中谷美紀&井上芳雄、デヴィッド・ルヴォー演出に喜び『黒蜥蜴』製作発表


2018年1月に東京、2月に大阪で上演される舞台『黒蜥蜴』。本作は、江戸川乱歩の長編探偵小説を1961年に三島由紀夫が脚本化したもので、三島戯曲の中でも最高傑作と呼ばれている。これまでにも何度となく上演されてきているが、今回は、ロンドンやブロードウェイの演劇界で活躍するデヴィッド・ルヴォーが演出を手掛ける。

その製作発表が、2017年9月28日(木)に東京都内にて行われ、出演者の中谷美紀、井上芳雄、相楽樹、朝海ひかる、成河が、ルヴォーと共に登壇した。

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会見冒頭、中谷たちは、ステージのセンターから伸びるランウェイを使い、「グロテスク・ビューティー」と称される本作の世界観をピアノとアコーディオンの音色に乗せ、台詞のない寸劇で披露。オールレザーのドレスに身を包む中谷は、井上や成河をあたかも惑わすような仕草を見せ翻弄する。その様はまるで映画の予告編のような美しさだった。

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寸劇の後に登場したルヴォーは、三島作品について「これまでに出会ったことのない、夢を見るような作風」と評し、「日常生活から目覚めたくない人が、夢の中に出てくるイメージを小説に描いたのではと感じました」と言葉を続けた。「その中でも『黒蜥蜴』は、美という概念と、人間の不完全さ、エロチシズムと死が描かれていると思います。こういうテーマは演劇を通して私たちが伝えていく永遠のテーマだと考えます」とコメントした。

以下、キャストから、この作品に出演が決まったときの感想や、意気込みなどを紹介する。※挨拶順

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◆成河(雨宮役)
この作品のお話が来た時、最初はお断りしたんです。というのも青年・雨宮は年齢が若く、純粋な美青年役ということで・・・僕はこう見えてもう36歳なんですよ(笑)。でも、ルヴォーさんが作品に対する思いや意気込みなどを丁寧に説明してくださり、その言葉に心を打たれ、ルヴォーさんの力になりたいと思い、お引き受けすることにしました。なけなしの自分の美青年をかき集めて演じようと思います。

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◆朝海ひかる(家政婦ひな役)
ルヴォーさんのマジックによって、今までに見たことのない『黒蜥蜴』が出来上がるのではないかと思っています。家政婦役は今までに演じたことのない役なので、自分自身どうなってしまうのか予想もつかないのですが、女優人生の中で、この役をいただいたことをとても嬉しく思います。

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◆相楽樹(岩瀬早苗役)
本作の出演が決まった時は、本当に嬉しかったです。美輪明宏さんが出演された時の『黒蜥蜴』を偶然観ていましたし、その後、ルヴォーさんとお会いする機会もあったので、『黒蜥蜴』に何か縁があるなと感じていました。たくさん刺激を受けて、たくさんへこたれて、また立ち上がって、それを繰り返しながら本番まで精度を高めていきたいです。

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◆井上芳雄(明智小五郎役)
ルヴォーさんとは『ルドルフ・ザ・ラストキス』でご一緒させていただき、その時の経験が鮮烈で忘れられませんでした。まるでルヴォーさんに魔法をかけられたような、稽古と公演期間でした。「もう一度魔法にかけられたい」と思いながら5年が経ち、やっと魔法をかけてもらえる時がきて、是が非でもやりたいと思いました。先ほど成河は「最初、この話を断った」などと生意気なことを言っていましたが(笑)、僕はなんとかしてこの仕事がしたくて仕方がなかったんです。
僕はこう見えて38歳で、「ミュージカル界のプリンス」と呼ばれ、王子様の役をやらせていただく機会が多かったのですが、ルヴォーさんに「もう、プリンスじゃないだろう(笑)。今回はハードボイルドな明智をやったらいいよ」とこの役を勧められました。精一杯がんばります。

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◆中谷美紀(緑川夫人/黒蜥蜴役)
常々、私は舞台に立つべき人間ではないと思っておりまして、お仕事のお話をいただく度に、嬉しい反面、恐れを抱いていました。ルヴォーさんとお仕事がしたい、『黒蜥蜴』という作品に出たい、でも一方で尻込みをする自分がいました。実際、ルヴォーさんにお会いすると、あたたかい眼差しで懐深く受け入れてくださるので、新しい旅にご一緒させていただけるような気がして、自分の能力をかえりみず「イエス」と答えてしまいました。舞台の本番が本当に苦手で、私はお稽古だけで本番は別の方に演じていただきたい、とルヴォーさんに話したら「それでもいいよ」って言ってくださったので、まずはお稽古をがんばります(笑)。

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本作へのイメージについて質問が飛ぶと「エロティックでグロテスク」「グロテスク・ビューティー」「美しくて残酷な物語」「黒蜥蜴と明智小五郎はどちらも犯罪に取り憑かれている。追いかけているのか、追いつかれているのかわからない瞬間がある」「明智は犯罪からも愛されている」など、様々な言葉が飛び出した。

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キャストたちの話を笑顔で聞いていたルヴォーは、最後に「1本の映画を作るように作品に取り組みたいと思います。三島自身も興味を持っていた音楽も盛り込み、生演奏のバンドも取り入れます。不思議な光景や人物が登場し、内容盛りだくさんの作品ですが、エンターテインメントとしても楽しんでいただきたいです。偉大なる劇作家の作品に取り組むにあたり、日本でまた働くことができて嬉しいです」と話を締めた。

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舞台『黒蜥蜴』は、2018年1月9日(火)から1月28日(日)まで東京・日生劇場にて、2月1日(木)から2月5日(月)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演される。

(取材・文・撮影/エンタステージ編集部)

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