『光より前に』開幕!宮崎秋人、木村了らがリアルに体現する“走る”ということ


2018年11月14日(水)のプレビュー公演を経て、11月15日(木)に『光より前に~夜明けの走者たち~』が開幕した。本作は、日本のマラソン界に偉大な功績を残した二人のランナー、円谷幸吉と君原健二の物語を、谷賢一が紐解く新作舞台。宮崎秋人、木村了、中村まこと、高橋光臣、和田正人という5人の俳優が、“走る”という一点のみで交わった二人の“人生のバトン”をつないでいく。

以下、公開ゲネプロより舞台写真と、出演者、作・演出を手掛けた谷、そして本作に特別監修として参加している青山学院大学・陸上競技部の原晋監督からのコメントをを紹介。

『光より前に』舞台写真_2

◆宮崎秋人(円谷幸吉役)
約1ヶ月間の稽古をしてきまして、いよいよ幕開けです。円谷幸吉さんを知れば知るほど責任も重大と感じ、円谷さんという存在を届けなければいけないという使命感も増してきましたので、自分の与えられた役をしっかり演じ切りたいと思います。君原健二さんも観に来てくださいますし、最後まで精一杯がんばります。

◆木村了(君原健二役)
僕一人だけ御存命の君原健二さんの役を演じますが、この作品ならではの君原さんをお見せする気持ちで臨んでいます。カンパニーの皆で熱さを持って世界観を作り上げており、革新的な映像と共に、谷さんの才覚が存分に発揮されている作品です。言葉一つ一つがすごく大事になっていて、心と心のキャッチボールを大切にした人間ドラマですので、観ていただいた方に何か答えを見つけていただけるのではないかと思います。気負いせずに観にきていただきたいです。

◆中村まこと(記者・宝田修治役)
いよいよ、号砲一発、5人の役者が走りはじめます。舞台裏のスタッフさんも走りますよ。受付嬢も走る。遅れて来たお客さんも走る!完走目指してがんばります。ご来場お待ちしてます!

『光より前に』舞台写真_6

◆高橋光臣(君原のコーチ・高橋進役)
円谷幸吉と君原健二という二人の純粋なランナーの生き様、どのように生き、どのような結末を迎えるのか、その人生でどのような人が関わったのか、それによって二人がどのように変わっていったのか、二人の人生の軌跡を一緒に辿っていただけると、それぞれの心に残る作品になるのではないかと思います。じっくりと味わっていただけたら嬉しいです。

◆和田正人(円谷のコーチ・畠野洋夫役)
当時を知る人には懐かしく、知らない世代には誇らしさを感じる、そんな空気を纏う舞台が生まれたように思います。偉人たちが積み上げてきた歴史の偉大さを、今まさに皆様と共に体現できることを嬉しく思います。

『光より前に』舞台写真_4

◆谷賢一(作・演出)
信頼するコーチや恋人との関係など、マラソンランナーの話でありながら人間関係が主体になっている物語です。円谷さんの悲劇は繰り返されてはならないことで、現代に正しく伝えたいと思い作品化しました。何を大事に生きていったら良いのか、作品を通して感じていただけたらと思います。

◆青山学院大学 陸上競技部 原晋監督(特別監修)
スポーツに携わる方はもちろん、サラリーマン、子育てに悩む親御さんなど、様々な方にぜひ観ていただきたい作品です。走るとは何か、生きるとは何か、その答えが見つけられるのではないかと思います。

『光より前に』舞台写真_7

【あらすじ】
1964年、東京オリンピック。
きら星のごとく現れた新人ランナー・円谷幸吉(宮崎)はマラソン種目で銅メダルをもぎ取った。
入賞を逃したライバル・君原健二(木村)は、絶望の底に落ち引退を決意する。
日本中の期待を背負って、次なるメキシコ五輪へ向けて走り始める円谷だったが、恋人や信頼するコーチとの別れ、そして故障を抱えながら次第に調子を落としていく。
一方、君原は受け取った一通のファンレターから生まれた交流に励まされ、もう一度走り始める。走ることに再び生き甲斐を見出した君原の耳に飛び込んできたのは“円谷幸吉・死去”という報せだった・・・。

『光より前に』舞台写真_3

宮崎は、朴訥で人好きのする円谷を、全身で雄弁に物語っていた(宮崎と木村の、ポスタービジュアルと実際に舞台に立つ体つき・顔つきの違いに、ぜひ注目してもらいたい)。それゆえに、遺書に残された「美味しゅうございました」を繰り返す姿と、うつろに浮かぶ笑顔が悲しくて、やりきれない。そして木村が、日本では異端とも言える個人主義を貫く君原の人生を別軸で成立させることで、深まる人生の光と影。また、和田と高橋が、それぞれコーチとしての選手との関わり方を対照的に見せることで、よりランナーとしての個々の喜びや苦悩がはっきりと見えてくる。

『光より前に』舞台写真_5

これは物語だ。あくまでも、谷が創った物語。自ら命を断ってしまった円谷が、何を考え、死を選んだのかは、本人しか分からない。しかし、史実と想像を、中村が演じる架空の記者に語らせることで、円谷から君原へと渡ったバトンが、観客の心まで届けられるように思えた。

スポーツ選手だけでなく、多くの人は、なし得たことを「誰かのおかげ」と語る。自分一人の手柄ではなく、そこまでの道のりを共に歩んだ仲間、師、応援してくれたすべての人と、その結果を分かち合う。人は一人では生きられない。マラソンことを題材にした物語だが、“走る”ことは“生きる”ことそのもののようにも思える時間だった。

『光より前に』舞台写真_8

『光より前に~夜明けの走者たち~』は、11月25日(日)まで、東京・紀伊國屋ホールにて、11月29日(木)から12月2日(日)まで大阪・ABCホールにて上演。上演時間は、休憩なしの約2時間を予定。

なお、本作のDVDが2019年4月17日(水)に発売されることが決定した。詳細は、以下のとおり。

◆『光より前に』DVD
【発売日】2019年4月17日(水)
【価格】6,000円+税
【発売元・販売元】ポニーキャニオン

【公式HP】http://hikari.westage.jp/

(取材・文/エンタステージ編集部、撮影/神ノ川智早)

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