「心だけでなく皮膚が震える体感」宮本亜門が語るDRUM TAOの魅力とは?


2015年7月16日(木)から26日まで、東京・天王洲 銀河劇場にてDRUM TAOの新作舞台『百花繚乱 日本ドラム絵巻』が上演される。コシノジュンコのあでやかな衣装をまとった奏者たちが様々な太鼓のパフォーマンスを繰り広げる様はまさに「THE 日本 エンターテインメント」。この舞台で構成・演出を務めるのが日本を代表する演出家の一人、宮本亜門。その宮本が7月2日(木)、会見に臨み、TAOの魅力について語った。

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大分県竹田市に拠点を構え、全世界を舞台に活動するDRUM TAO。宮本とTAOの出会いは、仕事で海外を回っているときだったという。「正直、日本のカンパニーだと思っていませんでした。すごいエネルギッシュな人たちがいるんだなあと思っていたが、その後日本で拝見して(TAOの存在を知らなかったことを)反省しています」と語る。後日、TAOの演出のオファーを受けた宮本は、「若いときから日本のものが好きで、いつかそういうものを演出したいと思っていたのに、なぜか西洋のミュージカルをやっていた(笑)。原点回帰をしようと思った時期があり『金閣寺』(2012年/主演:森田剛、2014年/主演:柳楽優弥)『耳なし芳一』(2013年・主演:山本裕典)をやった頃にこの話をいただいたんです。こんなに早く演出にたずさわることを決めて、こんなに早く稽古に入ったことはないです(笑)」と当時を振り返っていた。

DRUM TAO

この日、会見場ではTAOのパフォーマンス映像を宮本が解説を入れつつ上映。過去作品を沢山観て、彼らが持つイメージやTAOの名作・名曲を「パズルのように繋げながら」物語を作ったという。もともとTAOが持っている表現を大事にしたい、TAOが持つ情緒性を大切にしたいと思いつつメンバーと合宿生活をともにしながら演出に望んだという。

宮本亜門

メンバーとのコミュニケーションを取る中で、メンバー自身はTAOのどの曲が好きなのかを聴いてみたところ、東日本大震災があった後に演奏した曲が好きだと口にするメンバーが少なからずいたという。
「演奏しながら自分たちも泣いた。今、自分が生きていることとつながった、と彼らは語るんです。一方、観客からも『TAOの太鼓がないと辛いから(演奏をしに)きてください』という声も多くいただいたそうです。太鼓には生きる活力を与える力がある。人間の価値を与える力が太鼓にはあるんです」
この公演では、天変地異が起きる場面もあるが、「気候変動が起きると、怖がる人、それを乗り越えていこうとする人など、人間の個性が炙りだされます。今まさにそんな時期を迎えていますが、あなた自身はこれをどう乗り越えていこうとしているのか、と問いかけていきたい」と語った。

DRUM TAO

「演劇はある意味、舞台の上という額縁の中で表現し完結していきますが、TAOはナマで、セリフのない、ノンバーバルな中、心に響くだけでなく実際にこの皮膚がビリビリ震えるんです。全部が体感なんです。額縁を超えて、観客も一緒に味わえる魅力があるんです」 ちなみに宮本が好きな太鼓の音色は「月鼓(げっこ)。胴の部分がないんですよ。あと、戦いの場面で出てくる桶胴太鼓(おけどうだいこ)。あの音色と激しい叩き方はカッコイイなーと思いましたね」と、少年のような笑顔で興奮を伝えていた。

DRUM TAO
中央奥、女性の背後にある巨大な太鼓が「月鼓」です!

日本をイメージしたとある時代の物語。「和太鼓のパフォーマンスといえば、今までは白と黒のストイックな美しさ、静なる美しさを追求するものが多かったと思うが、TAOではコシノジュンコさんの力も借りて鮮やかなカラフルな表現をみせていきたい」と語る宮本。「いろいろな色を認めていく=異なる表現を受け入れいくという、日本の多様性を盛り込んでいくことで、世界とつながっていく。そんなことをも伝えていきたい」

宮本亜門

ぜひ劇場で様々な「体感」をしてみてはいかがだろう。

DRUM TAO『百花繚乱 日本ドラム絵巻』は、2015年7月16日(木)から26日まで、東京・天王洲 銀河劇場にて上演。

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