『ワーニャ伯父さん』開幕!KERA「チェーホフとの付き合い方も自分なりに会得できた」


ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)が、チェーホフ四大戯曲を手がける人気シリーズ「KERA meets CHEKHOV(ケラ・ミーツ・チェーホフ)」の第3弾となる『ワーニャ伯父さん』が、2017年8月27日(日)に東京・新国立劇場 小劇場にて開幕した。開幕にあたり、KERAをはじめ、出演者の段田安則、宮沢りえ、黒木華、山崎一よりコメントが届いている。

『ワーニャ伯父さん』舞台写真_3

◆ケラリーノ・サンドロヴィッチ(上演台本・演出)
四大戯曲も3作目ともなると、チェーホフとの付き合い方も自分なりに会得できたと思っています。前2作が「交響楽」の趣きとすると、ミニマムで閉塞感が強いワーニャは、いわば「室内楽」。前2作よりも小さな空間で、ポップさを心掛け、細かい表現にもこだわりました。観客の皆さんが我を忘れて劇世界にのめり込める状況をつくることが自分に課した使命でしたが、スタッフ・キャスト一丸で精一杯やりました。今回が3作中、一番良い出来映えなのは間違いありません。

◆段田安則(ワーニャ役)
登場人物の皆がグチグチと不満ばかりを言っているので、最初は「どこがおもしろいんだ?」と思っていたんです(笑)。でも、悲劇的な状況の中に喜劇的なニュアンスがある戯曲ですし、何よりも信頼する顔ぶれですからね、チェーホフ好きの方にも、初めてチェーホフに触れる方にも、「おっ、いい感じのヒットを打ったんじゃない?」「観に来てよかった!」と思っていただけるものに仕上がったと思っています。

◆宮沢りえ(エレーナ役)
チェーホフは、掘れば掘るほど底なしの深さがあって、演じていて楽しいですね。引き算も足し算もできる難しさがある分、役者として鍛えられます。私が演じるエレーナは多面的な要素をもつ女性。退廃的だけど魅惑的で、保守的だけど破滅的。劇中で「肉食獣」とも言われますし(笑)、自分の衝動に対して素直な、人間味あふれるエレーナにできればと思っています。

◆黒木華(ソーニャ役)
最初は暗い印象を受けた戯曲が、KERAさんの上演台本と演出、稽古場での先輩たちの魅力的な姿を通し、不平不満や不幸の裏側の滑稽な面が見えてきて、とてもおもしろくなってきました。ソーニャは一番若いのですが、一番現実を見ているしっかりした人物。難しい役柄ですが、一番感情移入しやすい存在かもしれません。これは、チェーホフが苦手という方でもおもしろく見ていただける舞台です。

◆山崎一(セレブリャーコフ役)
KERAさん演出のチェーホフシリーズには3作続けての出演です。回を重ねて、僕なりのチェーホフへの理解が深まった分、ワーニャは一番手ごわく感じました。僕が演じるセレブリャーコフの見え方で、芝居全体の見え方も変わってくるので難しいなあ、と。でも、誰もまともに言葉通りのことなんか思っちゃいないとか(笑)、そんな現代的な感覚があって、チェーホフは演じていてとてもおもしろいですね。

このほかの出演は、横田栄司、水野あや、遠山俊也、立石涼子、小野武彦、伏見蛍(ギター演奏)。

『ワーニャ伯父さん』舞台写真_2

「最高のキャスティングとシチュエーションが揃ったときのみに実現」という、不定期上演企画として、これまで2013年に『かもめ』(出演:生田斗真、蒼井優、野村萬斎、大竹しのぶ、ほか)、2015年に『三人姉妹』(出演:余貴美子、蒼井優、宮沢りえ、段田安則、堤真一、ほか)を上演してきたKERA。

真正面から100年以上前に書かれたチェーホフ戯曲に向き合いながらも、独自の言語感覚とリズムに彩られた世界は、まさにビビッドな“KERAワールド”そのもの。本作では、劇場を前2作を上演したシアターコクーンではなく、新国立劇場 小劇場に移したことで、濃密な人間ドラマと実力派キャスト陣の放つエネルギーをより密接な空間で感じられるだろう。

シス・カンパニー公演 KERA meets CHEKHOV Vol.3/4『ワーニャ伯父さん』は、9月26日(火)まで東京・新国立劇場 小劇場にて上演。当日券は、全ステージ開演1時間前より発売。詳細は公式HPにてご確認を。

『ワーニャ伯父さん』舞台写真_4

(撮影/加藤孝)

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