大竹しのぶがフィリップ・ブリーンと再タッグ!『欲望という名の電車』製作発表


現代アメリカにおける最高の劇作家と呼ばれるテネシー・ウィリアムズの名を世界に知らしめた不朽の名作『欲望という名の電車』。2002年に蜷川幸雄が演出した同作で主演としてブランチ役を演じた大竹しのぶが、フィリップ・ブリーンの演出で再び同役に挑む。公演に先駆け、2017年11月6日(月)に行われた製作発表には、演出のブリーン、主演の大竹のほか、北村一輝、鈴木杏、藤岡正明が登壇した。

本作の舞台は、第二次世界大戦後のニューオリンズ、フレンチクォーター。ブランチ・デュボア(大竹)は、電車を乗り継ぎ、妹のステラ・コワルスキー(鈴木)の家にやっとの思いで辿り着いた。姉妹は、南部の大農園で育った古き良き時代の上流階級の出身だったが、ステラは活気ある街での猥雑な生活を楽しみ、満ち足りた結婚生活を送っている。しかし、ブランチはその生活になじめない。お高くとまった服装が場違いで、ステラの夫スタンリー(北村)とも反目し合い、ことあるごとに衝突していた。そんななか、スタンリーの友人ミッチ(藤岡)がブランチに愛を告白し、過去から逃れてきたブランチは最後の望みをかける。だがその願いは叶わず、絶望的な孤独の中でブランチは次第に狂気へと堕ちていく・・・。

ブリーンは、今、英国で熱い注目を集める気鋭の演出家だ。2015年の日本デビュー作『地獄のオルフェウス』に続き、大竹とタッグを組み、再びウィリアムズの名作に挑む。

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ブリーンは「この戯曲はイギリスでもアメリカでもたくさん上演されていますが、多くのプロダクションがエリア・カザン監督の映画作品、特にスタンリー役のマーロン・ブランドのお芝居に非常に影響を受けていると感じています。社会的状況などをリアルにとらえた作品として演出されていますが、今回改めて戯曲を読んで、リアルなことだけにとどまらない表現的な言語が溢れていると感じました」と本作への思いを語ると、「ト書きの中には『ゴッホの絵画のような』とか、空の青色の描写も非常に美しい言葉で書かれています。そういった表現的な世界を今回は舞台の上でお見せできたらと考えています。その中で、幻想とはなんなのか、対してリアリティとはなんなのか。その本質を探っていければと思います。家庭の中での一つの悲劇にとどまらず、より大きな表現の世界にすることを目指しています」と演出プランを明かした。

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一方、大竹は「15年前に蜷川さんとこの作品をやり、もう一度やろうと約束していたのですが、それが実現できなくなりました。じゃあ、この作品を誰と一緒に作ろうかと思った時『フィリップならいいんじゃない?』って、蜷川さんが言ってくれそうな気がしました」と胸の内を明かした。さらに、現在行われている稽古について「今、台詞の一言一言の解釈をフィリップさんとディスカッションしながらやっていますが、楽しくて楽しくて、一年ぐらいこのまま稽古したいなって思うほどなんです。有名な作品ですが、テネシー・ウィリアムズが描きたかったのはこういう世界だったんだというものを見せられるよう、がんばります」と意気込みを語った。

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また、北村は「今までもこの戯曲は何度も上演されていると思いますが、また違った、新しい舞台を見せられると思います。魅力あるスタンリー像を作っていきたいです」と本作への思いを語り、鈴木も「毎日、フィリップさんが(戯曲の中から)すばらしい宝をどんどん見つけてくださって、すごく豊かで、なんて贈り物みたいな毎日なんだろうと思っています。日々を一瞬も逃すことなく、積み重ねられたら」とコメント。

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藤岡は「精一杯、緊張感を持って本番を迎えられるようにしたいです」と意気込みつつ、「ミッチは、187センチ93キロという(設定の)男性です。僕は、171センチ64キロで・・・身長は背伸びをするしかないですが、体重の30キロをどうしようと思って(笑)。今日から、本番に向けて太ります!」と宣言。藤岡が本番までにどこまで体型を変えているかも、楽しみにしたい。

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『欲望という名の電車』は、12月8日(金)から12月28日(木)まで東京・Bunkamuraシアターコクーンにて、2018年1月6日(土)から1月8日(月・祝)まで大阪・森ノ宮ピロティホールにて上演される。

(取材・文・撮影/嶋田真己)

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