井上芳雄が“日本初上演”に挑む!ミュージカル『パッション』稽古場レポート


2015年秋からスタートする新国立劇場2015/2016シーズンの演劇部門1作目として上演されるミュージカル『パッション』。本作は、1994年にブロードウェイで初演され、トニー賞で最優秀ミュージカル作品賞をはじめ4部門に輝いた作品である。“日本初上演”に向け、9月某日の熱の入る稽古場を取材した。

『パッション』稽古場レポート

物語の舞台は、19世紀のイタリア・ミラノ。若き騎兵隊の兵士・ジョルジオ(井上芳雄)は、美しいクララ(和音美桜)と情熱的な愛を交わすことに夢中になっている。しかし、ほどなくして彼はミラノから辺鄙な田舎へと転勤を命じられ、そこで上官リッチ大佐(福井貴一)の従妹フォスカ(シルビア・グラブ)と出会う。病に冒されているフォスカはジョルジオを一目見て恋に落ち、執拗に彼を追いかけるようになるのだが…。

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稽古が始まる前には発声練習が行われており、井上と和音がピアノの調べに乗せ声を合わせていた。“ミスター・ミュージカル”の異名を持つスティーブン・ソンドハイムによる楽曲は、本作の大きな魅力。甘く美しい響きだが、その旋律は非常に複雑だ。井上は何度も確かめるように音をなぞっていた。

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取材当日の中心として進められたのは、一幕のとあるシーン。フォスカがジョルジオの不在によって想いを募らせていく様が描かれる。演出の宮田慶子からシルビアに「そこは、ロマンティックな方じゃなくて開き直った感じで」「嫌味ひとつを言っていても不安なように」などと場面場面に声がかかり、台詞の方向性や温度が定められていく。そうしてフォスカという人物の輪郭が際立ってくる。

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多くの人で食卓を囲むシーンでは、見せたいシーンをピックアップするため段取りの変更が行われた。給仕の順番やタイミング、ナプキンの置き場所、ナイフとフォークの配置、ワインの注ぎ方、それぞれが意見を出し合って作り上げていく。話は時代背景にまで及んだ。また、ジョルジオがフォスカの部屋を訪れクララの存在を語るシーンでは「椅子、小さくありません?」と問う井上に、宮田が「それは女子のお部屋だから」と答え、和やかな笑いが起こる一幕も。

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「現段階ではまだ原石。これからさらに磨き上げられていきます」と井上が稽古場で語ったように、繊細なメロディに“愛の情熱”をひそませた物語は、実力派キャスト陣の手でさらに光り輝いていくことだろう。

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「ただ愛すること」が愛なのか?「ひたすらに愛されること」が愛なのか?ミュージカル『パッション』は、2015年10月16日(金)から11月8日(日)まで東京・新国立劇場 中劇場にて、11月13日(金)から15日(日)まで兵庫・兵庫県立芸術文化センターにて上演される。

※エンタステージでは、本日井上芳雄のインタビューを掲載予定。お楽しみに!

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