中屋敷法仁「こんなバラエティ豊かなメンバーはいない!」舞台『露出狂』公開ワークショップレポート


2016年9月30日(金)より東京・Zepp ブルーシアター六本木にて上演される舞台『露出狂』。本作は、劇団「柿喰う客」主宰・中屋敷法仁の代表作の一つで、“鋼の掟”が存在するという新興強豪校・高天ヶ原高校サッカー部のプライドを賭けた泥試合を描いている。上演に先駆け、8月29日(月)に都内にて行われた公開ワークショップの模様をレポートする。

2010年の初演時は、「柿喰う客」の公演として女優のみで上演。その後、2012年にパルコ・プロデュースとして男優のみの作品にリニューアルされた。約4年ぶりの上演となる今回は、市川知宏、陣内将、小沢道成、永島敬三の他、オーディションで28名の若き男優が選ばれ、合わせて総勢32名が出演。“チーム露(あらわ)”、“チーム出(いずる)”、23歳以下の俳優だけで構成された“チーム狂(くるう)”の3チームに分かれ、それぞれ異なった配役で上演する。

『露出狂』公開ワークショップ_7

公開ワークショップの冒頭では代表挨拶が行われ、作・演出の中屋敷は「世の中にはいろんなイケメンや上手い俳優さんがいると思いますけど、この32人ほどバラエティ豊かなメンバーはいないと思っています!誰が一番かということではなく、この32人が出す可能性や魅力が混ざり合って、一つの作品を作り出します。ワクワクドキドキが隠せません。僕が一番、本番を楽しみにしていると思います。早く本番になって欲しい!」と、笑いながらも力強い語気で自信を見せた。

『露出狂』公開ワークショップ_2

市川は「どのチームにもそれぞれの個性が出るよう32人全員で力を合わせて稽古をして、がんばっていきたいです」と意気込み、陣内は「オフェンシブな登場人物が多い作品なので、それに乗っかって、攻めの姿勢を絶やさないよう最後までガンガンいきたいです」と、内容になぞらえてコメント。

『露出狂』公開ワークショップ_3

ワークショップではまず、中屋敷流“だるまさんが転んだ”が行われた。初めは、中屋敷が「だるまさんが転んだ!」と言う度にストップするというスタンダードなものであったが、次第に、「誰かと目を合わせる」、「二人一組になる」と条件が付き、難易度が上がっていく。

『露出狂』公開ワークショップ_4

なかなか全員が二人一組になれない状況に対して、中屋敷は「どうやったら二人一組になれるかな?」と問いを投げかけ、出演者それぞれが能動的に思考していくことを促す。すると「相手を見つけたら指差す」、「組めた人たちは座る」、「真ん中に人が集中するから、分散するよう意識する」など徐々に意見が出始め、試行錯誤していく度に精度が増していった。

その後は、中屋敷のトレードマークでもあるピンクパンサーの人形を“中屋敷に見つからないようみんなで協力して隠し持つ”というレクリエーションが行われた(中屋敷は、お守りとしてピンクパンサーの人形をいつも所持している)。

『露出狂』公開ワークショップ_5

中屋敷が「僕のピンクパンサー知らない?」と探し周る中、俳優たちは何食わぬ顔でぬいぐるみを見つからないように渡し合う。さらに、中屋敷から「(ぬいぐるみを)隠していることを、隠してください」と演出をつけられると、端から見ていても誰が持っているのか分からないほど自然な振る舞いが生まれ、中屋敷は「素晴らしい!」と満足気であった。

『露出狂』公開ワークショップ_6

最後、中屋敷は全員を集め「今のように、舞台上では自分だけで演技するのではなく、誰かとコラボレーションしながらパフォーマンスしていってください」と総括し、公開ワークショップを締めくくった。

たった一時間のワークショップで総勢32名のキャストを束ねた中屋敷の演出手腕もさることながら、32名が混ざり合い、徐々に団結していく姿が印象的であった。愛憎×群像×スポ根と青春の要素が詰まった本作。総勢32名の出演者が一丸となった熱い魂の叫びを感じることができそうだ。

舞台『露出狂』は9月30日(金)から10月10日(月・祝)まで東京・Zeppブルーシアター六本木にて上演される。

(取材・文・撮影/大宮ガスト)

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