劇作家・演出家 赤堀雅秋が描く逃れようのない“日常” 『同じ夢』初日コメント到着


2016年2月5日(金)より、東京・シアタートラムにて『同じ夢』が開幕した。本作は、2014年、2015年に規模の大きな舞台での劇作・演出にて、新境地を切り開いた赤堀雅秋が、小空間に戻り強力な俳優陣の力を得て描く、「壮大でミニマムなドラマ」となっている。どこか既視感を覚えるような郊外の“一軒家”というミクロの世界から、現代社会を照射し、時代の奔流の中で生きる生活者たちの機微を描き出す赤堀ならではの手腕が光る作品に仕上がっている。

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《あらすじ》
千葉県船橋市郊外。賑わっているとは、どう間違っても言えない商店街の一角にその精肉店はあった。主の松田昭雄(光石研)は二代目。初代である彼の父は、奥の和室に寝たきりになって久しい。この家に住むのは昭雄の娘・靖子(木下あかり)との三人。店には先代から勤める、胡散臭い見てくれの従業員・稲葉(赤堀雅秋)がいる他、ヘルパーの高橋(麻生久美子)が老父の世話に通ってくる。近所の文房具屋で飲み仲間の佐野(田中哲司)も、大した用もないのに、この家に入り浸っている。
真冬のある日。この日だけは、常にない客が松田家を訪れる。10年前、昭雄の妻は交通事故で死んだ。その加害者である田所(大森南朋)が、命日になると毎年欠かさず詫びと焼香のためにやってくるのだ。
どうしようもなく流れる時間の中で、薄れていくのは憎しみと哀しみ。反比例するかのように増していくのは・・・。
ささやか過ぎて笑えるくらいの日常。でも、見方を変えればそこは出口の見えない「牢獄」でもある。

『同じ夢』公開ゲネプロ_2

初日を終えた出演者たちからコメントが到着したので、お届けしよう。

◆赤堀雅秋(作・演出 稲葉和彦役)
スタッフ、キャストの皆さんのおかげで本当に良い初日を迎えることができました。この作品は役者の精神、身体のわずかな変化次第で、お客様の想像力を何倍にも喚起させられるような芝居ですので、これから更に良くなっていくのではと感じています。執筆の最中は、この先の展開はどうなるのか自分でもヒヤヒヤしながら書いていた部分もありましたが、最終的には納得のいく作品を作ることができたと自負しています。明日以降も、真摯にやっていきたいと思います。

◆光石研(松田昭雄役)
これからこの作品の長い旅が始まりますが、毎日毎日、緊張を切らさずに演じていきたいです。お客様からの笑いや反応も本日いただきましたが、稽古場でやってきたことを基に、自分たちは自分たちの世界の中で頑なに頑張っていき、とにかく赤堀さんが僕たちに書いてくださった世界を忠実に再現したいと、それだけを思っています。

◆麻生久美子(高橋美奈代役)
赤堀さんも仰ってましたが、毎回気が抜けないお芝居なので、この緊張が最後まで持続するのかなと思うと気が重くもあります(笑)。ですが予想以上にお客様が笑ってくださり、お客様と一体になった感じがして楽しみや発見がありました。私が演じるのは複雑な面を持つ女性なのでこれからも模索していきたいですし、そうすれば、私自身もっと楽しめるのではないかと思います。

◆大森南朋(田所元気役)
赤堀さんが書かれた世界の人々、そこに流れている空気を、これからもぶれないように立ち上げていくために、この初日の緊張感を継続しなければと心に留めています。今日の初日はひとつの完成ですが、ここからもしかしたらまた違う完成の形、新たな世界が見えるのではないかと思っています。緊張感を持ちつつ、楽しみながら演じていきたいです。

◆木下あかり (松田靖子役)
ものすごく緊張しました。初日の緊張感がお客様にもあるのかなと思っていたのですが、沢山笑ってくださって、やはりそれは赤堀さんの台本の力だと思いました。赤堀さんの台本に素直に演じていれば、お客様も感じ取ってくださるんだと。今日の新鮮さを毎回忘れずに演じていけたらと思います。これからますます、良くしていきたいです。

◆田中哲司(佐野秀樹役)
無事初日の幕が開いて良かったです。それと同時に、自分たち次第で良くも悪くもなる可能性を秘めた“危ない”作品だと感じましたので、共演者皆で意見を交わしながら、これから更に気を引き締めていきたいと思います。これまで二作立て続けに挑んできた翻訳作品とは違う面白さが本作にはありますので、取り組める嬉しさを感じています。

『同じ夢』公開ゲネプロ_3

『同じ夢』は、2016年2月5日(金)から2月21日(日)まで東京・シアタートラムにて上演。その後、松本、水戸、名古屋、兵庫、広島、福岡にて公演が行われる。詳細は、以下のとおり。

2月24日(水)・2月25日(木) 松本・まつもと市民芸術館 実験劇場
2月27日(土)2月28日(日) 水戸・水戸芸術館 ACM劇場
3月1日(火)・3月2日(水) 名古屋・愛知県産業労働センター ウインクあいち 大ホール
3月4日(金)~3月6日(日) 兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
3月8日(火)・3月9日(水) 広島・JMSアステールプラザ 中ホール
3月12日(土)3月13日(日) 福岡・福岡県立ももち文化センター 大ホール

(C)撮影:細野晋司

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