『死神の精度』開幕!植田圭輔、萩原聖人ら大先輩に「どれだけ一生懸命食らいつけるか」


舞台『死神の精度~7Days Judgement』が、2018年8月30日(木)に東京・あうるすぽっとにて開幕した。本作は、伊坂幸太郎の同名小説の舞台化作品。2009年8月に初演され、活字として読み継がれる小説と違い、時間と空間を共有する”ライブ”ならではの作品として、伊坂ファンからも演劇ファンからも高く評価された。初日前には公開ゲネプロと囲み会見が行われ、萩原聖人、植田圭輔、細見大輔、ラサール石井が登壇し、意気込みを語った。

脚本・演出を手掛けるのは、和田憲明。伊坂作品については、このほかに『オーデュボンの祈り』を戯曲化(2011年上演、演出:ラサール石井)、リーディング公演として『死神の浮力』(2015年)を取り上げている。その和田の手掛ける作品に、萩原は四半世紀ぶりに出演するという。

『死神の精度』舞台写真_2

久しぶりに体感した和田演出について、萩原は「濃密な演出を久しぶりに受けましたが、25年経っても良いところはそのまま変わらない和田ワールドでした」と語った。演じるのは、ミュージックをこよなく愛する死神の千葉。役作りについては「最初、僕の考えたイメージとは違う要求を和田さんからいただき、やりたい芝居と良い芝居は違うんだなと感じましたが、和田ワールドとして成功した作品だと思っています」と振り返った。

『死神の精度』舞台写真_4

座組みの中で最年少となる植田は「僕は皆さんよりもずっと年下で、大先輩たちとの稽古でしたが、どれだけ一生懸命食らいついていけるか、余計なことを考えず、素直にぶつかってきました。飲み込むこともあれば、なにくそ!と思うこともありましたが、今思うと楽しいお稽古場でした」と先輩陣にもまれた思いを吐露した。

植田が演じるのは、ラサール石井演じるヤクザ・藤田を慕う阿久津役。「僕の演じる阿久津は、人間臭くて屈折していて、ちょっとまぬけなところがあります。阿久津の人間くささが好きだし、僕自身と似ている部分を感じていたので、演じやすかったです。観終わったあと、雨も晴れの天気も好きになっていただけるんじゃないかな。皆さんからどんな反応や感想がいただけるか楽しみです」と開幕を心待ちにしている様子だった。

『死神の精度』舞台写真_5

そんな植田を、千葉の同僚役を演じる細見は「男ばかりのキャストですが、彼がこの作品のヒロインだと思っています(笑)。彼のがんばっている姿をぜひ観に来てください」とコメントしつつ、「永遠に初日が来ないのでは、というぐらい緻密な稽古をしてきました。和田さんを信じて、本番を迎えたいです。僕は、実は劇中着替えが大変なのですが、和田さんが最後までこだわった衣装にも注目していただきたいです」とアピール。

『死神の精度』舞台写真_3

そして、唯一初演に続いて本作に出演する藤田役のラサール石井は、本作を「また新たに一から創り上げてきました。初演の時は、上演期間中に台詞や演技がまとまって安定してきたかなという時に、和田さんから『常に“今”を演じているんだからもっと流動的に!』とダメ出しを受けたこともあって(笑)。安定を望まない演出家さんなので、今回、幕が開いてからもあるんじゃないかな」と笑った。

なお、少し前にプロ雀士の資格を取得し、プロ麻雀リーグ「Mリーグ」のドラフト会議で電通のチーム「TEAM RAIDEN/雷電」から1巡目で指名を受けた萩原。麻雀に例え、本作を「純チャン三色(純全帯ヤオ九三色同順)ですね。しかも捨て牌が2枚出てて待ちが悪いやつ(笑)」と表現していた。

『死神の精度』舞台写真_6

【あらすじ】
「死神の精度」主人公は死神。その姿は毎回“仕事”がしやすいように設定されている。
「死」を実行される対象となった人間を一週間、つまり7日間調査し、その実行が「可」か「見送り」か 判断し報告する。調査員の死神は、実行がどのような形でなされるかを知らないが、8日目、死神はそれを自ら確認する。そうして、死神の一つとつの仕事が終わる。

調査と言ってもたいそうなことではない。1週間前に相手に接触し、2、3度話を聞くだけ。判断基準は個々の裁量にまかされているが、よほどのことがない限りは「可」の報告をすることになっている。 死神たちは人間やその死には興味がないが、人間界のミュージックはこよなく愛している。これは死神に共通して言える事で、CDショップに行けば必ずといっていいほどほかの死神と出会うことが出来る。主人公である「死神」が仕事のために人間界へ赴くと必ず雨が降っており、彼は青空を見たことがない。

今回、彼が担当するのは、藤田という中年の男だった。事前に渡された情報によれば、やくざ、ということらしい。死神の千葉(萩原)は指令を受けてヤクザの藤田(ラサール石井)のところにやってきた。今回の彼の姿は40代の中年男。

藤田は兄貴分を敵対する栗木に殺され、その敵を取ろうと舎弟分の阿久津(植田)に探らせていた。死神を派遣する情報部の予定通り、阿久津は千葉と巡り会う。藤田が匿われている部屋に潜入した千葉は藤田を観察し始める。馬鹿正直なくらいの任侠の男、藤田。その藤田に心底惚れ込んでいる阿久津。

死神・千葉が加わったことで、彼らの運命は加速する。
ストーンズの能天気なブラウンシュガーがBGM代りに鳴り響く―。

『死神の精度』

石井光三オフィスプロデュース『死神の精度~7Days Judgement』は、8月30日(木)から9月9日(日)まで東京・あうるすぽっと(豊島区立舞台芸術交流センター)にて上演。その後、倉敷、名古屋、兵庫、山形、仙台、盛岡を巡演する。日程の詳細は、以下のとおり。

【東京公演】8月30日(木)~9月9日(日) あうるすぽっと
【岡山公演】9月11日(火) 倉敷市芸文館
【愛知公演】9月13日(木) 名古屋市青少年文化センター
【兵庫公演】9月19日(水) 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
【山形公演】9月23日(日) シベールアリーナ
【宮城公演】9月28日(金) 電力ホール
【盛岡公演】9月30日(日) 盛岡劇場メインホール

【公式Twitter】@7days2018

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