朝夏まなと“新プリンセス”へ華麗なる変貌!ミュージカル『マイ・フェア・レディ』ゲネプロレポート


2018年9月16日(日)にミュージカル『マイ・フェア・レディ』が東京・東急シアターオーブにて開幕した。本作は、1956年3月にニューヨークにて初演を迎え、戦後のブロードウェイを代表する大傑作と称賛されたミュージカル。日本初演からも55年と、ミュージカル史に燦然と輝く不朽の名作が今回、朝夏まなと/神田沙也加(Wキャスト)という2人の“新プリンセス”と、寺脇康文/別所哲也(Wキャスト)を迎えて生まれ変わる。本記事では、朝夏と寺脇が出演した初日前日の公開ゲネプロの模様をお届けする。

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オードリー・ヘップバーン主演の映画版も有名な本作。日本での初演は、この映画が公開される1年前の1963年。日本人が日本語で上演した初のブロードウェイ・ミュージカルとして、大きな感動と興奮で迎えられ、日本のミュージカル史を語るに欠かせない最高傑作として今も燦然と輝いている。

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日本初演50周年となった2013年には、演出をG2のもとで一新。クラシカルな英国の香りと華やかさはそのままに、個性豊かな登場人物たちの、生き生きとした情感がより際立つ舞台となってリボーン(再誕生)した。その好評を博した新演出版が、朝夏×寺脇、神田×別所という新たなWキャストにより、初の東急シアターオーブでの上演となる。

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【あらすじ】
ロンドンの下町。貧しい花売り娘のイライザ(朝夏/神田)は、言語学者のヒギンズ教授(寺脇/別所)の提案で訛りの矯正と淑女になるための礼儀作法を教わることになる。厳しいヒギンズ教授のレッスンに耐えたイライザは、見違えるように麗しき貴婦人へ変貌を遂げる。華々しく社交界のデビューを飾ったイライザだったが、ヒギンズ教授にとって自分は研究対象にしか過ぎないと気づき、彼のもとを去ってしまう・・・。

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主演のイライザ役を演じるのは、元宝塚歌劇団宙組トップスターで、今回が退団後初のミュージカル出演となる朝夏。宝塚で男役を務めていただけあって、江戸弁で話し、ワイルドでがさつな下町娘も様になっているが、そんな中でも、そこかしこに見せるチャーミングな表情がなんとも印象的だ。そして、ヒギンズ教授のユーモラスなレッスンの数々を経て、貴婦人へと変貌するイライザ。ドレスと宝石を身につけて誕生した“新プリンセス”朝夏の美しさに息をのむ。

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その外見の変化だけでなく、「心の変化もハッキリと伝えたい」と初日前会見で意気込んでいた朝夏は、第二幕で訪れる葛藤を通して、外見だけではない奥底に潜むイライザの魅力を引き出していた。さらに、数々の歌唱シーンでも、イライザの変化に合わせて、女性らしい美しい歌声で観客を魅了する。そのステージ上には、長きに渡って男役を務めていた朝夏が女優へと華麗なる転身を果たすという、もう一つの『マイ・フェア・レディ』と言うべきシンデレラストーリーが存在しており、イライザは朝夏にとってハマり役と言えるだろう。

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2013年から3回目のヒギンズ役となる寺脇は朝夏を好リード。寺脇のリードにより輝きを増す朝夏と、そこから生み出されるハッピーな物語は、観る者を終始笑顔にし、夢中とさせること間違いなし。G2演出によって、大人っぽさを増したヒギンズについて、初日会見で寺脇は「明るく陽気な部分を絶対に失わないように気をつけたい」と語っていた。その言葉どおり、ジェントルマンな姿の中にユーモラスな面を見せる立ち振る舞いは寺脇ならではだ。

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そのイライザとヒギンズを見守る良き理解者たちである、ピッカリング大佐を相島一之、ヒギンズ教授宅の家政婦ピアス夫人を春風ひとみ、ヒギンズの母を前田美波里が演じる。イライザとヒギンズの2人を見守り、手助けする3人の存在が物語に心温まる瞬間を添える。

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そして、イライザの父ドゥーリトルを今井清隆、美しく生まれ変わったイライザに恋をするフレディを平方元基、フレディの母親アインスフォードヒル夫人を伊東弘美が演じる。下町で今井が活力あふれる人々と歌い上げ、上流階級の社交場で平方と伊藤、そして前田がエレガントに歌い上げる数々のミュージカルナンバー。豪華なミュージカル巧者たちによるミュージカルシーンとしても大満足だが、イギリス社会の構造として、上流階級と下流階級との対比と捉えて観るのも面白い。

心躍るハッピーで楽しい物語に、豪華で美麗なセットとオーケストラによる生演奏、珠玉の名作と呼ばれるにふさわしい一作が、“新プリンセス”朝夏のもとで東急シアターオーブに舞い降りる。

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ミュージカル『マイ・フェア・レディ』は9月30日(日)まで、東京・東急シアターオーブにて上演。その後、福岡、広島、大阪、愛知、大分を巡演。日程の詳細は以下のとおり。

【東京公演】9月16日(日)~9月30日(日) 東急シアターオーブ
【福岡公演】10月6日(土)・10月7日(日) 久留米シティプラザ ザ・グランドホール
【広島公演】10月10日(水)・11日(木) 上野学園ホール
【大阪公演】10月19日(金)~10月21日(日) 梅田芸術劇場メインホール
【愛知公演】10月24日(水)・10月25日(木) 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
【大分公演】10月31日(水)・11月1日(木) iichiko 総合文化センター iichiko グランシアタ

(取材・文・撮影/桜井宏充)

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