役者生活50周年の集大成!市村正親一人の劇団『市村座』全国で上演中


市村正親が1997年に旗揚げした市村一人の劇団、『市村座』。市村の役者生活50周年の集大成であり、5年ぶり10回目となる本作が、全国で上演中。3月3日(金)は大阪・NHK大阪ホール、3月4日(土)から福岡・博多座、3月8日(水)は埼玉・ウェスタ川越 大ホール、3月10日(金)は宮城・仙台電力ホールで上演される。2月26日から東京・日生劇場で上演されていた本作の舞台写真が到着した。

1973年に『イエス・キリスト=スーパースター』でデビューを果たし、2023年で役者生活50周年を迎える俳優・市村正親。その市村が1997年に旗揚げした『市村座』は、今回で10回目の上演となる。

これまでの『市村座』では、落語「たらちね」の物語を「マイフェアレディ」のミュージカルナンバーにのせて歌い上げる音楽落語や、芝居仕立人情噺と銘打った落語一人芝居「文七元結」「芝浜」「子別れ」、立体オペラ講談「市村座の怪人」や音楽講談「日生劇場の怪人」、などバラエティ豊かな演目を通して、毎回、様々な市村正親を魅せてきた。

役者生活50周年の集大成!市村正親一人の劇団『市村座』全国で上演中

記念すべき今回の公演では、お馴染みの口上から始まり、「文七元結」「芝浜」の作者である三遊亭圓朝の落語「死神」(市村の役者人生の始まりである付人をした恩師西村晃の代表作)の一人芝居仕立のほか、市村がこの50年間に出演してきた40以上のミュージカル全作品を、その楽曲とともに振り返る。そしてラストには、市村が絶大な信頼を寄せ共に歩んできた作・演出の髙平哲郎作詞、音楽の上柴はじめ作曲による、俳優・市村正親をイメージした新曲を市村自身が歌い上げていく。

口上では裃姿の市村によるご挨拶と演目紹介。その後、市村二世として長男・優汰さんと次男さんが登場し、それぞれ立派に口上を述べた。「父のこと、よろしくお願いいたします」と話す二人、見守る市村の優しい目が印象的だ。

役者生活50周年の集大成!市村正親一人の劇団『市村座』全国で上演中

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次に披露されたのが一人芝居仕立「死神」。「死神」は三遊亭圓朝作の落語で、かつて市村が付き人をしていた西村晃がミュージカルで演じたこともある。今回の「死神」では男が市村座を見逃すわけにはいかないと金を使い果たし、市村の追っかけだった妻は、亭主の散財に腹を立て、家から追い出してしまう。男は悔しくて死のうとすると、そこに死神が・・・という展開の中で何役も務める市村は、実に軽妙で達者、芝居心とコメディセンスが光る。ラストは劇場が驚きと笑いで包まれた。

幕間を挟んで、「五十年間全作品人気楽曲披露」。なんと、市村が出演したミュージカル40曲以上、デビュー作「ヘロデ王の歌」(『イエス・キリスト=スーパースター』)から始まり、劇団四季時代から退団後の今に至るまでのナンバーを、思い出の画像やエピソードと共に披露するという。各曲ワンフレーズずつ歌う程度だろうと思っていたら、これが大違い。曲によってはガッツリ歌い切り、振付もつく。途中からこれは凄まじい挑戦だと気づき、楽しみながらも手に汗握って応援する気持ちになるだろう。

「ワン」(『コーラスライン』)ではステップを踏みながら歌い踊り、3役を務めた『キャッツ』ではミストフェリーズとスキンブルシャンクスの両曲を歌うサービス精神。『オペラ座の怪人』『ラブ・ネバー・ダイ』ではその伸びる歌声はまさにファントムが降りてきたようで、一気に物語へと連れて行かれる。

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そして、エンジニアとして泥臭く「アメリカンドリーム」(『ミス・サイゴン』)を歌ったかと思えば「マスカラ」(『ラ・カージュ・オ・フォール』)ではお化粧や身支度をする可憐なサザがいる。「心を鉄に閉じ込めて」(『モーツァルト!』)で天才ヴォルフガングの父としての想いを吐露し、牛乳屋テヴィエとして「もし金持ちならば」(『屋根の上のヴァイオリン弾き』)で軽やかに舞う。 「マイ・フレンズ」(『スウィーニー・トッド』)ではカミソリを手に復讐心を燃やし、「最後の願い」(『生きる』)では市民課長・渡辺勘治として再生を決心する。

役の幅広さたるや、市村は一体どれだけの表現、引き出しを持っているのだろう?市村が歌うとその場面がパーッと目前に広がる。 きっとどの人物にも真摯に魂を吹き込んできたのだろう。 間違いなく役者になるために生まれてきた人なのだと胸に迫るものがあった。

役者生活50周年の集大成!市村正親一人の劇団『市村座』全国で上演中

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さらにお子さん二人もパフォーマンスに参加。優汰さんと次男さんは『コーラスライン』の「ぼくって誰だ」をデュエット。また優汰さんは『キャバレー』の「ヴィルコメン」にのせて華麗なタップで場を沸かせた。次男さんは『人間になりたがった猫』の「自己紹介」や「青い鳥」を独唱、素直な美声でこの先が楽しみだ。

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ラストは市村座恒例の長編歌謡浪曲「俵星玄蕃」。歌、語り、芝居、振り、浪曲が詰まったこの難曲、市村は今回も力強く高らかに歌い切ってみせた。またアンコールでは市村の役者人生を表した新曲「役者ほど素敵な人生はない」が披露された。

市村の過去と現在、そして未来を詰め込んだ『市村座』は3月3日(金)に大阪・NHK大阪ホール、3月4日(土)と3月5日(日)に福岡・博多座、3月8日(水)に埼玉・ウェスタ川越 大ホール、3月10日(金)に宮城・仙台電力ホールにて上演予定。上演時間は1幕50分、休憩20分、2幕80分の計2時間30分予定だ。

役者生活50周年の集大成!市村正親一人の劇団『市村座』全国で上演中

(文:三浦真紀/撮影:渡部孝弘)

『市村座』公演情報

スケジュール

【東京公演】2023年2月26日(日)~2月28日(火)日生劇場
【大阪公演】2023年3月3日(金)NHK大阪ホール
【博多公演】2023年3月4日(土)・3月5日(日)博多座
【川越公演】2023年3月8日(水)ウェスタ川越 大ホール
【仙台公演】2023年3月10日(金)仙台電力ホール

スタッフ・キャスト

【作・演出】高平哲郎
【音楽】上柴はじめ

【キャスト】市村正親

公式サイト

https://horipro-stage.jp/stage/ichimuraza2023/
【公式Twitter】 https://twitter.com/ichimuraza

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