浪漫活劇『るろうに剣心』開幕!早霧せいな「元男役としての誇りをかけて」


2016年に宝塚歌劇団によって初めて舞台化された浪漫活劇『るろうに剣心』。シリーズ累計発行部数6000万部を超える大ヒットマンガを原作にした本作は、小池修一郎の脚本・演出で、早霧せいなが主人公・緋村剣心を演じ、高い評価を得た。それから2年。早霧が宝塚退団後、再び同役を演じるというかつてない試みが実現する。公演初日となる2018年10月11日(木)には、公開ゲネプロと囲み会見が行われ、早霧と小池に加え、松岡充、上白石萌歌が登壇し、公演への意気込みを語った。

浪漫活劇『るろうに剣心』舞台写真_10

開幕を直前に控えた心境を、早霧は「お稽古が始まってからの約1ヶ月ちょっとの期間があまりに過酷で長かったので、やっとお客様の前で初日が迎えられるという緊張感と高揚感に包まれています」と笑顔を見せる。

本作では、早霧の殺陣も見どころの一つとなっているが、早霧は「宝塚版よりも、場面数も分数も多くなっているので、殺陣の迫力は十分に伝わるんじゃないかなと思っています」と自信をのぞかせる。そして、男性との立ち回りについても「女性同士で立ち回りをしている時とは違う、スピード感とパワー。圧倒的な違いを至近距離で感じています。(男性キャストたちに)元男役としての誇りをかけて戦いを挑むという気持ちでやっています」と力強く語った。

浪漫活劇『るろうに剣心』舞台写真_5

一方、舞台のオリジナルキャラクターである加納惚三郎役の松岡は「殺陣ももちろんですが、ストーリーやお芝居の部分も(脚本・演出の)小池先生は一切の妥協がない。『たった一つの台詞でも心を動かす。そして、その心の動きに殺陣もアクションもついてくるんだ』ということを、稽古でみっちり教えていただきました」と振り返る。そして「僕は、この作品は究極の2.5次元だと思います。僕は90年代のビジュアル系として、“究極”を目指していきたい」と宣言した。

さらに松岡は、早霧の殺陣を「宙に浮いているんじゃないかと思うぐらい素晴らしいです」と絶賛。「僕たちも、所作や武士としての気構え、体の構え方から習い、伝統にのっとった本物の殺陣をやろうとやっています。ぜひそこにも注目してほしいです」とアピールした。

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神谷薫役の上白石は「この晴れやかな舞台に立たせていただけることにドキドキしています。(劇場では)お稽古場とはまた違った感覚で世界を作っている感覚で、高揚感があります」と心境を話すと、「(宝塚版のように)女性だから出せる軽やかさもありますが、(今回は)男性がいますので、よりパワーアップしたものになっていると思います」とにっこり。

そして「男性陣の皆さんは素敵ですが、私は、早霧さんの剣心しか見えていません」と熱い想いを明かすと、早霧はすかさず上白石をハグ。松岡は思わず「男のことも見てよ」とぼやき、会場を笑わせた。

また、小池は「(ストーリー自体は)宝塚版と基本的には一緒ですが、早霧せいなが歌も芝居も一段と上手くなったので、濃く、深いものをお見せできると思います」と断言し、「(この作品は)まだ細胞分裂を繰り返し、活性化して、すごいエネルギーがぶつかっています。幕が開くことでまた一つのハーモニーを生み出していくと思うので、どう進化していくか楽しみです」とコメントを寄せた。

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【あらすじ】
舞台は、明治11年東京、薫風の章。
血に染まった剣を封印し、逆刃刀を手に流浪人となった男・緋村剣心と「人を活かす剣」を信じる真っ直ぐな瞳の少女・神谷薫が出会う。なぜ、人を守りたかった少年が“人斬り抜刀斎”という修羅となったのか。なぜ、その男が不殺の流浪人となったのか・・・。幕末の動乱を生き抜いた者たちの新たな戦いが始まる!

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公開ゲネプロでは、一幕が公開された。一幕は幕末の時代からスタートし、抜刀斎としての役割を終え、剣心として明治の時代を生きる緋村の姿が描かれる。神谷薫(上白石)、明神弥彦(加藤憲史郎、大河原爽介、川口調が交互に出演)、高荷恵(愛原実花)、相楽左之助(植原卓也)、そして斎藤一(廣瀬友祐)との出会いがある中、剣心を狙う暗い影が徐々に忍び寄ってくる。

囲み取材での言葉通り、早霧の殺陣は圧巻の一言だ。身軽な動きは剣心のイメージそのもので、さらには男性キャストたちと対等の戦いを繰り広げる力強さも持っていた。

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殺陣で言えば、緋村抜刀斎(剣心の影)を演じた松岡広大も素晴らしい。流れるようなスピード感ある殺陣は、「人斬り」の異名をとった抜刀斎の強さを象徴するようで、物語にリアリティを与えていた。

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松岡充演じる加納惚三郎の手引きにより、上山竜治が演じる武田観柳と三浦涼介演じる四乃森蒼紫の暗躍も印象深い。剣心とどのような形で決着を見せるのか、期待してもらいたい。

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また今回、新橋演舞場での上演ということもあり、花道や同劇場ならではの装置を使った演出もお見事。豪華なセット、華やかなアンサンブルの歌やダンスも相まって、エンターテインメントとして楽しく、見るものを釘付けにする。松岡の言葉通り、まさに「究極の2.5次元」がそこには広がっている。

浪漫活劇『るろうに剣心』舞台写真_8

浪漫活劇『るろうに剣心』は、10月11日(木)から11月7日(水)まで東京・新橋演舞場にて、11月15日(月)から11月24日(水)まで大阪松竹座にて上演。

(取材・文・撮影/嶋田真己)

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