木村了、ソニンらによるフィルムを愛する若者たちのちょっと切ない日常、舞台『フリック』開幕!


2016年10月13日(木)より東京・新国立劇場 小劇場にて舞台『フリック(原題:THE FLICK)』が日本初上演される。本作は2014年にピュリッツァー賞の戯曲部門を受賞したアニー・ベイカー作の戯曲。演出は、劇作家・演出家として幅広く活躍するマキノノゾミ、翻訳は『OPUS/作品』や『バグダッド動物園のベンガルタイガー』を手掛けた平川大作が担当する。その初日前日にフォトコールと囲み取材が行われ、木村了、ソニン、菅原永二が登壇した。

「フリック(flick)」とは映画や映画館を指す俗語。35ミリフィルム上映からデジタル化の波に飲み込まれていくアメリカの寂れた映画館を舞台に、さまざまな悩みを抱える現代の若者たちが不器用ながらも必死に生きる姿が描かれる。木村たちは、それぞれ映画館で働く従業員を演じる。

『フリック』フォトコール_2

コミュニケーションを取ることが苦手で映画オタクの黒人青年エイヴリーを演じる木村は「映画館で働くことで、どう成長していくかが僕の役どころのキモとなっています」と自身の役を説明。役作りのために肌を黒くしていることについて、木村は「メイクではありません。日焼けサロンに8回ほど通いました。これでもマキノさんには『もっと黒くして欲しい』と言われました。千秋楽には、見えなくなるぐらい黒くなっていると思います(笑)」と役作りのエピソードも披露。

『フリック』フォトコール_3

映画館で映写係として働く白人女性ローズを演じるソニンは「ローズは強がりで、愛情に欠けていて、映写室でフィルムを交換しているだけという、貧乏な下層の女性です。今回、初めて鼻ピアスを着けて、髪を緑に染めました。この作品のテーマであるジェンダーのLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字)の中のどこかに所属している人間です。ここも作品のポイントですね」とストーリーの展開を匂わせた。

『フリック』フォトコール_4

二人とは年齢が離れている貧しい白人サムを演じる菅原は「サムは学歴もなくて、マサチューセッツ州の田舎町に一生住み続けるだろうという、夢も希望も持っていない平凡な男です」と自分の役について述べた。菅原の腕にはタトゥーが入っており、木村から「これ、本物ですよね?」と冗談で質問されると、菅原は「違います(笑)。ペイントなんですけど、色が濃くなったり、日々進化しています」と笑って答えた。さらに髪型についても言及し、「今回、実際にモヒカンにしているんですけど、子どもから『誰だろう・・・?』って顔をされてます(笑)」と役作りの影響を明かした。

『フリック』フォトコール_6

本作の魅力について、木村は「この戯曲は現代のアメリカが詰め込まれている作品だと思いますが、日本に置き換えて上演しても、共感できることが多いと思います。演出のマキノさんと翻訳の平川さんが、苦労と工夫を重ねて翻訳をされていて、そこにかける思いが素敵に体現されています」とアピール。

『フリック』フォトコール_5

さらに、菅原は「映画がメインの話なので、映画好きの方も楽しめる作品になっています」と加え、ソニンも「(映画の中に出てくる)フレーズや映画俳優の名前などが結構出てくるので、映画好きの方はたまらないと思います」と同調。

『フリック』フォトコール_7

『フリック』フォトコール_8

舞台セットも、それらの言葉が示すように、スクリーン側からエイヴリーたちを観るという形になっている。そのセットについて、木村は「(舞台の)劇場に、映画館が組み込まれていて、マジックミラー越しに映画館で働く人たちの姿を観るというような不思議な感覚に陥ると思います」と魅力を語った。

『フリック』フォトコール_9

また、舞台美術として使用されている映画館の椅子が、劇場のロビーにも展示されており、そこに座って記念撮影をすることも可能だという。囲み取材では、木村たちが新国立劇場のマスコットと共に記念撮影する様子も披露された。

舞台『フリック』は、10月13日(木)から10月30日(日)まで東京・新国立劇場 小劇場にて上演。

(取材・文・撮影/櫻井宏充)

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