2017年5月10日（水）より東京・あうるすぽっと（豊島区立舞台芸術交流センター）にて舞台『昆虫戦士コンチュウジャー～ただの再演じゃ終わらない、そうだろみんな!?～』が開幕した。本作は、2016年6月に上演された舞台『昆虫戦士コンチュウジャー』の再演。好評によりシリーズ化が決定し、8月の続編上演に先駆け再演される。初日前には公開ゲネプロと囲み会見が行われ、モト冬樹、海老澤健次、斉藤秀翼、清水一希、須藤茉麻、本田礼生、尾関陸、安川純平、角島美緒、奥田努（Studio Life）、モラル（作・演出）が登壇した。
地球の平和を守る正義のヒーローの中に一人だけ中年男性が紛れ込んでいるというシュールな設定、そして特撮作品のパロディが魅力である本作。会見で、モラルは「僕が思うコンチュウジャーのルールは、徹頭徹尾においてギャグであることと、その中に平和を愛するテーマを込めるということ。しかも、その二つが一つの作品で一緒にならないといけないと思っています」と、戦隊モノの単なるパロディにはとどまらない本作への思いを披露。さらに、モラルは「それを守りつつ、新作では敵のコンチュウジャーが出てきます」と続編への見どころもアピール。
前回公演より引き続き、主役の中年「ヤゴ」戦士・時羽奏（ときわそう）を演じるのは、歌手・俳優・バラエティ出演など幅広く活躍するモト、ナルシストな「アゲハチョウ」戦士・エッフェル・トーマス役に斉藤、ズボラな紅一点「テントウムシ」戦士の桜田ファミリア明日香役に須藤、敵対する爬虫類帝国の指導者・スネーク将軍役に奥田、”意識高い系”の幹部・カメレオン少佐役で安川が出演している。
再演を迎えての意気込みについて、モトは「皆パワーアップして、自信を持ってお届けいたします。このカンパニーは本当に練習が好きで、コメディをここまで追求しているというのは、今まで経験したことがありません。間違いなく再演ではパワーアップしています」と語り、続いて「（このカンパニーは）コメディ界のシルク・ドゥ・ソレイユだと思っています･･･自分でも意味が分かりませんが」と、モトらしく“ゆるく”コメント。
斉藤は「元モデルらしく華麗に頑張ります」と作中のキャラクター設定を交えながらの挨拶で笑いを誘い、須藤は「ステージ上ですごくイジられますけど、一応ハロープロジェクトのアイドルなので、可愛いと思っていただけるような明日香を演じたいと思います（笑）」と自虐ネタ満載の本編同様に、自分イジりで笑いを誘った。
新たな出演者として、コンチュウジャーのリーダーの「カブトムシ」戦士・万里チョウジ役の海老澤、ビッグマウスの「ハチ」戦士・多安島ハルオ役の清水、若き日の時羽奏役の本田、常に1位を目指す女幹部トカゲ参謀役の角島、努力家の幹部タートル軍曹役の尾関が参加している。
『炎神戦隊ゴーオンジャー』で人気を博し、ミュージカル『忍たま乱太郎』シリーズなど人気作に出演している海老澤は「元気にがんばります！以上です！」と演じるキャラクター同様にアツく宣言すると、『海賊戦隊ゴーカイジャー』でゴーカイグリーンを演じた清水も「今まで作り上げてきた皆さんの作品の足を引っ張らないように、精一杯がんばっていきます」と意気込んだ。ヒーローチームへの今回からの参加となる二人だが、戦隊シリーズに出演経験のあることで、前回公演を観た方も、また新たな気持ちで観られるだろう。
また、ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズンやLPS「チア男子!!」などの出演で活躍する本田は、自身の役について「皆さんと違う時代のキャラクターを演じさせていただきますので、色々と新しい風を吹かせられたらと思います」と言及。その本田の髪型に対して、モトから「俺の髪型を真似しているらしいんだけど、非常にムカつきます（笑）」とツッコミが入ると、本田は「これは指示です！」と慌てて否定。新旧キャストの息の合った仲の良さを感じさせる楽しい会見となった。
ナンセンスでシュールなコメディ作品を連発して小劇場界を沸かす人気の劇団「犬と串」主宰のモラルらしい笑いが散りばめられ、「ただの再演じゃ終わらない」の言葉どおりにパワーアップした本作。期待高まる続編への予習としても、前作を観たファンも楽しめる抱腹絶倒の新感覚ヒーロー・コメディだ。
『昆虫戦士コンチュウジャー～ただの再演じゃ終わらない、そうだろみんな!?～』は、5月10日（水）から5月18日（木）まで、東京・あうるすぽっと（豊島区立舞台芸術交流センター）にて上演。
なお、続編となる舞台『昆虫戦士コンチュウジャー2～激突！恐怖の戦士、ネオコンチュウジャー！～』は、8月12日（土）から8月20日（日）まで、東京・全労済ホール／スペース・ゼロにて上演が決定している。
（取材・文・撮影／櫻井宏充）
