長江崚行「また花が咲くその日まで!」ミュージカル「ヘタリア~in the new world~」東京公演開幕レポート


2017年7月21日(金)にミュージカル「ヘタリア~in the new world~」の東京公演が、シアター1010にて開幕した。原作は、日丸屋秀和の人気コミック「ヘタリア Axis Powers」で、イタリアを主人公に史実とエスニックジョークを描いた国擬人化コメディ。初日前には公開ゲネプロと囲み会見が行われ、メインキャストの長江崚行、上田悠介、植田圭輔、磯貝龍虎、廣瀬大介、寿里、山沖勇輝、杉江大志、ROU(菊池卓也)、高本学(劇団番町ボーイズ☆)が登壇し、意気込みを語った。

なお、東京公演に先駆けて7月15日(土)から7月17日(月・祝)行われた大阪公演では、本作を持って「ヘタミュ」シリーズが終了となり、現カンパニーの卒業公演となることが発表された。

ミュージカル「ヘタリア~in the new world~」東京公演_舞台写真2

主人公・イタリア役の長江は、シリーズの座長として3作を振り返り「東京から始まった作品なので、東京公演の始まりは初演を思い出します。初演から、先輩方から色んなことを教えていただいてきたので、毎回、一回りずつ成長できているんじゃないかなと。(東京公演も)またフレッシュな気持ちで一からがんばって、これまで積み重ねてきたものをお客様にもお見せできたらいいなと思います」と挨拶。

また、シリーズ2作目からドイツ役として参加した上田は「2作目と3作目では圧倒的に役の立ち位置が変わりました。楽しく汗をかいているのですが、動き過ぎて3~4キロぐらい痩せたかもしれないです(笑)」と告白。周囲からも「身体がシュッとしたよね!」と同意を得ていた。

ミュージカル「ヘタリア~in the new world~」東京公演_舞台写真4

日本役の植田は、本作のテーマが“成長”であることに触れ「成長著しくないメンバーで、成長をテーマにやらせていただいています(笑)」とボケると、こちらには「おいっ!」とツッコミが。その上で「成長って簡単な言葉に聞こえますが、誰かから刺激を受けて前に踏み出すことは、すごく幸せであり難しいことです。(この作品では)僕らは国を背負って演じさせてもらいますが、そのリスペクトした“一歩”が国であったと、捉えられたと思います。第3弾にふさわしく、お客様の背中もそっと押せる内容になっていると思います」と語った。

一方、前作の中心国だったアメリカ役の磯貝は「前作ではありがとうございました~!本当に楽しくやらせていただきました(笑)」言いつつ、本作について「今回はとてもアメリカ的な『皆で盛り上がろうぜ!』という要素のあるシーンもあるので要チェックです。そして、最初は枢軸国が重苦しい感じになるのかと思いきや、楽しいこともあり・・・感動へ向かう最後にふさわしい作品となっております!こちらからは以上です(笑)!」と陽気さ全開。

ミュージカル「ヘタリア~in the new world~」東京公演_舞台写真3

磯貝と同じく、前作の中心を担ったイギリス役の廣瀬は「第3弾ともなると、キャストもスタッフも、それぞれアイコンタクトなどで心のキャッチボールができていました」と、カンパニーの結束力について言及。さらに「今回、植ちゃん(植田圭輔)の稽古合流が遅かったんですが、ハイスピードで追いついてきてびっくりさせられましたし、がんばらなきゃと思えました」と、切磋琢磨してきた様子を明かした。

カンパニーの“お兄さん”的存在、フランス役の寿里は「1作目から常にチャレンジをしてきた作品であり、制作陣、キャスト、それぞれがチャレンジを経てここにたどり着きました。それができたのは、お客様が広い心で許容し、種に水を与えるように愛を注いでくれたからです。その成果を見せられたらと思います」と、自他ともに認める“いい”コメント。

「熱いメンバーが揃っていることは幸せなこと」と言った中国役の杉江は、「どこの現場でも、おのおの一生懸命作品を作っていますが、その姿勢や考え方は人それぞれ。このカンパニーも個性はバラバラなんですが、そのバラバラなものを持ってきつつ、同じ方向を向いて一つにまとまっていく。それが、爆発力を生んでいるんだと思います。このバランスは簡単には生まれないので、幸せな現場です」と、改めて“ヘタミュ”カンパニーの強さを評した。

