DAZZLE 結成20周年『鱗人輪舞(りんド・ロンド)』観客の選択が結末を決める「マルチエンディング方式」の新たな試み


物語とダンスを融合した独自のステージを展開し、多くの観客を熱狂させてきたダンスカンパニー「DAZZLE」の結成20周年を記念する新作『鱗人輪舞(リンド・ロンド)』が10月14日(金)に開幕した。本作では、幾度も繰り返される人間の愚行を見つめながら、千年の時を生きてきた人魚の物語を描いている。初日前には公開ゲネプロが行われ、幻想的で胸に突きささる圧巻のステージがベールを脱いだ。

DAZZLE 結成20周年『鱗人輪舞(りんド・ロンド)』公開ゲネプロ_2

大気汚染が進み、海も涸れ果てた世界。人々が水を奪い合う殺伐とした環境で、人を信じることができなくなった孤独な男が“人ではないもの”と出会う。それは、千年の時を生きてきた人魚だった。男は人魚との出会いを通して閉ざされた心を開き始めるが、その矢先、二人は自分たちの意思を越える大きな思惑に飲み込まれていく。

DAZZLE 結成20周年『鱗人輪舞(りんド・ロンド)』公開ゲネプロ_

DAZZLEの舞台は、ストリートダンスにコンテンポラリーダンスを融合させた独創的な動きに、テキストやナレーション、小道具などを使って物語を精緻に紡いでいくスタイルだ。しなやかに、激しく、そして美しく踊りながら、練り込まれた物語を表現していく。それはまさにDAZZLEにしかできない舞台と言えよう。

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オープニングは、メンバー8人のダンスから始まる。そこでは、ジャンル分けすることができない、DAZZLEならではのトリッキーかつ美しいダンスが繰り広げられる。シンプルでありながら、ダンスに応じて形態を変えていく舞台装置は、観る者を飽きさせない。

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また、連続テレビ小説『あさが来た』やドラマ『リーガルハイ』シリーズなどで知られる作曲家・林ゆうきによるエッジの利いた音楽が、物語とドラマティックに絡み合う。挿入歌を「東京ゲゲゲイ」主宰のMIKEYこと牧宗孝が歌っていることにも注目だ。

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今作では、二つの異なる結末を、上演ごとに観客が選択する「マルチエンディング」方式が採用されている。第一幕のラストに、観客に提示される二つの選択肢。それは、極限状態の中“私たちが生きるために何を犠牲にするかを問う”究極の選択だ。それぞれ答えを出した観客は、ステージ中央に置かれた天秤にコインを入れ、この物語の結末を決定する。第二幕で、DAZZLEによって表現される“私たちの答え”とは―。

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DAZZLE 20周年記念公演『鱗人輪舞(リンド・ロンド)』は、
10月14日(金)から10月23日(日)まで東京・あうるすぽっと(豊島区立舞台芸術交流センター)にて上演。

(取材・文・撮影/嶋田真己)

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