大竹しのぶ、38年ぶり14歳少年役に「内面から湧き出てくる芝居」と共演者絶賛!ミュージカル『にんじん』開幕レポート


大竹しのぶが38年ぶりに再演を果たすミュージカル『にんじん』が、2017年8月1日(火)に東京・新橋演舞場にて開幕した。初日前にはゲネプロと囲み会見が行われ、主演の大竹をはじめ、中山優馬、秋元才加、中山義紘、真琴つばさ、今井清隆、宇梶剛士、キムラ緑子が登壇。作品への想いや見どころなどを語った。

ミュージカル『にんじん』ゲネプロ_2

フランスの作家ジュール・ルナールによる小説が原作の『にんじん』は、フランスの片田舎を舞台に、にんじんのように真っ赤な髪でソバカスだらけの顔をした少年“にんじん”と、その家族が繰り広げる物語。1925年と1932年にはジュリアン・ヴィヴィエ監督によって映画化もされた名作だ。

日本では1979年8月、この作品における世界初の音楽劇として上演され、当時22歳の大竹が14歳の少年を演じた。それから38年の時を経た2017年の今、還暦を迎えたばかりの大竹が再び少年役を演じる。今回の再演のきっかけは、ブロードウェイミュージカル『ピーター・パン』で女優キャシー・リグビーが60歳を超えてピーター・パン役に挑んだ話に、大竹が感銘を受けたものだという。

ミュージカル『にんじん』ゲネプロ_3

会見で、大竹は「お芝居の時はいいんですけど、この格好で普通に喋るのがいたたまれないです・・・」と恥ずかしそうな表情を見せるも、「でも舞台中は自分の年齢を忘れて“にんじん”として居られます」と力強い一言。そんな大竹について、中山優馬は「本当に可愛くて、お芝居以外の所では少女のような方です」と印象を語った。

ミュージカル『にんじん』ゲネプロ_4

キムラも「稽古時から“私、おばさんに見えなかった?”とずっと気にされていたけど、最初から14歳に見えました」と頷き、宇梶も「この違和感のなさは何だ、というくらい可愛らしい」と絶賛。今井は「振り幅の広さがすごい女優さんだなと改めて感じました。作っているのではなく、中から湧き出ているという感じが勉強になります」と大竹を称え、真琴も「恐ろしいほどに純粋無垢な少年の瞬間がある。そこにハートを鷲掴みされて、これがにんじんの魅力でもあるのだと感じました」と語り、大竹自身とにんじんの両面の姿から作品の魅力を伝えた。

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また、本作の見どころについて、大竹は「皆それぞれが愛を求めていて、そこがよくできているお話だと思います。栗山(民也)さんが細やかに、より深く演出してくださいました」とコメント。また今年7月24日に逝去した山川啓介氏(本作の脚本・作詞を担当)に触れ、「山川さんが見てくださっていたらすごく喜んでくれていたんだろうなと思います」と胸の内を明かした。

38年前との違いについては「前よりも子供の気持ちが分かるし、家族それぞれの気持ちもよく分かる」と答えた大竹。実際に母親になった大竹自身の経験と重なる部分もあるというが、「いじめや家庭環境など社会的な問題がよりリアルになっていると思う。子供たちはこんなにも(感情を知らせる)信号を出していたんだなと感じます」と語った。

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一方、秋元は「もっと張り詰めて黙々とした稽古場なのかと思っていましたが、皆さんが楽しみながらお芝居をされていて、オン・オフの緩急の付け方がすごいと感じました。私ももっと楽しみながらお芝居できたらいいなと、今後の新たなビジョンになる作品だと思います」と現場の様子を教えてくれた。そんな秋元の婚約者役である中山義紘は「秋元さんとのハッピー感を大切にしています」と話し、秋元も「どこか未来に対する希望が見えたらいいなって二人で話し合いました」と同調した。

ミュージカル『にんじん』ゲネプロ_7

最後は大竹が「38年前の作品が、今このメンバーと栗山さんの演出によって新しいものに生まれ変わりました。大人から子供まで、繊細かつ元気が出るお芝居をぜひ観に来ていただきたいです」とメッセージを送り、会見を締めくくった。

ミュージカル『にんじん』ゲネプロ_8

物語は、フランスの片田舎の小さな村が舞台。青い空と深い緑の森、澄み切った小川が流れる自然豊かな村では、今日も村人たちが楽しそうに歌っている。しかしその中にたった一人仲間外れの少年・・・にんじん(大竹しのぶ)がいた。

真っ赤な髪でソバカスだらけの顔から“にんじん”と呼ばれる少年。フランソワという本当の名前があるのに、父親のルピック氏(宇梶剛士)や母親のルピック夫人(キムラ緑子)までもが“にんじん”というあだ名で呼ぶ。

ミュージカル『にんじん』ゲネプロ_9

にんじんには姉のエルネスティーヌ(秋元才加)と、兄のフェリックス(中山優馬)がいる。婚約者マルソー(中山義紘)との結婚を控えるエルネスティーヌも、甘やかされてワガママに育ってきたフェリックスも、にんじんには無関心。そんなルピック家にアネット(真琴つばさ)が女中としてやってくるが、勝手気ままの家庭に呆れる始末。

家族の誰からも愛してもらえないにんじん。名付け親(今井清隆)だけが数少ない友達であり、孤独なにんじんを優しく励ましてくれる。そんな毎日の中で、ある夜、ルピック夫人の銀貨が一枚なくなるという事件が発生。夫人はにんじんを泥棒と決めつけ、激しく責め立てるのだが・・・。

ミュージカル『にんじん』ゲネプロ_10

ミュージカル『にんじん』は、8月27日(日)まで東京・新橋演舞場、9月1日(金)から10日(日)まで大阪・松竹座にて上演される。共演者たちも絶賛する「14歳」に扮した大竹の姿を、ぜひ劇場で確かめてほしい。

(取材・文・撮影/堀江有希)

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