感情豊かに演じる女性たちが表現する“人生で大切なもの”。『異母姉妹』が見つける笑いと家族愛。ゲネプロレポート


取材をしていると、自然と家族の話題になった。
五女の鈴木船(小林ひな実)が話す。

「暗い話じゃないですけど、今年に入ってすごく元気だったおばあちゃんが急に亡くなったんです。すごく自由なおばあちゃんで、『あんなおばあちゃんだったよね』とか話している時間が、不思議と一番泣けてきて…。ふざけているシーンほど、記憶に残ることってあると思う」と、涙を見せた。

そうなのだ。
いつも当たり前の中に、大事なものはある。
何気ない会話や笑い、それを共有できる家族。
その大切さを改めて知ることで、人は時間を大切にできる。

それを、感情豊かに演じる女性たちが
喜怒哀楽で表現してくれる。
『異母姉妹』は、そんな作品だ。

ある屋敷に集まってくる、5人の『異母姉妹』

ベニバラ兎団が手がける舞台『異母姉妹』が、2022年9月14日(水)に東京下北沢・本多劇場グループ 小劇場 B1にて開幕した。女性7人+男性1人で演じる、笑い泣きできるコメディ感動作品だ。

鎌倉にある、あるお屋敷。
そこにひとりの女性が住んでいた。

彼女の名前は、八月一日蜜柑
(はっさく みかん:久保亜沙香)。
彼女は、長年付き添ってきた執事の
八城未来 (やしろ みく:水野伽奈子)に、
いつものように自分の夢を語り始める。

 

感情豊かに演じる女性たちが表現する“人生で大切なもの”。『異母姉妹』が見つける笑いと家族愛。ゲネプロレポートしかし、それは世間知らずの
彼女が想い描く、現実味のない妄想。
彼女自身もそれを理解していながら、
外に踏み出す勇気が出ない。

そこに飛び込んできた一人の女性。
鈴木船(すずき ふね:小林ひな実)
話を聞けば、彼女も父の娘だという。

さらに聞かされる、新たな事実。
「私たち2人の他にも、あと3人いるから」

感情豊かに演じる女性たちが表現する“人生で大切なもの”。『異母姉妹』が見つける笑いと家族愛。ゲネプロレポート

その日から次々と訪れる、娘を名乗る女性たち。
かわいらしく明朗快活ながら、どこか暗い影を
持つ皇美瑠々(すめらぎ みるる:川村那月)。

南条莉織(なんじょう りおる:玉川来夢)は、
セレブのように振る舞い文句ばかりつけて
いるが、どこか寂しげな表情を持つ。

四女を名乗る西園寺桔梗
(さいおんじ ききょう:新川悠帆)は、
マンガにしか興味がないオタク。
でも、人とのつながりに憧れを持っているようだ。

感情豊かに演じる女性たちが表現する“人生で大切なもの”。『異母姉妹』が見つける笑いと家族愛。ゲネプロレポート 感情豊かに演じる女性たちが表現する“人生で大切なもの”。『異母姉妹』が見つける笑いと家族愛。ゲネプロレポート 感情豊かに演じる女性たちが表現する“人生で大切なもの”。『異母姉妹』が見つける笑いと家族愛。ゲネプロレポート

父の打診により、急遽、
一緒に暮らすことになった5人の姉妹。
それぞれの個性、食い違う意見。
当然、それぞれの関係はギクシャクしていく。

そこに帰ってきた、父親の八月一日柑弍
(はっさく かんじ:Kいち)。
5人娘との再会を喜びつつ、
父親は衝撃の事実を告げるのであった。

「私は、あと一カ月ぐらいしたら…死ぬんだ」

感情豊かに演じる女性たちが表現する“人生で大切なもの”。『異母姉妹』が見つける笑いと家族愛。ゲネプロレポート 感情豊かに演じる女性たちが表現する“人生で大切なもの”。『異母姉妹』が見つける笑いと家族愛。ゲネプロレポート

彼の秘書としてやってきた青梅雨夏芽
(あおつゆ なつめ:白石みずほ)を加えて、
女性7人が見せる、それぞれの本性。
温もり、お金、みんな求めるものは違う。
それでも、「死」という事実を前に、
お互いの理解は深まっていく。
彼女たちが迎える結末、それぞれが出す答えとは。

そして長女の蜜柑は、妄想の中にしか
見ていなかった家族を、
一歩先の人生に踏み出す勇気を、
手にできるのか。

感情豊かに演じる女性たちが表現する“人生で大切なもの”。『異母姉妹』が見つける笑いと家族愛。ゲネプロレポート 感情豊かに演じる女性たちが表現する“人生で大切なもの”。『異母姉妹』が見つける笑いと家族愛。ゲネプロレポート

感情豊かに演じる女性たちが表現する“人生で大切なもの”。『異母姉妹』が見つける笑いと家族愛。ゲネプロレポート

耽美な音楽・照明の中で展開される
切れ味鋭いダンス、劇中で登場する殺陣。
ピアノ生演奏(アッコ/オーラロタクト)の下で、
自由気ままに歌いだす父の柑弍。
日替わりゲストなど、
コメディタッチで描く、家族愛。

見終わった後、自分に与えられた時間の中で、
大切なものは何なのか。
自分を見つめなおす機会を与えてくれる作品に、
ぜひ触れてもらいたい。

(撮影・文:守本和宏)

 

