舞台『ニル・アドミラリの天秤』開幕!杉江大志「作品に込められた思いを届ける」


舞台『ニル・アドミラリの天秤』が、2018年11月1日(木)に開幕した。本作は、2016年に発売されたゲーム「ニル・アドミラリの天秤 帝都幻惑奇譚」と、その後に放送されたTVアニメを原作とした舞台作品。初日前には公開ゲネプロと囲み会見が行われ、尾崎隼人役の杉江大志、鴻上滉役の仲田博喜、星川翡翠役の星元裕月、汀紫鶴役の健人が出席し、公演への思いと見どころを語った。

物語の舞台は、帝都大震災を経た大正25年の帝都」という架空の東京。「帝国図書情報資産管理局」通称“フクロウ”メンバーと、“稀モノ”と呼ばれる和綴じ本を巡る謎が描かれる本作。

『ニル・アドミラリの天秤』舞台写真_4

主演を務める杉江は、開幕を直前に控え「今の率直な気持ちは、ドキドキが強いです」と思いを明かすも、「濃い稽古ができたと思うので、積み重ねてきたものを届けることができれば、きっと満足していただけると思います」と作品の出来に自信をのぞかせた。

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仲田は「とても仲が良いカンパニー」だと言い、見どころには「アクションがたくさん盛り込まれています。原作やアニメをご覧になられていた方はびっくりするかも。ダンスシーンもあります」と挙げた。

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星元も「座組み一丸となって作り上げてまいりました。それぞれが愛を持って作品に向き合ってきたと思います。開幕してお客さまからも愛をいただくと思いますが、私たちからも愛を返して、大切に作品に向き合っていきたいと思います」と続けた。

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「いい感じに緊張しております」と笑顔で語った健人。自身の演じる役どころについては「紫鶴から見た“稀モノ”の存在を意識し、同じ先生に習ってきた(という設定の)笹乞藤一郎(湯本健一)とのシーンを大切に演じていきたいです」とコメントした。

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今回の作品は、主演の杉江にとって初共演となるキャストも多かったが、「いいバランスの座組だなと感じています」と改めて共演者との関係を振り返り、「お互いに歩み寄った部分もあったと思いますが、自分の意思を持った方が集まったからこそ、バランスのとれたいい座組みになったと思います」と満足そうに話した。

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そして、「この作品には悪役として登場する人物もいますが、本当の意味での悪人はいないと思っています。それぞれに正義があり、各々の信念に従って行動した結果が描かれています」と分析。最後は、「原作をご存知の方には分かると思いますが、思いの詰まった台詞がたくさんある作品です。作品に込められた思いをしっかりとお届けし、舞台ならではの“ニルアド”をお届けしたいです」と本作への思いを語り、会見を締めくくった。

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このほかの出演は、大崎捺希(鵜飼昌吾役)、古畑恵介(鷺澤累役)、大和田南那(久世ツグミ役)、大原海輝(燕野太郎役)、黒田絢子(朱鷺宮栞役)、栞奈(柾小瑠璃役)、吉岡佑(隠由鷹役)、末野卓磨(百舌鳥山識郎役)、湯本健一(笹乞藤一郎役)、瀬戸祐介(葦切拓真役)、和泉宗兵(四木沼喬役)など。

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【あらすじ】
舞台は、帝都大震災を経た「大正25年の帝都」という架空の東京。大震災から著しい復興を遂げ、和と洋が混ざった独特な文化で発展し続けている帝都トウキョウだが、近代化が進み、印刷された本が増え始める中で、「手書きの和綴じ本を、読んだ者が自殺する」という不可解な事件が立て続けに起こる。

はるか昔から“言葉には霊力が宿り、文字には魂が宿る”とされ、書いた者の“情念や記憶”が本に残るという。いつしかそれらの本は「稀モノ」と呼ばれるようになった。

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そんな中、傾きかけた家を守るため、ある少女は名も知らぬ男との結婚を決意した。だがその矢先、弟が古い和綴じ本を手にしたまま、謎の焼身自殺を遂げる。さらに、少女はその事件がきっかけで「アウラ」と呼ばれる稀モノに宿った情念の輝きが見えるようになってしまう。混乱する少女の前に、「帝国図書情報資産管理局」、通称“フクロウ”が現れ・・・。

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不穏で重苦しい空気感を漂わせながら、次々と謎と事件が続き、スピーディーに進むストーリー。杉江の言葉通り、“フクロウ”以外の登場人物たちも、それぞれに強い信念を持って行動しているからこそ対立が生まれ、深い人間ドラマが生まれている。ラストに向かって、どんでん返しが繰り返され、驚くべき真実を提示するサスペンスフルな展開も秀逸だ。

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また、菅野臣太朗による演劇的な演出にも注目。映像は一切使わず、光と音、そしてキャストたちの体ですべてが表現される舞台は、今の時代、ある意味新鮮に映る。その演出は“大正”という和洋折衷な時代にマッチし、独特の世界観を作り上げている。ぜひ、その空気感を体感してもらいたい。

舞台『ニル・アドミラリの天秤』は11月11日(日)まで東京・全労済ホール/スペース・ゼロにて上演。上演時間は、約2時間10分(休憩なし)を予定。

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(C)IF/Nil Admirari PROJECT (C)2018舞台『ニル・アドミラリの天秤』製作委員会

(取材・文・撮影/嶋田真己)

 

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