トニー賞2度受賞の名作がトム・サザーランド新演出で日本初上陸!北翔海莉&新納慎也『パジャマゲーム』ゲネプロレポート


2017年9月25日(月)に東京・日本青年館ホールにてミュージカル・コメディ『パジャマゲーム』が開幕した。本作は、1954年にブロードウェイで初演され、翌1955年と2006年の2度にわたりトニー賞を受賞した歴史ある作品。日本初上陸となる今回は、ミュージカル『タイタニック』や『グランドホテル』を手がけたトム・サザーランドが新演出を担当している。来日中のサザーランドが客席から見守る中、初日公演に先駆けてゲネプロが行われた。

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物語の舞台は1954年、スリープタイト社のパジャマ工場。周囲の工場が次々と給料アップしていく中、スリープタイト社でも時給7セント半の賃上げを求めて労働組合が立ち上がっていた。パジャマ工場では日々作業に追われ、縫製担当の女子社員や工場内を動き回る男性陣はヘトヘト。賑やかな音楽に乗せて、せわしない様子が疾走感たっぷりに描かれていく。

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そこへ、社長ハスラー(佐山陽規)が雇った新工場長のシド・ソローキン(新納慎也)がやってくる。若くてハンサムなシドは、やわらかな物腰で人当たりも良く、ハチャメチャ感のある工場内では異質な存在とも言える。そんなシドが右腕的存在として認めるのは、心優しきチャーリー(広瀬友祐)。他の従業員らが新工場長への不安を覗かせる中、チャーリーはシドとともに真面目な働きを見せる。

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一方、女子社員の間ではシドの話題で持ちきり。噂話に花を咲かせて盛り上がるも、ベイブ・ウィリアムス(北翔海莉)だけは興味を示さない。また、工場のタイムキーパーであるハインズ(栗原英雄)は、恋人のグラディス(大塚千弘)もシドの存在が気になっているのでは・・・?と気がかりな様子。精神面が少々不安定と思われるハインズと、自由奔放で美人オーラを振りまくグラディスの、対照的な性格もまたおもしろい。

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恋模様でもう一つ見逃せないのが、労働組合委員長のプレッツ(上口耕平)の存在。仕事に対しては真面目な取り組みを見せる一方、潔いほどの女好き。色気たっぷりのグラディスをはじめ、いろんな女性に手を出しつつも、コミカルな言動で笑わせてくれる憎めないキャラクターだ。

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そしてシドの秘書であり、工場にとって母親のような存在のメイベル(阿知波悟美)。個性豊かな人物に支えられながら、シドは新工場長として上手くやっていけるかと思えたのだが、やがて反抗的な従業員との間でトラブル発生!その現場へ駆け付けたベイブと、事件の当事者であるシドは、運命的に出会って一目見た瞬間から惹かれ合う。しかし労働組合の一員であるベイブと、それに相対する立場のシド。その恋の行方は一体・・・?!

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本作は、ミュージカル・コメディでありつつ群像劇でもある。さまざまな人間模様が描かれ、一つの舞台上でいくつものストーリーが進行していく演出は、まさにサザーランドの真骨頂。劇中はダンスシーンも多く、レトロポップな衣装も華やか。観客を巻き込んで自然と拍手が沸き起こる場面も見られた。

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また、ミュージカルナンバーとして有名な「スチーム・ヒート」は、『シカゴ』『キャバレー』で名高い振付師のボブ・フォッシーが最初に評判を得たナンバー。本作では、ニック・ウィンストンが新たに振付を担当しており、このほかにもバラエティ豊かな楽曲が楽しめる。

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ミュージカル・コメディ『パジャマゲーム』は、10月15日(日)まで東京・日本青年館ホールにて、10月19日(木)から10月29日(日)まで大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて上演。

(取材・文・撮影/堀江有希)

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