3枚の“地図”と“嘘”で繋ぐ『MAPS』開幕!少年社中、ゴールではない20周年のその先へ


2018年5月31日(木)に東京・紀伊國屋ホールにて少年社中の第34回公演『MAPS』が開幕した。本作は、毛利亘宏が主宰する劇団少年社中の20周年を記念公演第2弾で、約1年4ヶ月ぶりとなる劇団本公演。公開ゲネプロより、その一部をレポートする。

少年社中20周年記念第2弾 少年社中第34回公演『MAPS』舞台写真_4

今回、毛利が描いたのは“3枚の地図を巡るファンタジー”。「楽園を目指して旅する冒険家」、「江戸時代、日本の地図を作ろうとした伊能忠敬」、「一人の漫画家が苦悩の果てに生み出す漫画」の3つの地図の物語を、3つの嘘を交えながらつなぎ合わせていく。

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出演者は、井俣太良、大竹えり、岩田有民、堀池直毅、加藤良子、廿浦裕介、長谷川太郎、杉山未央、山川ありそ、内山智絵、竹内尚文、川本裕之、以上劇団員12名に加え、南圭介、多和田秀弥、小野健斗、伊勢大貴、柏木佑介、あづみれいか、中村誠治郎が名を連ねている。

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一つ目の地図を持つのは「冒険家」(多和田)。冒険家は、“幻の楽園”を目指そうと仲間を集める。ある地図を頼りに海へ出るが、彼はその地図が“嘘”であることを知っていた。激しい嵐の晩に、死の覚悟を決めた冒険家は、仲間に地図が偽物であることを告白するが・・・。

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二つ目の地図を持つのは「江戸の商人」だった伊能忠敬(岩田)。隠居を決めた彼は、家族の静止を振り切って「自分の力で日本の本当の形を知りたい」と旅に出る。それは彼の“嘘”だった。本当の目的は・・・。

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三枚目の地図を持つのは漫画家(南)。売れっ子になった彼は、次回作へのプレッシャーからカウンセリングに通うようになる。ある日、一人の女性(山谷)が漫画家の元を訪ねてくる。「ファン」と名乗る彼女は、突然アシスタントにしてほしいと言う。しかし、漫画家はある“嘘”を抱えており・・・。

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3つの物語は、“快楽至上主義者”・パーフェクトグラフィティケーション(井俣)、“永遠なる怖れ”インフィニティアフリード(中村)、“哀しみの奴隷”ザ・スレイブサッドネス(杉山)によって、少しずつ絡み合っていく。

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ファンタジーという得意の要素で包みながらも、赤裸々に“今を生きる”というリアルに切り込んでいくような感覚。いい意味で、こんなにも個人的なことを描いた毛利作品があっただろうか。きっと、少年社中として模索してきた道のりには、楽しさだけでなく、迷いも苦しみもあっただろう。きっとその経験のすべてが、パズルのように組み合わさってこの物語に繋がっているように思う。

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また、舞台セットもおもしろい。テトリスのような形をしたブロックが、物語の様々なシーンを構成していく。収まりのよい組み合わせもあるし、アイデア次第でどんな形にもなる。舞台の上には、まだまだ可能性があると視覚からも示唆しているようだった。

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20周年のその先へ。少年社中が、今を繋ぎ合わせた未来に向けてどんな“地図”を描き進めていくのか、楽しみだ。

少年社中20周年記念第2弾・第34回公演『MAPS』は、6月12日(火)まで東京・紀伊國屋ホールにて、6月22日(水)から6月24日(日)まで大阪・ABCホールにて上演。

【公演公式HP】http://www.shachu.com/maps/

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(取材・文・撮影/エンタステージ編集部)

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