小日向文世、秋山菜津子ら実力派俳優が挑む日本初上演作『DISGRACED/ディスグレイスト−恥辱』稽古場レポート


2016年9月から10月にかけて上演される『DISGRACED/ディスグレイスト−恥辱』。本作は、2013年にピュリッツァー賞(戯曲部門)を受賞し、2015年にはトニー賞(ベストプレイ部門)にもノミネートされた話題作で、今回、演出に栗山民也を迎え日本初上演される。小日向文世、秋山菜津子、安田顕、小島聖、平埜生成といった実力派俳優たちが揃う稽古場からレポートが届いた。

『DISGRACED/ディスグレイスト−恥辱』_稽古場5

本作で描かれているのは、会話の表面から露呈される「人間の本質」。パキスタン系アメリカ人の男と白人の妻、ユダヤ人の男とアフリカ系アメリカ人の妻という異なる背景を持つ4人が集まるホームパーティーで、それぞれの信仰や社会政治に対する言葉の応酬は、やがて驚くべき結末に繋がっていく。

『DISGRACED/ディスグレイスト−恥辱』_稽古場4

8月中旬の稽古場。この日は、パキスタン系アメリカ人の弁護士・アミール(小日向)のアパートメントで、ホイットニー美術館での展示が決定したアミールの白人妻で画家・エミリー(秋山)を祝うパーティーの場面の稽古が行われていた。彼女の絵を招聘したのは、白人のユダヤ人キュレーター・アイザック(安田)。パーティーの参加者は彼らに加え、アミールと同じ事務所に所属するアフリカ系アメリカ人弁護士・ジョリー(小島)。

平穏と成功の中から、場面はスタート。稽古場には、ピリリとした空気が流れる。演出の栗山によって創り出される舞台上の“フィクション”が、大がかりな場面転換のない構成も相まって、観る者もパーティーの参加者であるような“リアル”な感覚として脳内に入り込んでくる。

『DISGRACED/ディスグレイスト−恥辱』_稽古場3

物語は、アミールの甥・パキスタン生まれのアメリカ人・エイブ(平埜)が持ち込んだ“とある相談”から動き始める。ひとたび狂った歯車は、水面に投げ入れた小石のように波紋を広げ、いつしか全員を巻き込んでいく。一言、また一言と放たれる度、引き返せたはずの瞬間を誰も気づかぬまま通り過ぎ、取り返しのつかない荒波と化す。

『DISGRACED/ディスグレイスト−恥辱』_稽古場2

立場が違えば本来異なるはずの「正義」の定義が、共通のものとしてこの世界を覆う現実の「嘘」が、舞台上で曝け出され、胸をえぐられるような感覚になる。男性と女性、イスラムとユダヤ、白人と有色人種・・・、舞台上にスピード感を持って映し出される世界の縮図。本作のキャッチコピー「日本を代表する俳優陣が挑む!」に恥じぬ重厚な雰囲気は、開幕までまだ数週間ある稽古からも感じられた。

『DISGRACED/ディスグレイスト−恥辱』_稽古場6

『DISGRACED/ディスグレイスト−恥辱』は、9月10日(土)から9月25日(日)まで東京・世田谷パブリックシアターにて上演される。その後、愛知、兵庫でも公演を行う。日程は下記のとおり。

【東京公演】9月10日(土)~9月25日(日) 世田谷パブリックシアター
【愛知公演】9月27日(火) 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
【兵庫公演】9月30日(金)~10月2日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール

(撮影/矢野智美)

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