草なぎ剛「未知なる自分を追い求めて」3年振りの舞台『バリーターク』制作発表会


2018年2月7日(水)に神奈川・KAAT神奈川芸術劇場にて、同劇場の2018年度ラインナップ発表会が催され、会の冒頭にて新年度のスタートを切る舞台『バリーターク』の制作発表会が行われた。発表会場には主演を務める草なぎ剛のほか、松尾諭、小林勝也、そして本作の演出を務めるKAAT神奈川芸術劇場の芸術監督・白井晃が登壇した。

『バリーターク』とは、アイルランド生まれの劇作家・脚本家エンダ・ウォルシュが手がけた作品で、これが日本初演となる。ウォルシュは映画『ONCE ダブリンの街角で』を舞台化した『ONCE』の脚本で、2012年にトニー賞最優秀脚本賞を受賞。また、デヴィッド・ボウイ主演で映画化された小説「地球に落ちて来た男」の男の結末を描いた舞台『LAZARUS』の脚本でも知られる。

【あらすじ】
「バリーターク」それは二人が口にする、ある村の名前。二人は誰か、どこにいるのか。そして壁の向こうには何があるのか。部屋の中で暮らす二人の元に第3の男が現れて・・・名前もなく謎に包まれた3人の男たちが何をしようとしているのか、すべてが謎に包まれた物語―。

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本作は、KAAT神奈川芸術劇場と東京・世田谷パブリックシアターの共同企画。これについて、白井は「両劇場は距離的にも近いが故に、一緒にやるのはどこかタブー視されていたような感がありましたが、これまで両劇場にお世話になってきた自分が橋渡しになれれば、と共同企画を提案しました。公共劇場としての大きなチャレンジだと思っています」と語った。また、本作の登場人物について「この脚本は登場人物が“男1”“男2”としか書いていないのですが、読んでみて思い浮かんだ理想のイメージキャストがこのお二人(草なぎ、松尾)だったんです。このお二人にやっていただけたら、と描いていた夢が今、現実となって嬉しいです。また先輩としても尊敬している小林さんに“男3”をお願いすることができました」と笑顔を見せた。

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主演を務める草なぎは「白井さんに声をかけていただいて、松尾さん、小林さんとガッツリとお芝居が出来ることになりました。僕自身も久しぶりの舞台です。新しい自分を表現できる舞台になると思っています。海外作品ということで難しい描写や台詞もあると思いますが、これもまた楽しんで新しい自分を発見する・・・(自分の)成長にも繋がるんでしょうか。未知なる自分を追い求めて舞台に立ちたいと思います」と意気込んだ。

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松尾は「この舞台のお話をいただいた時、正直びっくりしました。普段は舞台の端の方でギャーギャーやっていることが多く、またそういうことの方が自分の性分に合っていると思います。でも今回はステージの真ん中でワイワイやる役。台詞も多く、身体も動かすことになるようで大変なことも多くなりそうですが、楽しみでいっぱいです。きっと白井さんに、稽古中いっぱい怒られたり(松尾を見て苦笑いする白井)、草なぎさんや小林さんに『何だコイツは』と思われることもたくさんあると思いますが、そこは大目に見ていただき、楽しいものを皆さんにお届け出来るようにがんばりたいです」と、こちらもやる気をみなぎらせていた。

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二人の元に訪れる“第3の男”こと小林は「私が芝居を始めた頃は、劇団に所属するとその劇団の舞台にしか出演出来なかったものですが、このように様々なプロデュース公演や公共劇場が出来て、力のあるスタッフや役者と出会える時代となりました。ここまで役者をやってきてよかったと思います」とこの日に至るまでの演劇界を振り返りつつ、喜びをあらわに。

今、この時代に本作を上演する意義について、白井は「直接的に社会に繋がることは出てこないんです。二人の男がただ日常を繰り返しているだけの話。でもこの激変していく社会の中で我々が感じている人間の“生”とは何なのか、という普遍的なテーマとは確実に繋がっているし、男二人が繰り返す行為は我々の日常を照らし出していると思うんです。そこから、我々とは何なんだろうか?仮に自分の記憶が自分を作るのなら、何が自分の“生”を作っているのか・・・そのテーマがこの作品の中にあると思いますよ」と作品の見どころを熱く語った。

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出演者同士の仲について質問が及ぶと、草なぎは「今日がほぼ初対面なので・・・察してください」と苦笑い。ただ、白井とは過去に稲垣吾郎が主演した舞台『No.9 -不滅の旋律-』を観劇した時に面識があったそうで「今回の脚本を読んだ時、すごく難しかったのですが、先ほど白井さんがおっしゃってた“普遍的な生や死”が描かれているということは感じ取れました。興味が尽きない内容だなと感じています」と作品への思いを述べた。

松尾も作品の難解さを口にし「一読目はちんぷんかんぷんで、二読目はさらに分からなくなり、三回目は・・・まだ読んでいません」と笑いを誘いつつ、「個人的にはデヴィッド・リンチのような作品が好きで、難読な作品の『余白』にあたる部分を観る側と演じる側で埋めていける本なんじゃないかな」と期待を寄せていた。

そして、「これまでにも難解で、変わっている・・・というか、やって見なけりゃ分からないという作品はたくさんありましたが、この作品今回がその最高位だと思います」と語る小林。「いつもの作品よりは緊張していますね。分量、解釈、難解さをどうやっていくかお二人と話しながら楽しんで取り組みたいです」とコメントすると、草なぎと松尾は小林に笑顔を見せていた。

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KAAT×世田谷パブリックシアター『バリーターク』は、4月14日(土)から5月6日(日)まで神奈川・KAAT神奈川芸術劇場にて行われ、その後、5月2日(土)から6月3日(日)まで東京・シアタートラムにて、6月16日(土)・6月17日(日)に兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホールにて上演される。

※草なぎ剛の「なぎ」は弓へんに前の旧字体、その下に刀が正式表記

(写真・文・撮影/エンタステージ編集部)

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