ナイロン100℃、3年ぶりの新作『ちょっと、まってください』開幕!三宅弘城「爆笑とまた違うおもしろさ」


2017年11月10日(金)東京・本多劇場にて、来年25周年を迎える劇団ナイロン100℃の第44回公演『ちょっと、まってください』が開幕した。『ちょっと、まってください』は、劇団公演としては3年ぶりの新作となり、ナイロンファン待望の公演。出演者には、三宅弘城、大倉孝二、みのすけ、犬山イヌコ、峯村リエ、村岡希美といった劇団の主力俳優に加え、水野美紀、遠藤雄弥、マギーら実力派客演陣が加わった。

『グッドバイ』『8月の家族たち August:Osage County』『キネマと恋人』『陥没』など演劇界で話題となった作品を次々と発表し、近年賞を総なめにしている作・演出のケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)が、自身のホームである劇団で、今、自分が一番やりたいことを、KERA作品の神髄を表現出来る鉄人メンバーで上演するとあって注目が集まる。

ナイロン100℃『ちょっと、まってください』舞台写真_2

物語は、どこの国かははっきりしないが、クラシカルな洋装に身を包んだ裕福な家庭の居間から始まる。金持ちの父親(三宅)、母親(犬山)、息子(遠藤)、娘(峯村)、使用人(マギー)などが四方山話に花を咲かせる。一方屋外には、宿無しの乞食の家族。その息子(大倉)と娘(水野)が、何やら込み入った話をしている。

ナイロン100℃『ちょっと、まってください』舞台写真_3

物語が進んでゆくに従い、登場人物たちを隔てている区別の不安定さ、定義付けしようとすれば煙に撒かれるような感覚、傍観する観客の観点も足下が揺らぐような、不思議な感覚にとらわれる。まったく環境の違う二つの家族の日常の中に、少しずつ入り込んで来る異物感。この家族たちに、どんな接点が生まれ交差してゆくのか・・・。それは劇場で堪能して欲しい。

ナイロン100℃『ちょっと、まってください』舞台写真_4

KERAは、今公演の発表時には、別役実的な不条理喜劇を創りたいと述べていたが、別役作品へのパスティーシュもありながら、カフカ的なところもあり・・・やはり、唯一無二のケラリーノ・サンドロヴィッチの世界観が、そこにあった。不条理な会話一つ一つに目を離せない密度があり、キャスト陣の技術の豊かさが堪能出来る作品だ。時に笑い、時に困惑しながら行き先不明の航海をお楽しみに。

ナイロン100℃『ちょっと、まってください』舞台写真_7

公演初日後、劇団員の三宅は「(初日を迎えるまでは)結構、切羽詰まっておりましたが、力を合わせて一つの作品を作り上げていくのは劇団ならではだなと思いました。今は、無事に初日を迎えることができてホッとしています。(お客様が入り)どんな風にご覧になり、どんな風に笑いがくるのか、楽しみだったのですが、喜んでいただけた感じだったので良かったです。爆笑するタイプのものとまた違うおもしろさがある作品だと思いますので、ぜひ、劇場に来ていただけたらと思います。来年劇団は25周年、自分が出る作品は『睾丸』(仮題)という作品なので、タイトルに負けないようにがんばりたいと思います」と、初日の感想を安堵した様子で語り、25周年への意気込みを述べた。

ナイロン100℃『ちょっと、まってください』舞台写真_10

ナイロン100℃ 44th SESSION『ちょっと、まってください』は、12月3日(日)まで東京・ 本多劇場で公演。その後、各地を巡演する。日程の詳細は、以下のとおり。

なお、東京公演の当日券は、毎公演開演の1時間前から本多劇場入口にて販売。

【東京公演】11月10日(金)~12月3日(日) 本多劇場
【三重公演】12月6日(水) 三重県総合文化センター 三重県文化会館 中ホール
【兵庫公演】12月9日(土)・12月10日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
【広島公演】12月12日(火) JMSアステールプラザ 大ホール
【北九州公演】12月16日(土)・12月17日(日) 北九州芸術劇場 中劇場
【新潟公演】12日20日(水) りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館・劇場

【ナイロン100℃HP】http://sillywalk.com/nylon_swp/
【キューブHP】http://www.cubeinc.co.jp

ナイロン100℃『ちょっと、まってください』舞台写真_8

ナイロン100℃『ちょっと、まってください』舞台写真_9

(取材・文/オフィシャル提供、編集/エンタステージ編集部)
(撮影/桜井隆幸)

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