大竹しのぶ“命を削る”4度目の挑戦!舞台『ピアフ』開幕


大竹しのぶ主演の舞台『ピアフ』が、2018年11月4日(日)に東京・日比谷シアタークリエにて幕を開けた。初日公演の前日にゲネプロが行われ、2011年からの初演メンバーである主演の大竹と、梅沢昌代、彩輝なおが囲み会見に登壇した。

フランスが最も愛した歌手の一人、エディット・ピアフの47年の生涯を描いた舞台が日本初演を果たしたのは2011年。主演の大竹が数々の名曲を熱唱するとともに、各年代のピアフを的確に演じ分ける芝居が高く評価され、翌年2012年の読売演劇大賞で最優秀女優賞を受賞。その後、2013年と2016年の再演でも全日程完売になるほどの人気公演となった。

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初演から数えて4回目の上演となることについて、大竹は、「プレッシャーも大きくなってきたと感じます。初めて観る方もいるけど、2回目、3回目、4回目を楽しみにしている人もいると思うので、前よりも絶対にいいものを出さなくちゃいけない。“前回はあれがベストだったけど、今はこれがベストなんだ”と思えるようにしたいです」と心境を語った。

また、今年の10月10日(水)には、大竹が歌唱したピアフ楽曲集が音源化されたばかり。舞台で披露されるナンバーのほかに、新たな楽曲とも向き合っている全11曲入りのCDアルバムが発売されたことについても、大竹は「ピアフの歌は皆に愛されているんだなと感じました。昔の歌なのに全然古くないし、悲しい歌でも力強さがあるので勇気がもらえます」と楽曲の魅力を語る。このCDは梅沢も聞いているそうで、梅沢は大竹へ向けて「とっても良かった!」と称賛の言葉を贈っていた。

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大竹は「初演からのメンバーと今回からのメンバーも迎えて、皆で力を合わせて新しい気持ちでがんばりたいです」と意気込む一方で「これは梅ちゃん(梅沢)の言葉なんですけど、“演劇に命を懸けるまでは出来ないけれど、命を削るくらいのことは毎日やっている”感じがします」と、正直な心境も吐露。これには梅沢も「お芝居には完成がないから。いつも新しい発見がありますし」と頷く。また「(役者は)一生悩む仕事だなって思います」という大竹の言葉も印象的だった。

そんな座長・大竹について、彩輝は「私が言うのはおこがましいのですが、とてもチャーミングな方。魂で役を演じられていることと普段からの可愛らしさがあるからこそ、その魅力に引き込まれるんだと思います」と謙虚に印象を語る。梅沢も「いつも命懸けですよ。だから悩むし、疲れるし。(大竹はいつも)“まぁいいか”じゃなくて“がんばる”と言ってます」と、いつでも芝居と真摯に向き合う大竹の様子を明かした。

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4度目の上演となる今回の『ピアフ』、ますます期待値が高まっている中、改めて見どころを問われると、大竹は「ピアフの歌の力強さと、戦争が始まって終わるまでの時代のこと、人を愛することなど、人として基本的なことがいっぱい詰まった物語です。一場面は短いけれど、その一場面一場面をつくり上げていく役者のエネルギーを観てもらいたいです」と想いを伝えた。

初演から共に駆け抜けてきた梅沢が「今までに観られたお客様が“エネルギーを貰った”と言ってくださったので、今回ももっと渡せたらなと思います」と意気込めば、彩輝も「演出の栗山民也さんがよく仰っていた、動物的な人間の生きざまを大切に。それぞれが背負っている人生を大切にしたいです」と前向きに答えた。

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【あらすじ】
フランスの貧民街に生まれ、路上で歌いながら命をつないでいたエディット・ガシオン。ある日ナイトクラブのオーナーに声を掛けられ、後の芸名となる“ピアフ(=小さな雀)”の愛称を付けられたことで、彼女の激動の人生が動き出す。

劇中では「愛の賛歌」「バラ色の人生」「水に流して」など、ピアフが残した数々の名曲を大竹が歌い上げる。その歌声は、素顔の大竹からは想像がつかないほどの迫力で、まさにピアフが舞い降りてきたかのように憑依的。アコーディオン、ピアノ、チェロ、ベースのカルテットが奏でる旋律に合わせて大竹が歌い始めると、会場の空気がピンと張り詰められていくのを感じた。

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一気にスターダムにのしあがってからも、心の隙間を埋めるかのように愛を求め、さまざまな出会いや別れを繰り返すピアフ。それぞれの男性とのエピソードを描いたシーンは短いものだが、一場面がどれも濃密で美しく、疾走感にあふれている。なかでもボクシング・チャンプのマルセル・セルダン(駿河太郎)と二人きりの時間を過ごす場面は、儚さが残る演出で印象的。これについては大竹自身も、「綺麗なシーンなので大好きです」と会見で明かしていた。

パリの貧しい地区に生まれ、第二次世界大戦を経験し、世界的人気を確立するも孤独感に苛まれていたピアフの47年の生涯。会見で大竹が「すべてが電子化されて何も感じない若い人が多すぎるから。そうじゃない“本物”を感じてほしい、動物的に生きるということを演じてほしい、という話はよく(演出家の栗山から)言われました」と語ったように、まさに“動物的に生きる”ピアフの姿が観る者の心を打つ。

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舞台『ピアフ』は、11月4日(日)から12月1日(土)まで東京・シアタークリエにて上演される。その後、広島、香川、大阪を巡演。日程の詳細は、以下のとおり。

【東京公演】11月4日(日)~12月1日(土) シアタークリエ
【広島公演】12月4日(火) JMSアステールプラザ大ホール
【香川公演】12月11日(火)・12月12日(水) レクザムホール(香川県県民ホール)小ホール
【大阪公演】12月15日(土)~12月17日(月) 森ノ宮ピロティホール

(取材・文・会見写真/堀江有希 舞台写真/オフィシャル提供)

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