本公演が待ち遠しい!世界初「ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』イン コンサート」舞台挨拶レポート


2018年5月12日(土)・5月13日(日)の2日間、東京・東急シアターオーブにて「ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』イン コンサート」が開催された。初日公演後には舞台挨拶が行われ、中川晃教、藤岡正明、中河内雅貴、伊礼彼方、海宝直人、矢崎広、福井晶一、Spi、演出担当の藤田俊太郎らが登壇。コンサートを終えた感想や、再演に向けての意気込みを語った。

「ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』イン コンサート」舞台写真_17

トニー賞最優秀ミュージカル賞やグラミー賞などを受賞した名作ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』は、2014年にクリント・イーストウッド監督のもと映画化されたことでも記憶に新しい。そして2016年に日本初上陸を果たし日本人キャスト版で上演、全日チケット完売。第42回菊田一夫演劇賞や第24回読売演劇大賞をはじめとする数々の演劇賞を受賞した。

「ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』イン コンサート」舞台写真_15

今回のコンサートは、2018年9月より東京・シアタークリエでの再演、10月の全国ツアー開催を記念したもの。初演キャストである中川、藤岡、中河内、海宝、矢崎、福井が再び顔を揃え、再演より新たに加入する伊礼とSpiにとっては初お目見えの機会となった。なお、本公演はホワイトとブルーの2組に分かれてのWキャスト公演となる(中川のみ両チームに参加)。

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コンサート終了後、まずはフランキー・ヴァリ役の中川が「フランキー・ヴァリという役を手中に収めるため、本当に多くの方々の力をお借りしました。フランキーの声は、僕の声とはちょっと違うので、まず自分にない声を発見することから始まりました。再演に向けて、僕がこの2年間ずっと挑戦してきたことが試されようとしていますが、その前に今日のコンサートで『ジャージー・ボーイズ』の魅力をお届けすることが出来て嬉しく思います。音楽を通してたくさんの方々に夢や希望、元気をお届けできる、そんな作品に携われることが本当に嬉しいです。どうぞ皆さん、応援よろしくお願いいたします!」と挨拶。

「ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』イン コンサート」舞台写真_10

2016年の初演でトミー・デヴィート役を演じた藤岡は「およそ2年ぶりの再演、だけどそこに僕はいません。僕だけいないんです」と悲しい気持ちを吐露。「演出家から嫌われてますんで・・・」と寂し気に呟くと、すかさず演出の藤田が「僕は藤岡さんが大好きです!」とフォロー。さらに「今年の再演を経てきっとまた呼んでくれることでしょう、僕のトミーが一番いい!って(笑)」と“舌好調”な藤岡へ、藤岡からバトンタッチしてトミー役を継ぐ形となる伊礼が軽やかなキックをお見舞いする。冗談を言って楽しむ藤岡の様子に、客席からも大きな笑いが起こった。

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ホワイトチームのトミー役の中河内は「僕はいつでもアッキーさんの癒しとなる存在でいたいなって思います」と挨拶。Wキャストであるブルーチームのトミー役の伊礼から「俺が癒してないみたいじゃね~か!」とツッコミの声が飛ぶも、「アイツはいつちょっとうるさいんで・・・(笑)」と交わしつつ、「ホワイトは本当に温厚な人たちなので僕も尖ることなく。あちらのチームは色々と大変そうなので、陰ながら見守っていようかなと思います(笑)」と笑顔を見せた。

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続いて伊礼は「初演をやっている藤岡が“何かあったらフォローするから”と言ってくれたけど、いざ今日パスを回したら藤岡がテンパるっていう・・・」とコンサート本編での様子を振り返った。これについて、藤岡は「俺もう2年の間に台詞忘れてんだよ!自分の番しか覚えてなかったんだよ(笑)!」と反論。伊礼は「こんな感じでコンサートも楽しく出来たんじゃないかな」とまとめつつ、「まぁ僕らはホワイトチームみたいにイエスマンじゃないんで・・・もっとクリエイティブにしていこうと思うので(笑)」と、中河内にもしっかりと対抗した。

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ホワイトチームのボブ・ゴーディオ役の海宝は「久しぶりに皆で集まってコーラス練習をして、辛かった日々を思い出しました・・・」と振り返る。「精密でとても繊細で、音程だけでなく声色とか、本当に全部を合わせていく作業が大変だったけどとても楽しい時間でした。ホワイトチームは穏やかに(笑)。全員が前回と同じメンバーということで深めつつ、皆さんに素晴らしいショーを見ていただけるようにがんばって参ります」と難しい作品に苦戦したことを明かしながらも、前向きな言葉で再演への期待感を伝えた。

「ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』イン コンサート」舞台写真_9

ブルーチームのボブ役の矢崎は「日本初、世界初のコンサートということですが、実は僕自身にとっても初のコンサートでした。でもこのメンバーでいると初めてのことが全然怖くなくて、なんか力強くて、おっかなくて、頼りがいがあって、本当に『ジャージー・ボーイズ』の現場に来るのが毎回楽しみです」と笑顔。

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「ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』イン コンサート」舞台写真_13

また、これまでのメンバーの挨拶を受けて「ブルーという新生チームで再演しますが、こうやって話していると、どうやらブルーは大変そうだなって・・・(笑)」と少しタジタジの様子。それを聞いた伊礼が矢崎を指差しながら近付き、そのままなぜか矢崎の頬にキス!されるがままの矢崎と、客席に向かってドヤ顔を決める伊礼に、大きな悲鳴や歓声に包まれる場内。笑顔のまま硬直した矢崎は、初演時レッドチームだったことになぞらえて「自分自身も色を変えて一生懸命にがんばります」と意気込みを語った。

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ホワイトチームのニック・マッシ役の福井は「初演に出させていただいて、また再演に呼んでいただいて光栄です。歌が大好きでこの世界を目指したので、これだけ素敵な楽曲に包まれて、また同じステージに立てると思うと本当にワクワクします」と喜びを語り、「(このメンバーで)唯一40代、頑張ります(笑)」と茶目っ気たっぷりに意気込んだ。

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ブルーチームのニック役のSpiは、伊礼と同じく再演からの参加メンバー。「いやぁ~・・・『ジャージー・ボーイズ』最高。音楽最高!超楽しい!!」と素直な言葉で喜びを表現し、「超楽しかったですよね?」と客席へ問いかけると観客たちも大きな拍手で応えた。「これは一生できる、やめたくない!」と訴えるSpiに、絶妙なタイミングで「だからまた(秋から)始まるって!」という伊礼からのツッコミが炸裂。「今回はブルーですけど元レッドチームの情熱的な男性たちがいるので、きっとブルーもかっこいい世界一のチームになるんじゃないかなと思っています」と話す和かな表情からも、本公演を心待ちにしている様子が伝わった。

「ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』イン コンサート」舞台写真_18

キャストの挨拶を踏まえ、演出を手掛ける藤田が「この『ジャージー・ボーイズ』は観客一人一人のものです。そしてバックステージ、スタッフ、舞台上にいるミュージシャン、作品を支えるそれぞれの物語です。これらは脚本家のリック・エリスさんの言葉ですが、今日コンサートを迎えるにあたって、この素晴らしい世界一のジャージー・ボーイズの皆さんと共に、世界一のカンパニーが作品を支えてくれました。今はこの舞台上にいませんが、支えてくれたすべてのスタッフの方にぜひ拍手をいただけたらと思います」と客席へ語りかけると、会場中に大きな拍手が鳴り響いた。

「ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』イン コンサート」舞台写真_16

そして、舞台挨拶を締めくくったのはやはりこの人、中川。「このシアターオーブという劇場は、日本のエンターテインメントと世界のエンターテインメントが繋がっているような、そんな特別な場所のような気がします。藤田さんのお言葉にもあったように、この作品を通してたくさんの方々と出会ってきました。もちろん、皆様お一人お一人もその存在です。『ジャージー・ボーイズ』はシアタークリエから始まりましたが、2年の時を経て、こうしてシアターオーブでコンサートとしてお届けできていることにも何か運命があるのかなと思います。その一つ一つがジャージー・ボーイズの血となり肉となり、感動となって皆様と一緒に共有できる、そんな日を迎えるために頑張っていきたいと思います」と丁寧に言葉を紡いだ中川の言葉に、観客も真剣に聞き入り、あたたかい拍手を贈った。

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この2日間でしか聞けない、8つの声が揃ったコンサート。客席も舞台上も、笑顔、興奮、感動が渦巻き、本公演への期待がますます募る時間となった。

ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』(2018)は、9月7日(金)から10月3日(水)まで東京・シアタークリエにて上演される。その後、秋田、岩手、愛知、大阪、福岡を巡演。日程の詳細は、以下のとおり。

【東京公演】9月7日(金)~10月3日(水) シアタークリエ
【秋田公演】10月8日(月・祝) 大館市民文化会館
【岩手公演】10月11日(木)・10月12日(金) 岩手県民会館
【愛知公演】10月17日(水)・10月18日(木) 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
【大阪公演】10月24日(水)~10月28日(日) 新歌舞伎座
【福岡公演】11月3日(土)・11月4日(日)久留米シティプラザ ザ・グランドホール

(取材・文・撮影/堀江有希、舞台写真/東宝演劇部提供)

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