辰巳雄大、高田翔らの「キラキラした純愛」『雲のむこう、約束の場所』ついに開幕!


2018年4月20日(金)に舞台『雲のむこう、約束の場所』が東京・東京国際フォーラムにて開幕した。本作は、アニメ『君の名は。』が国内外で大ヒットとなった新海誠の初長編アニメーション。3人の少年少女たちの恋心を中心に、舞台版では大人たちの関係にも焦点を当てて描かれていく。初日前には、ゲネプロと囲み会見が行われ、辰巳雄大(ふぉ~ゆ~)、高田翔(ジャニーズJr.)、伊藤萌々香(フェアリーズ)、浅野温子、松澤一之、湖月わたるらが登壇した。

『雲のむこう、約束の場所』02

主人公、藤沢浩紀を演じた辰巳は、本作が舞台主演2作目となる。中学生、大学生、大人という3時代を演じ、ずっと一人の少女を思い続ける。会見で辰巳は「こんなに純愛を演じるのは初めてです。こんなにキラキラした31歳はどこにもいませんよ(笑)」と笑いを誘った。その言葉通り、友情、恋、夢・・・すべてにまっすぐに向き合う浩紀は、舞台上で青春を背負い、キラキラと輝いている。

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浩紀の幼馴染・白川拓也を演じる高田は、ストレートで子どもっぽい浩紀と反対に、理性的で真面目な拓也を誠実に演じた。高田が「映像がすごい」と感激したとおり、舞台では原作に忠実なアニメーションが使われる。新海アニメはその風景の美しさが大きな魅力だが、劇場の舞台前面に映しだされる映像には、その世界に入り込んだ心地良さがある。

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伊藤は、本作のヒロイン・沢渡左由理を演じた。いつも笑顔で明るいが、どこか儚げな雰囲気。少年たちの憧れであり、女友達も多そうな可憐なヒロインを繊細に演じた。相手役の辰巳とは実年齢11歳離れており、稽古最初は緊張していたと明かしたが、稽古を重ねるごとに気さくなカンパニーに緊張もほぐれたそうだ。舞台では堂々と、しかし今にも溶けてしまいそうな儚げな空気を纏っており、アニメからそのまま出てきたような左由理だった。辰巳と重ねる歌のシーンでは、SFファンタジーの世界観を大切にしつつも、気持ちが生々しく溢れるまっすぐな声を響かせる。

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物語の舞台は、もう一つの世界。空に突き刺さるように、高くまっすぐな白い謎の塔がそびえ立っている。日本は津軽海峡を挟んで南北に分断されており、多くの家族が引き裂かれて暮らしていた。青森に住む二人の少年、浩紀と拓也は幼い頃からずっと一緒。飛行機に憧れ、自分たちでこっそり「ヴェラシーラ」と名付けた真っ白な飛行機を自作していた。

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憧れるものが似ている二人は、同じ女性にも惹かれていく。バイオリンを練習する左由理だ。彼女に「ヴェラシーラ」を見せた二人は、いつか対岸にそびえ立つ、雲の向こうまで伸びた白い塔まで飛ぼう、と約束する。しかし左由理にまつわるある出来事を境に、二人は飛行機を作らなくなってしまう・・・。

舞台版は原作アニメにほぼ忠実だが、浩紀と左由理の純愛にフォーカスしている。話すことすら緊張する甘酸っぱい恋に一喜一憂する浩紀を見つめる拓也の目が優しい。少年少女たちの世界は、希望と恋でできているようだ。そこで笑い合う3人の距離感が心地よく、教室に差し込む太陽の光のように眩しいので、いつまでも彼らを見続けたくなってしまう。

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また、舞台では大人の三角関係も丁寧に描く。工場の社長、岡部(松澤)と、彼に思いを寄せるかつての部下・常子(湖月)。そして南北分断により岡部と生き別れてしまった妻・芳江(浅野)。誰かへの純粋な思いを持ち続ける大人たちの相手を思いやる恋心が、少年少女たちとはまた違う切なさと愛しさを生む。未来が青空のように晴れ渡っている若者たちと対比するように、大人の恋愛は、自分の生きる信念と誰かを幸せにしたいという愛情とのせめぎ合いだ。二つの世代の恋愛がシンクロする時、いくつになっても人を思う気持ちは「純粋」そのものなのだと考えさせられた。

舞台『雲のむこう、約束の場所』は、4月24日(火)まで東京・東京国際フォーラムにて、5月2日(水)に大阪・NHK大阪ホールにて上演。

【公式HP】http://www.kumonomukou-stage.com/

(取材・文・撮影/河野桃子)

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