コール・ポーターのミュージカル『キス・ミー・ケイト』の出演経験もある鈴木は「ドラマチックで、リズミカルで、そして、ちょっともの悲しげで、いろんな要素のある楽曲です」と解説し、「一人1パートで、8人で歌うみたいな緻密なコーラスワークが入っていたりするのを消化しながらステップを踏むというレベルの高いことをやっています。そこをクリアしながら、感情をうまく役者として乗せるというのを楽しんで、そしてもだえ苦しむのがとても楽しくてワクワクするいい瞬間です」と稽古を振り返った。

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クラブのオーナー、ブリックトップ役などを演じる彩吹は、宝塚歌劇団で『キス・ミー・ケイト』が上演された時からコール・ポーターのファンになったという。その彩吹は「コール・ポーターさんと誕生日が一緒ということで、これもご縁かなと思っています。だから、このお話をいただいた時は本当にうれしく思いました」と喜びを露わにし、「演出の小林さん、音楽監督の岩崎廉さんとはそれぞれ何度もお仕事をさせていただいたことがあるんですが、お二人がタッグを組むのは初めてなので、お二人の世界観が好きな私にとってはどういう世界が生まれるんだろうとワクワク感もあって毎日幸せです」と明かした。

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第1弾で屋良・鈴木と共演し、今回は社交界の大物コラムニスト、エルザ役などを演じる吉沢は「今回、屋良くんはコール・ポーター一人の人生を生きるということなんですけど、私たちはいろんな役をやるので、脇がいろんな彩りを添えることでコール・ポーターが見えてくるようにするために試行錯誤しながらキャラクターを作っています」と役作りを語り、「個人的には一つ前の役が音痴な役だったので、その後にコール・ポーターの名曲をちゃんと歌えるのかドキドキしていました。なんとか今のところ大丈夫そうなので、このままがんばって作り上げたいと思います」と意気込みを語った。

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コールが書いたミュージカルに出演した俳優クリフトン役など6役を演じる矢田は「第2弾に出演した際は1役だったのでのほほんと見ていたのですが(笑)」と振り返り、「(一つの作品の中で)いろんな役を演じるのは初めてで大変なんですけど、やりがいがあって楽しいです。周りの先輩方の引き出しの多さがすごいので、それを全部自分のものにして、終えられたらいいなと思っています」と思いを明かした。

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斬新なダンスステップ、カッスルウォークを編み出したカッスル夫妻の夫ヴァーノン役など6役を演じる木内。以前にコール・ポーター作曲のミュージカルに出演した経験のある木内は「コーラスを含め歌が難しいんですけど、音楽が背中を押してくれる瞬間が稽古場でもたくさんあって心強いんです」と印象を述べ、「今、稽古場ではピアノ一本なんですが、オーケストラが入ったらもっと重厚になって、僕らにとっては心強いパートになるので楽しみです。でも、そこに頼らずまずは自分の力でパフォーマンスできるようにお稽古を頑張りたいと思います」とコメント。

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名曲と言われながらまだ世に広まりきっていなかったコールの曲を世界に広めた一人である、コール・ポーターの妻リンダなどを演じる彩乃は「他の皆さんよりも抱えている役の数が少なめで、わりとリンダ役を通し役でさせていただいています。自分の役がぶれないように自分の役割は果たしながら、梨絵さんの面白い部分も立つように、バランスを考えながら作っているところがとても楽しいです」と語り、「毎日、コール・ポーターの楽曲に酔いしれながら、私も稽古場にいるので私の感じた思いを直接お客様に届けられるようにしたいです」と意気込んだ。

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才覚ある著作家で、皮肉屋のドロシー役など6役を演じる真瀬は「今回、たくさん引き出しを開けに開けて、無い引き出しはなんとか作って素晴らしい先輩方にくっついてがんばっていきたいです」と挨拶し、「歌に踊りにボリュームたっぷりの作品で、いろんな方がいろんな役を演じるので、この人数しかいないのに目が足りないという作品になると思います」とアピールした。

座長である屋良について、小林は「屋良くんの居方が私たちに良い影響を与えてくださっています。ただ、遠くから見ているというのではなく、心を動かしながらそれを見つめていている姿、その姿が結果として他のキャストを引っ張っていて、新しい座長の居方みたいなものを感じています。そこに私も助けられています」と絶賛。

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最後に、登壇者たちのコメントを聞いた小林は「いっぱい役をやっていると言いますけど、そんなに大変だったんですね」と思わずポロリ。その言葉に登壇者たちから笑いが起こると、「私は見ているのが楽しくて、すみません(笑)」と笑顔で謝りながら、「日々、それをエンジョイしながら稽古していましたけど、みんな2時間の中で役を変えていくということは、ものすごくエネルギーが要ることですので、そのエネルギーをかけた分、弾力のある力強い作品になると思います」と自信を見せた。

ミュージカル『Red Hot and COLE』は、3月1日(金)から3月17日(日)まで東京・博品館劇場にて上演される。その後、大阪、静岡、愛知を巡演。日程の詳細は、以下のとおり。

【東京公演】2019年3月1日(金)~3月17日(日) 博品館劇場
【大阪公演】2019年3月21日(木・祝) 森ノ宮ピロティホール
【静岡公演】2019年3月24日(日) 富士市文化会館ロゼシアター 大ホール
【愛知公演】2019年3月27日(水) 刈谷市総合文化センターアイリス 大ホール

(取材・文・撮影/櫻井宏充)

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