『うたの☆プリンスさまっ♪』が、“劇団”をテーマに展開する舞台公演プロジェクト「劇団シャイニング」。2017年に『天下無敵の忍び道』『マスカレイドミラージュ』、2018年に『JOKER TRAP』を順次上演し、さらには3公演のキャストが出演するレビューショー公演『SHINING REVUE』開催と、観客たちを興奮の渦に巻き込んだ大人気コンテンツが、新たに“映画”をテーマにした「シアターシャイニング」シリーズ4作を舞台化。
その第1弾作品『ポラリス』の東京公演が、2018年9月13日（木）より東京・AiiA 2.5 Theater Tokyoで開幕する。トキヤ・イチノセ役の松村龍之介、ナツキ・シノミヤ役の山川宗一郎、セシル・アイジマ役の横井翔二郎、そして舞台版オリジナルキャラクターであるラプラス・カールソン役の石渡真修、エンゲルバーグ・イチノセ役の和泉宗兵、レグスター・サクラバ役の柏木佑介、ヒロ・サニーライン役の安里勇哉らの表情を、上演を間近に控えた衣裳付き通し稽古よりお届けする（この日は稽古のため、キャラクターメイクはなし）。
ウイッグと衣裳を身に着けたキャストから順番に稽古場に姿を現し、スタッフと談笑したり台詞の確認をしたりと、思い思いにくつろぐ中、松村、山川、横井が、三者三様にデザインされたパイロットスーツに身を包み登場。
脚本・演出のほさかより「本日が衣裳を着て初めての通し稽古になります。衣裳の強度、動きやすさなど、皆さん自身で確認しながら演じてみて、気になる点があれば終わった後にスタッフに報告のうえ改善していきましょう」との説明があり、稽古がスタートした。BGMが流れる中、スタッフの「暗転しました！」「セット転換中です」「ここで○○の映像が入ります」という演出タイミングを知らせる声がかかり、次々とシーンが展開。人型兵器「ヒューマノイドアームズ」のコックピットと映像が重なり、侵略者“エネミー”との戦闘シーンが描かれていく。
前半は登場人物たちの関係性やSFならではの難解な用語説明があるのだが、突然パイロット候補生に選ばれて戸惑うヒロ・サニーラインを演じる安里に観客が感情移入することで『ポラリス』の世界観にスッと入っていけるようになっていた。
そんなヒロが所属することになったシャイニングユニバースのトップチーム。自分にも他人にも常に完璧を求めるトキヤは、ナツキとセシルに対して厳しい言葉を投げかける。ギスギスした空気を和ませようと、明るくふるまうヒロは、実に健気で愛しく思えて来る。
また、ラプラス・カールソン役を演じる石渡のキュートでどこか憎めない天然キャラクターや、“俺様キャラ”なレグスター・サクラバ役の柏木がミョ～にキレッキレなポージングを決める度に、スタッフから笑いが起こる一幕もあるなど、緊張感の中にも終始和やかな雰囲気で稽古は進んでいった。
そんなパイロット候補生たちのちょっとコミカルなやり取りとは対照的に、地球防衛組織「シャイニングユニバース」の総司令官エンゲルバーグ・イチノセ役の和泉が登場すると、クールで威厳に満ちた表情と重厚な演技で場の空気が一気に引き締まるのが感じられた。
ストーリー中盤になると宇宙からの侵略者・エネミーとの闘いの歴史や、登場人物それぞれが抱える悩みや葛藤する様にスポットが当てられ、さらにトキヤとエンゲルバーグの“親子であり上司と部下でもある”という複雑な関係による気持ちのすれ違いなど、緊張感漂うシーンが描かれる。次第に激しさを増すエネミーとの戦闘シーンも、アンサンブルキャストのアクロバチックな動きと衣裳の効果で巧みに表現。
もちろんキャスト陣の体を張った激しいアクションからも目が離せない。様々な思いが交錯する一方で、シャイニングユニバースに迫る危機･･･。意外なストーリー展開もさることながら、本番さながらの熱のこもった芝居に、気づけば物語の中にググッと引き込まれていた。
勇気と正義、そして信頼と友情。戦いの果てに少年たちが見つける“本当の強さ”とは―。SF作品でありながら、そこに描かれているのは、哀しくも暖かなヒューマンドラマ。人と人とのつながりの大切さ、相手を信じ受け入れることの難しさ、そして自身の信念を貫く勇気を、ぜひ舞台で目撃してほしい。
劇団シャイニング from うたの☆プリンスさまっ♪『ポラリス』は、9月13日（木）から9月23日（日）まで東京・AiiA 2.5 Theater Tokyoにて、10月5日（金）から10月8日（月・祝）まで大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティにて上演される。
【公式HP】http://gs-polaris.com/
(C)劇団シャイニング
（取材・文・撮影／近藤明子）
