森山未來、荒木作品で舞台表現の新たな領域へ『死刑執行中脱獄進行中』開幕


2015年11月20日(金)より東京・天王洲 銀河劇場にて『死刑執行中脱獄進行中』が開幕した。本作は、「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズで知られる漫画家・荒木飛呂彦が1995年に発表し、1999年に発売された同名短篇集の表題作を原作としている。初日前日には、公開ゲネプロと囲み取材が行われ、構成・演出・振付を手がけた長谷川寧、主演の森山未來、初音映莉子、音楽監督の蔡忠浩(bonobos)が登壇した。

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『死刑執行中脱獄進行中』ゲネプロ_2

荒木作品は、これが初の舞台化となる。企画から参加しているという長谷川は「原作物で何かということになった時に、強烈に印象に残っていたのが荒木さんの短編集だった」という。「荒木作品のビジュアルに現れる身体性と設定を使って何か作品が作れるんじゃないか、しかも短編だからこそ膨らませていけるんじゃないかと思ったんです」と、舞台化に至った経緯を明かした。

『死刑執行中脱獄進行中』ゲネプロ_3

主演の森山は、独特の世界観を舞台上に表現するにあたり「世界観をどうやって舞台の上に乗せるか。クリエイションの様々なプロセスは本番の幕を開けてからも続きます」とストイックな姿勢を見せる。その上で「原作という土台を忘れずに、テキストの演劇的要素や、身体的な踊りの要素、音楽、衣装、美術といった様々な要素をふんだんに使った作品になっているので、観たことのない世界観になっていたらいいなと思います」と作品への想いを語った。

共演するダンサーについては「みんなプロフェッショナルな人たち、ハイセンスな人たちが集まっているので、出会えてすごく嬉しい」と敬意を表し、「あんまり言うとネタバレになってしまうんですけど、いわゆる”ジョジョ立ち”について荒木さんは、普通に人間がなかなか取りがたいポーズとコメントされているそうで。ダンサーの人たちの身体はすごく強いものなので、その所作ひとつが表現になる」と称賛した。

『死刑執行中脱獄進行中』ゲネプロ_4

劇中で謎めいた女性を演じる初音は「少しずつ身体を動かしていくことによって役作りができた」とまっすぐな眼差しで、「台詞をしゃべることより、身体を動かすことによってどんどん感情の肉付けや、筋肉が鍛えられていったかなと思います。まだまだ成長中なので、探っていきたいです」と独特の表現へ挑む決意を見せた。

森山と初音はこれが初共演。森山が「華奢な身体ながら力強く、存在が強いので立ってるだけで絵になる。頼っています」というと、初音も「私も頼ってます(笑)」と顔をほころばせ、「怖そうな方なのかなと思っていたんですけど、ご一緒して、森山さんの大人のような少年のような、幅広く自由なところ見せてもらった」と印象の変化を明かした。

『死刑執行中脱獄進行中』ゲネプロ_5

音楽監督だけでなく、演奏も自ら務める蔡は「中心にある物語に反応する俳優やダンサーと、僕らミュージシャンのリズムが合わさり、新しいグル―ヴを作れたらと考えている」と語った。今回の舞台は、彼らのアグレッシブな生演奏に乗せて物語が展開する。

最後に森山が「僕らも試行錯誤しながら、身体や言葉に頼り切ることなく、ひとつひとつのマテリアルをフラットに捉えながら、ひとつの作品世界を構築すべく切磋琢磨しているので、そこに立ち会って頂けると非常に嬉しいです」と呼びかけ、会見を締めくくった。

『死刑執行中脱獄進行中』ゲネプロ_6

「死刑執行中脱獄進行中」の”死刑宣告を受けた男が監獄からの逃避行を試みるサスペンス”をベースに、同短編集に収録された「ドルチ~ダイ・ハード・ザ・キャット~」の要素を織り交ぜた構成で唯一無二の世界観を紡ぎだしている本作。これは演劇なのか?ダンスパフォーマンスなのか? 各ジャンルのクリエイターの力が結集し、舞台表現の新たな領域へ足を踏み出す。

『死刑執行中脱獄進行中』は、2015年11月20日(金)から11月29日(日)まで東京・天王洲 銀河劇場にて上演。その後、宮城、広島、北海道、富山、大阪にて地方公演が予定されている。日程は、以下の通り。

11月20日(金)~11月29日(日) 東京・天王洲 銀河劇場
12月2日(水) 宮城・電力ホール
12月5日(土)・6日(日) 広島・JMSアステールプラザ 大ホール
12月15日(火) 北海道・わくわくホリデーホール(札幌市民ホール)
12月19日(土)・20日(日) 富山・富山県民会館ホール
12月22日(火)・23日(水・祝) 大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ

撮影:生井秀樹

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