演劇史上最高の自伝劇、『夜への長い旅路』初日開幕レポート


2015年9月7日(月)、東京・シアタートラムにて『夜への長い旅路』が開幕した。本作は、20世紀のアメリカが生んだ偉大な劇作家でありノーベル賞作家でもあるユージン・オニール作の戯曲。ユージン自身の凄まじい家族関係を赤裸々に描いた“演劇史上最高の自伝劇”と称される本作を、麻実れい、田中圭、満島真之介、益岡徹の豪華なキャスト陣が、繊細に熱く演じている。

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タイロン家の別荘の居間、1912年8月のある日。
メアリー(麻実れい)は難産が原因で医者から処方されたモルヒネで中毒になり、幻覚に囚われ始めている。そんな中、タイロン家の家族間の対立や不和が露呈していく。商業演劇で同じ役ばかりを演じている夫・ジェイムズ(益岡 徹)との結婚を後悔しているメアリー、過度な倹約家で、土地所有に異常な執着の持ち主であるジェイムズ、互いに不満を抱き、母をめぐり確執が生じているジェイミー(田中圭)とエドマンド(満島真之介)の兄弟。

『夜への長い旅路』

メアリーが麻薬に手を出してしまった原因は意外な過去にあった。息子の死という辛い過去から逃れることができず、麻薬症状はさらにひどくなり、エドマンドのことすら疎んじ始めるメアリー。家族がたどり着く長い旅路の果てに何が待っているのか――。

『夜への長い旅路』

『夜への長い旅路』

本作は、いつ果てるともない、壮絶な4人家族のいさかいの記録である。メアリー、ジェイミー、エドマンド、ジェイムズの家族4人が、ののしり、和解し、また傷つけ合う。言葉の応酬だけでなく、役者同士、身体の接触を最大限に使う。熊林弘高の演出にはおなじみの風景だ。鼻が触れ合う距離で怒鳴りあう。つかみ合い、相手をねじふせる。抱擁する。頬に唇を寄せる。舞台のラスト、暗闇に消えていく、妻メアリーの長く哀しいモノローグが語るもの。それは、この家族の絆の本当の崩壊か、それとも、再生の予感か。
客席のひとりひとりが、大切な人のことを考えながら帰り道につく、そんな舞台になっている。

『夜への長い旅路』

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『夜への長い旅路』は9月23日(水祝)まで、東京・シアタートラムにて、9月26日(土)~29日(火)、梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティにて上演。

撮影:村尾昌美

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