柚希礼音の男装姿も麗しい!『お気に召すまま』稽古場レポート


元宝塚の男役トップスター・柚希礼音を主演に迎え、ウィリアム・シェイクスピアの原作をマイケル・メイヤーが大胆にアレンジした演出の『お気に召すまま』が、2017年1月4日(水)から東京・シアタークリエにて上演される。12月下旬、公開稽古が行なわれる都内のスタジオを取材した。

『お気に召すまま』

本作は、言わずと知れたシェイクスピアが17世紀初頭に発表したとされる作品がもとになっており、さまざまな男女たちの恋の行方を追う喜劇。このロマンティック・コメディの元祖とも呼べる物語を、『春のめざめ』でトニー賞最優秀演出賞を受賞したマイケル・メイヤーが、舞台を1967年のサンフランシスコに置き換えて演出。さらに『ネクスト・トゥ・ノーマル』でピュリッツァー賞に輝いたトム・キットが音楽を担当している。

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この日、公開されたのは3つのシーン。まずは、宮廷(本作の設定では、ワシントンD.C.)から追放されたロザリンド(柚希)の父(小野武彦)や、アミアンズ(伊礼彼方)たちが住む「アーデンの森(第二幕第一場)」から始まった。原作では、フランス近郊にある森という設定だが、メイヤーの手にかかると、ヒッピー発祥の地ともされるヘイトアシュベリーに変化。陽気にギターをかき鳴らしながら歌う伊礼、人を引き付けるような魅力ある話し方をする小野の好演が光る。

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次の「森(第三幕第二場)」は、柚希の真骨頂が発揮される、見せ場といってもいいだろう。素性を隠すため、ロザリンドは男装して、ギャニミードと名乗っているからだ。そんなロザリンドに恋をしているオーランドー(ジュリアン)は、ギャニミードと出会っても、実は思い人そのものだと気づかない。それをいいことに、ロザリンドは「僕をロザリンドだと思って・・・」と自ら告白の練習相手になると、オーランドーに提案する。この時の柚希は、宝塚の男役時代を彷彿とさせる圧巻のかっこよさ。そして、ジェークイズ(橋本さとし)にも、自分のロザリンドへの思いを語るオーランドー。この二人のやりとり中、登場する小道具にも注目したい。ヒッピー時代が設定なだけに、鮮やかな色遣いのものを橋本とジュリアンが器用に使いこなしている。

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そして最後に「ホワイト・ラビット」のシーン。保守派のオリヴァー(横田栄司)がヘイトアシュベリーにやって来て、ヒッピーたちに徐々に感化されていく様をジェファーソン・エアプレインの大ヒット曲「ホワイト・ラビット」にのせて描いていく。この曲の歌詞は『不思議の国のアリス』をイメージしたとされているが、幻想的な雰囲気の中、次第に恍惚とした表情になっていく横田と、ミステリアスで迫力のあるダンスが印象的。

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劇中では、ヒッピー時代の流行歌をはじめ、キットによる新曲も使用されている。これらの音楽と一見古典的とも思えるシェイクスピアらしい台詞の数々が、メイヤーの手によって不思議とマッチする舞台に仕上がっていた。

『お気に召すまま』は、2017年1月4日(水)から2月4日(土)まで東京・シアタークリエで上演される。その後2月に、大阪・梅田芸術劇場 シアタードラマシティ、香川・レクザムホール、福岡・キャナルシティ劇場を巡演予定。

(取材・文・撮影/尾針菜穂子)

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