ミュージカル「ヘタリア~in the new world~」東京公演_舞台写真5

そして、本作ではオーストリア役のROU(菊池卓也より改名)が1作目より復帰、プロイセン役の高本が新たに加わっている。ROUは「個人的なことでは、僕の名前が変わりました(笑)。カンパニーとしては、第2弾があったから分かる笑いどころがあり、第3弾ではコミュニケーションが取れているからこそできる笑いの挟み方が生まれているなと」と作品に対する印象の変化を口にした。

唯一の新キャストである高本は「出演が決まった時は、まず単純に嬉しかったです。ミュージカルは初挑戦なのですが、先輩方に助けていただき、なんとか大阪公演に立つことができました。毎日が全力で、千秋楽まで成長し続けていきたいと思います!プロイセンの『けーッセッセッセ!』という笑い方に注目してください」とフレッシュにアピールした。

ミュージカル「ヘタリア~in the new world~」東京公演_舞台写真6

全員一言話し終わった・・・と思いきや、「ちょっと待って!僕は・・・?」と何故か順番を飛ばされてしまったロシア役の山沖が挙手。すると、アメリカ役の磯貝が司会者に代わり「この作品のテーマは“成長”ですが、どうしてだと思いますか?」と質問を振る。やや難易度の高い質問だったが、山沖は「どうして?!えーと・・・今作で『ヘタミュ』が最後ということで・・・。演出の吉谷さんが、このカンパニーを家族と言ってくれていたんですよ。だから、僕らの成長をパパのように見守りたいということで、“成長”をテーマにしたのではないでしょうか!」と見事に回答。

しかし、磯貝はさらに「山沖さんはよく食べる子だと存じておりますが、この作品を食べ物に例えると?」とたたみ掛ける!さらに難易度の高い問いかけだったが、山沖は即座に「・・・するめいか!」と答え導き出し、「観れば観るほど、噛めば噛むほど味が出ます!」と、ロシアらしさ(?)を漂わせながらその心を解いた。

ミュージカル「ヘタリア~in the new world~」東京公演_舞台写真8

また、今作でこの“ヘタミュ”カンパニーが卒業を迎えるということで、「謝謝しかないです」(杉江)、「キャラクターを通じ、各国の文化を知ることができたのはとても素敵なこと」(寿里)、「今まで大変お世話になりました。恩は必ず返します」(植田)と、それぞれ各キャラクターへの思いを語り、最後に長江は「イタリアには、1年半という短い間だったけど一緒に歩いてくれてありがとう、僕はまだ未成年だけど20歳になったら一緒に長靴で乾杯しようねって伝えたいです。そしてお客様へ。皆様の応援があってここまで歩んでこれました。卒業だからと言って、二度と会えないわけではないので!また花が咲くその日まで、皆が元気でいられたらいいなと思います」と、締めくくった。

ミュージカル「ヘタリア~in the new world~」東京公演_舞台写真7

今回の中心となるのは、原作のサブタイトルについているAxis Powers=枢軸国。長い戦いの終わり、別々の道を歩むことになり、それぞれの地で再起を目指すドイツと日本。イタリアはいつもと変わらない。変わりゆく関係の中、3人の心はすれ違うばかり・・・。しかし“ある日記”の存在が、バラバラになったその心を再び向かい合わせようとする。それはかつて、列強と戦い続けたある男の記録だった・・・。

ミュージカル「ヘタリア~in the new world~」東京公演_舞台写真9

ミュージカル「ヘタリア~in the new world~」東京公演は、8月2日(水)までシアター1010にて上演。なお、大千秋楽となる8月2日(日)13:00公演では、全国各地の映画館にてライブビューイングが実施される(13:00開演は生中継/19:00開演はディレイ配信)。

さらに、ライブ・ビューイングの開演前にはキャストによる特別中継も。映画館でしか観ることのできないスペシャル映像となるため、こちらもお見逃しなく(※生中継、ディレイ中継共に10分前頃を予定)。

ミュージカル「ヘタリア~in the new world~」東京公演_舞台写真10>

(C)日丸屋秀和・幻冬舎コミックス/ヘタリア製作委員会 (C)ミュージカル「ヘタリアNW」製作委員会”

(取材・文・撮影/エンタステージ編集部)

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