舞台『愛と青春キップ』でSnow Man岩本照&渡辺翔太&阿部亮平の個性を再発見


Snow Man/ジャニーズJr.の岩本照、渡辺翔太、阿部亮平がトリプル主演を務める舞台『愛と青春キップ』が、2018年10月25日(木)に東京・オルタナティブシアターで開幕した。初日前には公開ゲネプロと囲み会見が行われ、主演の3人が登壇。「登場人物は、俺たちと同じ、ダンスが好きでやってきた人たち」と岩本が会見の中でいうように、ダンスをこよなく愛する人たちを描いたエンターテインメントが誕生した。

舞台『愛と青春キップ』舞台写真_2

Snow Man3人のほか、佐々木崇、高岡裕貴、元℃-uteメンバーの中島早貴、シンガーソングライターの菜々香ら、若手キャストが一流ダンサーを目指す若者を演じる。また、元宝塚歌劇団月組トップスターの剣幸が大女優役、俳優の松澤一之がマネージャー役で出演。演出・振付は藤林美沙が手掛け、全編に力強いダンスが溢れる。

舞台『愛と青春キップ』舞台写真_5

物語の舞台は、とある豪華客船上。その夜、怪我で一時休業していた大女優・勅使河原静(剣)の復帰ショーが盛大に行われる。バックダンサーの浦川亨(岩本)、小笠原優(渡辺)、西岡修一(阿部)らはスターを夢見ながらショーを支えていたが、突然、船が座礁して難破してしまう……。無人島に打ち上げられた人々は、無事に生き延びることができるのか?

舞台『愛と青春キップ』舞台写真_7

ジャニーズ内の舞台では『少年たち』シリーズなどに立ってきたSnow Manだが、外部での出演は初めて。岩本は「ドキドキワクワク。すべてが初めましてです」と、阿部と共に興奮気味。一方、渡辺は激しい人見知りを発揮していたようで「二人が(他の出演者と)しゃべっているところにちょっと入っていきました。『あ、おはようって言いに行ったぞ』と思って、二人を追いかけて会話に入ったりしているうちに、少しずつ自立することができました」と稽古当初を振り返り、岩本に「転校生かよ(笑)」とツッコまれた。そんな渡辺だが、会見では「楽しい」と終始笑顔。もう人見知りはなさそうだ。

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オルタナティブシアターは、舞台と客席の距離が近い。舞台ならではの興奮と緊張も漂わせつつ、しかし堂々とした3人のダンスは、迫力もひとしお。阿部は「(客席が)近いからこそ、お客さんにダイレクトに伝えたいことが伝えられます。それが成立している劇場だと思います」と分析していた。

舞台『愛と青春キップ』舞台写真_10

さらに、美術のシンプルさがダンスの迫力をより伝える。骨組みだけの二つの大階段がシーン転換に合わせくるくると動く。ダンスとともに舞台全体が移動するようでダイナミックだ。そこに時おり映像が差し挟まれ、観客の想像力を刺激する。

今回、初の外部舞台ということが、彼らに新しい経験をさせているようだ。ダンスシーン以外での芝居の部分では、これまで出演したジャニーズでの舞台との演技の違いを強く実感しているそう。

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「普段なら、台詞を言う時も正面を向いていますが、今回は気持ちに乗せて台詞を言うために、(客席に)お尻を向けて言うこともあります」と言う渡辺。岩本も「あまりそういうことはやったことがなかったよね」と頷いた。芝居の経験は、彼らのダンスにも活かされている。渡辺は踊りながら「アイコンタクトしたり、(役としての)気持ちが乗っていると、見え方が変わってくるのかなと思いました」と新しい発見があったようだ。

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阿部は、松澤や剣に演技のアドバイスをもらったと振り返る。「相手役に伝えたいことがあったら他の方向を向いてはいけないとか、立ち居振る舞いとか、教えてもらいました」とエピソードを語ると、岩本が「俺は松澤さんには『胸(筋)のトレーニングどうやるの?』としか言われなかった(笑)」とうらやましがった。しかし、芝居の楽しさを実感しているようで「芝居の最中にダンスシーンが入ると、ステージ上でキャッチボールをしているみたいです。心を通じさせるためのコミュニケーション。毎回違う芝居になって、毎回ぶつかっています」と楽しげだ。

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それぞれの意気込みや力の入れどころにも、3人の個性が現れる。ここぞという見せ場について、阿部は「3人だけで踊るところ。『Snow Man』という存在感を見せつけたいです」と、グループとしてのステップアップに気合が入る。

岩本は「誰一人欠けても成立しない作品です。(出演者同士の)パス回しをお客さんにはあまり見せずに、バン!と一つの塊が迫ってくる感じを伝えたいです。無人島のお話なので、俺たちが持っている想像力で、見ている人を作品の世界に連れていけたら」と全体を捉える視点を持つ。

そんな岩本を、渡辺は「“単推し”じゃなくて“箱推し”だね」と分析しつつ、自身は「僕は単推しで」と具体的なシーンを紹介。「個人的には、女の子を助けるシーンが見どころです。普段女性とお芝居することがないから(ファンの方も)新しいものが見られるんじゃないかな。ただ、緊張しすぎて目を合わせた途端に台詞を忘れたりしましたが・・・(笑)」と明かし、今までのジャニーズの枠に止まらない経験を楽しんでいる様子を感じさせた。

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会見の最後に投げかけられた「無人島に一つ持っていけるとしたら?」に対する答えも、三者三様。阿部は「いろんなところで聞かれたから、毎回違うものを答えていますが・・・」と言いながらしばらく悩むと、「気象学の本を一冊。無人島の位置がわかるかもしれないから」と気象予報士の資格を持つ安部らしい回答。舞台については「お客様の心を、雲一つない快晴にしたいです!」と気の利いたコメントでアピールした。

岩本は「メンバーや家族の写真です。大切な人を見て心の支えになるような思い出を残しておきたいから」と即答。ロマンチックな答えだったが、理由は「ナイフやトレーニング用品は作れるから(笑)!」と、ボーイスカウト経験を持ち、身体に自信のある岩本らしいもの。渡辺は、二人とはガラリと趣向が変わり「リップクリームを持っていきます。無人島に行っても、アイドルだってことを忘れないように」と、3人それぞれの魅力が際立った。

単独ではなくトリプルキャストでの外部舞台ということで、よりそれぞれの魅力が再発見できる舞台。女性キャストもそれぞれの個性がハッキリとしており、中島、菜々香、そして田口恵那と、タイプの違うダンスの持ち味で、多彩さを感じさせる。剣が歌い踊るソロも、物語において懐深いアクセントだった。

舞台『愛と青春キップ』舞台写真_3

『愛と青春キップ』は11月11日(日)まで東京・オルタナティブシアターにて、11月17日(土)から11月18日(日)まで京都・京都劇場にて上演。上演時間は、約100分を予定(休憩なし)。

(取材・文・撮影/河野桃子)

 

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