染谷俊之、三浦涼介が『グランギニョル』で末満健一の世界に「TRUMP」シリーズ最新作レポート


2017年7月29日(土)に、東京・サンシャイン劇場にてピースピット2017年本公演『グランギニョル』が開幕した。本作は、劇作家として活躍の幅を広げる末満健一が“ライフワーク”として掲げる演劇公演「TRUMP」シリーズ最新作。出演者には、染谷俊之、三浦涼介らを迎え、不老不死伝説に翻弄される吸血種(ヴァンプ)たちの新たな物語を紡ぐ。初日前に行われた公開ゲネプロの模様をお届けする。

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シリーズの最初の作品となる『TRUMP』は、末満自身の演劇ユニット「ピースピット」にて初演されたのち、俳優集団D-BOYSによる「Dステ」などで再演を重ねてきた。さらに、アナザーストーリーとしてハロー!プロジェクト演劇女子部で『TRUMP』の3000年後を描いた『LILIUM-リリウム少女純潔歌劇-』、その前日譚となる『LILIUM新作短編演劇~二輪咲き』(LILIUM感謝祭にて)、劇団Patchで14年前を描いた『SPECTER』を上演。新作が出る度に、明るみに出る真実や深まる縁、結びつく物語が話題を呼んできた。

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本作『グランギニョル』では、『TRUMP』の主人公の一人・ウルの父であるダリ・デリコ(染谷)と、同じく『TRUMP』に登場するアンジェリコの父であるゲルハルト・フラ(三浦)を中心に、『SPECTER』と同時代に起きた、ある“事件”が描かれている。

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特権階級である貴族家系の家督者であり、吸血種の統治機関「血盟議会」の若手議員でもあるダリ。ある疑惑をかけられたダリは、ゲルハルトの忠告を聞き入れず停職処分を受ける。しかし、停職中であるダリに上司ヨハネス・ヴラド(陰山泰)から命がくだり、各地で発生していた、吸血種の少年少女たちが次々と失踪する事件の真相究明に乗り出すこと。

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ダリの元には、任務補佐官として派遣された下級議員マルコ・ヴァニタス(栗山航)、ヴァンパイアハンターの李春林(東啓介)と歌麿(松浦司)が送られ、共に事件を追うこととなる。その中で「黒薔薇館」という社交倶楽部の存在が捜査線上に浮かび上がるが・・・。

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このほか、藤木修(アンリ・ガトー役)、大久保祥太郎(オズ ・ローナン役)、田村芽実(キキ・ワトソン役)、服部武雄(ジャック・ブレア役)、池村匡紀(執事ハンス役)、菊池祐太(情報屋黒猫役)、吉田邑樹(レイン中級議員役)、日南田顕久(ダミアン・ストーン役)、田中真琴(スー・オールセン役)後藤菊之介(スチューデント役)、愛加あゆ(フリーダ・デリコ役)、窪寺昭(バルラハ・ベル役)らが出演している。

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ゴシックな世界観を彩る舞台上のセット、進み出す物語に「これが『TRUMP』の世界だ」と飲み込まれる感覚に襲われた。そして染谷、三浦の美しい佇まいは、末満の描くこの世界観をより際立たせる存在となっていた。行動を共にする東と松浦は、重さのある物語の中で軽妙なやりとりを見せ、流れに緩急をもたらしてくれる。

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また、「TRUMP」シリーズでは和田俊輔の手掛ける音楽も、物語を印象づける大きな役割を果たしており、本作の劇中では、愛加と田村の素晴らしい歌声を聞くことができる。二人が演じる役どころと共に注目だ。

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また、作中には本作特有の用語がたくさん出てくる。シリーズ初見の方は知っておいた方がいいと気になるかもしれないが、観ればきっと分かる。パンフレットには相関図や「TRUMP」シリーズの時系列年表なども掲載されているとのことなので、公演後に読み込んで浸ることをお薦めする。

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取材終了後、真っ先に思ったのは「過去作を見返したい・・・」ということ。あの物語が・・・、あの関係が・・・、この『グランギニョル』を観た後ではまったく印象が変わってしまうかもしれない。再び“繭期”に陥って劇場を出る方が続出しそうだ。末満が描く「生きる」という永遠のテーマ。これは、限られた期間、限られた場所、限られた人たちの前で、燃えるように生まれては消えていく演劇そのもののようにも感じられた。しかし、一度生まれた物語は“観客”という存在の中に残り続ける。前売りチケットはすでに完売してしまっているが、毎日当日券が用意されるとのことなので、ぜひ、末満の中から生まれた壮大な物語の一部に、触れてみてほしい。

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最後に、開幕にあたり染谷、三浦、作/演出の末満よりコメントが届いているのでご紹介しよう。

◆染谷俊之
今日までキャスト・スタッフ一同、力を合わせてがんばってきました。千秋楽まで力を合わせて、誰一人欠けることなく、全力で突っ走ってまいります。この独特の世界観をぜひ味わっていただきたいです!!劇場でお待ちしております。

◆三浦涼介
気がつけば約1ヶ月間、皆で稽古をしてきまして、ついに初日を迎えました。アクションがたくさんあって身体を張っており、燃えている舞台になるかと思います。吸血種の話ですが、とても熱い繊細な作品に仕上がっています。ぜひ劇場で『グランギニョル』の世界観に浸っていただきたいと思います。

◆末満健一
あらゆるジャンルから集まった実力派キャストたちが、各々の演技をぶつけ合うゴシックサスペンス劇。退廃的かつ耽美的な世界観にぜひ浸りに来てください。

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ピースピット2017年本公演『グランギニョル』は、7月29日(土)から8月6日(日)まで東京・サンシャイン劇場にて、8月18日(金)から8月20日(日)まで大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティにて上演。

また、本作のDVDが12月20日(水)に発売されることも決定した。本編のほか、特典映像としてメイキングや舞台裏の模様も収録。また、会場限定で予約をすると、特製ポストカードが封入特典として付く。DVDの詳細は、以下のとおり。

◆ピースピット2017年本公演「グランギニョル」DVD
【発売日】12月20日(水)
【価格】6,000円+税
【映像特典】メイキング、舞台裏(予定)
【封入特典】特製ポストカード

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(取材・文・撮影/エンタステージ編集部)

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