浦井健治「芸術選奨」新人賞受賞に「気が引き締まる思い」大臣賞には橋爪功、宮藤官九郎ら


2017年3月14日(火)、第67回芸術選奨贈呈式が東京・都市センターホテルで開催された。文化庁が開催するこの賞は、昭和25年度から毎年度、芸術各分野において優れた業績を挙げた人、または新生面を開いた人に対して、芸術選奨文部科学大臣賞、同新人賞を贈り、芸術活動の奨励と振興に資するもの。今年度は、演劇、映画、音楽、舞踏など全11部門で計29名が表彰された。

以下、演劇部門受賞者たち。

◆大臣賞 金剛永謹
(『鞍馬天狗』ほかの成果)

◆大臣賞 橋爪功
(『景清』における演技)

第67回芸術選奨贈呈式_金剛永謹&橋爪功

橋爪は、自身が所属する演劇集団円による、近松門左衛門の「出世景清」を原典にして平家の武将・平景清の生涯を描き出した『景清』での熱演が評価されての受賞。橋爪は、全身全霊を込め、スケールの大きい演技で、人類の悲劇を普遍化してみせた。

この日、文部科学大臣賞受賞者代表として登壇した橋爪は、『景清』について、「生身の人間は二人だけで、あとは白黒の人形をが出るというラジカルな演出」であると説明し、「年々、うちの劇団も本数が減り、弱小劇団となり、劇場もすごくせまいところでやっていて、どなたもご覧にならないと思っていました。そんな中、このような賞をいただき、私にとっても劇団にとってもいい年になりました」と感謝を述べた。

◆新人賞 浦井健治
(『ヘンリー四世』ほかにおける演技)

第67回芸術選奨贈呈式_浦井健治

ミュージカル、ストレートプレイで魅力を放つ若手俳優として評価された浦井。『ヘンリー四世』でハル王子を演じ、放蕩を経て王へと成長する姿を魅力的に演じ、『あわれ彼女は娼婦』では妹との恋に悩む兄をピュアに演じ、さらにミュージカル『王家の紋章』では権力者の王が少女との出会いで変わる姿を鮮明に演じ切った。さらに、『アルカディア』では無邪気な変人ヴァレンタインを奔放に演じ、タイプの全く異なる4作品で俳優としての進化を強く印象づけたことが、贈賞理由として挙げられた。

浦井は、「こういった大変光栄な賞を受賞することで評価していただき、関係者各位の方、そして審査員の方々、たくさんの方々に感謝しなければいけないなと思いますし、気が引き締まる思いです。大変な賞をいただいたので、この賞に釣り合うような行動と責任を持って、ひとつひとつの舞台を、お客様のために歩みを進めていけたらなと思いました」と受賞の思いを語る。

今回、受賞理由の一つとなっている『ヘンリー四世』の共演者たちからも「たくさん、『また賞をとったね』と言っていただきました」と祝福されたそうで、「何よりもミュージカルとストレートプレイの両方で評価していただいたので、各方面の方がとても喜んでくださったので、それが自分の励みになりました」と笑顔を見せた。

そして浦井は、「新人賞に恥じないように、新たな気持ちでしっかりと歩みを進められる自分でいたいと改めて思っています」と今後の活動への思いを語った。

※その他の主な受賞者は以下。

第67回芸術選奨贈呈式_集合写真

◆映画部門 大臣賞 庵野秀明(映画『シン・ゴジラ』の成果)
◆映画部門 大臣賞 片渕須直(映画『この世界の片隅に』の成果)
◆舞踏部門 大臣賞 近藤良平(コンドルズ20周年記念『20th Century Boy』ほかの成果)
◆放送部門 大臣賞 宮藤官九郎(TVドラマ『ゆとりですがなにか』の成果)

(取材・文・撮影/嶋田真己)

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