霧矢大夢&鈴木壮麻『I DO! I DO!』レポート!夫婦の50年をピアノの生演奏で歌うミュージカル


2018年5月11日(金)に東京・銀座 博品館劇場にて、霧矢大夢と鈴木壮麻による二人だけのミュージカル『I DO! I DO!』が開幕した。本作は1組の夫婦の50年を描いた作品で、2014年の日本上演では妻役の霧矢大夢が読売演劇大賞優秀女優賞を受賞。今回、夫役に新たに鈴木壮麻を迎え、同役で4年ぶりの再演となる。

霧矢大夢&鈴木壮麻『I DO! I DO!』舞台写真_2

舞台は、アメリカのどこにでもいそうな中流階級の夫婦の寝室。今日は新婚初夜。「I DO! I DO!(誓います)」と指輪を交わし、幸せな結婚式をあげたアグネス(霧矢)とマイケル(鈴木)は、期待と緊張を含んだ幸せの中にいた。互いの姿しか見えない甘い結婚生活が始まる。

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すぐにアグネスは長男を身ごもり、二人は新しい命を授かる。その喜びと不安。家族が増えたことにより慌ただしくなる日々。数年後には、長女が誕生する。生活は子供中心へと変わる。二人だけの家に、子どもの服やおもちゃが増える。次々と登場するカラフルな衣装と小道具が、楽しくも慌ただしい子育て生活を想像させる。

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この夫婦にも、どこの家庭にも起こりうるさまざまな問題がある。それらを乗り越えていくうち、アグネスは自分の人生を思う。結婚して妻になり、母になった。けれども自分はいったい誰で、二人で生きるってどういうこと?「I DO!」と誓い合った日から幾年月。子どもが巣立っていく時、二人は・・・。

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霧矢と鈴木は、上品で身なりも良い紳士淑女のカップル。さっぱりした素直で強気のアグネスと、紳士で甘え上手で皮肉屋だが母性本能をくすぐるマイケル。愛し合って結婚したものの、時にはお互いのちょっとしたことが気になってぶつかってしまう、ちょっぴり面倒くさい二人。ズレたやりとりが笑いをうみ、客席には思わず手を叩いて笑う観客の姿も。

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二人の気持ちが噛み合わない時も、ダブルピアノの生演奏が軽快な調べを奏でる。お互いしか見えないほど恋に落ちても、くだらない喧嘩も、深刻な諍いも、重なる二人のハーモニー。原譜ではなくブロードウェイで上演したアレンジを耳コピしたという演奏が、軽やかに人生を刻む。二人芝居だが、まるで四人芝居のように息を合わせ、時には俳優とピアニストの世界が交わる。

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1966年にブロードウェイで初演。当時描かれた夫婦の50年は、今想像する50年とは社会的背景が異なる。男女に求められるものがそれぞれ明確に違い、男女の社会進出、社交界での付き合いも現代とは異なる。また、いくつもの戦争があった。物語には直接出てこないそれら生活の背景に想像を膨らませると、二人が経てきた50年は、軽快なピアノのメロディのような瞬間ばかりではなかったはずだ。それでも時間は踊るように駆け足で過ぎていく。それが人生だろうか。

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『I DO! I DO!』は、日本でも様々な俳優たちにより上演されている。越路吹雪と平幹二郎、越路吹雪と細川俊之、草笛光子と細川俊之、平みちと村井國夫、久野綾希子と細川俊之、高嶺ふぶきと川崎麻世、春風ひとみと村井國夫・・・。二人の呼吸、二人の相性、二人のバランス。相手が変われば芝居も変わり、夫婦の形も変わっていく。俳優の組み合わせの数だけ、夫婦の形がある。

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2014年は、マイケル役は福井貴一と柳瀬大輔のダブルキャストだった。今回は夫・マイケルを鈴木が演じたことで、霧矢の新たな顔も引き出されている。きっと人生も同じ。パートナーが違えば、人生の彩りも変わってくるのだ。

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ミュージカル『I DO! I DO!』は、5月20日(日)まで東京・銀座 博品館劇場にて、5月26日(日)に兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホールにて。上演時間は休憩20分を含む約2時間40分。

(取材・文/河野桃子)
(撮影/交泰)

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