キャストコメント紹介

◆八月一日 蜜柑 (はっさくみかん) ※長女 年齢35歳:久保亜沙香
蜜柑は、お屋敷を管理しているお嬢様で、自分のペースで生きている、ある意味幸せな女の子です。私も長女で、マイペースなところに共感できるので、自然に演じさせていただいています。作品に出てくる「死」は、誰もがいずれ経験するはずなのに、怖いものでもある。でも、この作品を演じてみて、自分が死ぬ時に大事な人と過ごした時間を思い出せたら、あまり怖くないのかなと、少し思いました。観劇後に帰る時には、皆様にも色々な気持ちを持って帰っていただけたら嬉しいです。

◆皇 美瑠々 (すめらぎ みるる) ※次女 年齢30歳:川村那月
美瑠々は過去にトラウマを抱えていて、その反面、元気な明るい子ですね。妹の莉織が大好きな、優しい女の子です。私も実際は一人っ子で、姉妹の距離感がわからず、その研究から始めました。でも、IZAMさんから「なっちゃんのままで演じればいいから」と言われて、すごくやりやすかったです。私は今回、初めて舞台に立たせていただきますが、ダンスあり歌ありで面白いシーンばかり。それぞれの役ごとにメッセージがあるので、最後はほっこりして帰ってもらえるのかなと思います。

◆南条 莉織 (なんじょう りおる) ※三女 年齢27歳:玉川来夢
莉織はセレブ気取りな女の子で、色々と家庭の事情があるのですが、新しい姉妹が増えていく中で幸せになっていく役です。ツンツンするし、一言多い役で、私はプライベートだとフワフワしているのですが、仕事になると“まま”莉織なんですよね。仕事モードの私にぴったりなので、自然に演じられています。今回の作品は死がテーマ。見に来てくださったお客様の、命にあたる時間をもらって、みんなで劇場で過ごすわけですから、ひとつずつの公演をしっかりやっていきたいです。

◆西園寺 桔梗 (さいおんじ ききょう) ※四女 年齢24歳:新川悠帆〈ベニバラ兎団〉
桔梗は引きこもりで、漫画の世界の中にだけ生きているタイプの女の子ですね。 初めて3次元の人たちと関わりを持って、感情が動いていく、作品の中で成長していく役です。私はあまりアニメとか漫画とかハマるタイプじゃないですけど、桔梗が好きそうな漫画を読んでハマったりして、楽しく演じさせてもらっています。毎日を大切に生きようって、この台本を見て思ったので、ぜひご覧ください。

◆鈴木 船 (すずき ふね) ※五女 年齢18歳:小林ひな実
船ちゃんは唯一の10代で、思ったことはすぐ言っちゃう、真っ直ぐな性格な女の子ですね。田舎者だけどギャルで、パパが大好き。多分、本当はお姉ちゃんが欲しかったんだろうなっていう子です。私は東京出身・東京育ちですけど、方言を喋らなければいけなくて。でも、稽古初日に登場シーンをやったらIZAMさんに大爆笑されて、「訛ってるから、そのキャラで行こう」ってなったので、そのまま演じさせてもらっています(笑)

◆八城 未来 (やしろ みく) ※女性執事 年齢40歳:水野伽奈子
八城未来は、代々八月一日家にお仕えしている一族で、家族のような気持ちでお世話させていただいているキャラクター。だから、家族が増えて、嬉しい気持ちを表現しながら演じています。私も実は一人っ子で、みんなが出ているシーンは、すごくワクワクしながら見ています。本当は姉妹のみんなにもっと近寄りたい気持ちはあるのですが、執事なので、距離感を意識しながら頑張っています。

◆青梅雨 夏芽 (あおつゆ なつめ) ※長女の従兄弟 年齢30歳:白石みずほ
夏芽は、柑弍の秘書役で蜜柑のいとこにあたります。柑弍に出会うまでボーっと生きてきたけど、拾ってもらって生きる活力を取り戻した。それに恩義を感じている役柄です。夏芽は秘書で、柑弍はダメお父さんなので、その対比がよく出るように、“できる人”感を出して演じています。説明セリフが多いので、姿勢も背筋を張ったり、細かいところで秘書感が出るように意識していけたらと思います。

◆八月一日 柑弍 (はっさく かんじ) ※父親 年齢55歳:Kいち
徐々に不健康になったり、病気とどう向き合うかなどが役のテーマです。本人は、時間の経過によって病んでいく自分を見せたくないと思っているので、そこは気にかけて演じています。色々遊び歩いていたけど、最終的には人情深いお父さん。そんな本音が死ぬ間際までに見せられたらいいなと思っています。観劇して何を受け取るかはお客さん次第だと思うので、それは皆様に委ねて、私自身は楽しく最後まで演じたいと思います。

舞台『異母姉妹』- 公演情報

上演スケジュール・チケット

2022年9月14日(水)~9月18日(日) 東京下北沢 本多劇場グループ 小劇場 B1

<チケット>
【劇団予約】
https://www.quartet-online.net/ticket/iboshimai?o=b00002h

■パンフレット付スペシャルチケット(前売券)  7.000円 (入場整理番号No.1〜No,18 確定! ・全席自由席・税込)
■ノーマルチケット(前売券) 6.000円 (入場整理番号付・全席自由席・税込)
■学割チケット ( ※数量限定 ) (前売券) 4.000円 (入場整理番号付・全席自由席・税込)
※当日券は全ての券種共に、500円増しになります。

スタッフ・キャスト

【原案 : IZAM】
【脚本 : 田淵晃基】
【振付 : 青井美文】
【劇中歌 : 黒色すみれ】

【演出・プロデュース : IZAMANIAX〈ベニバラ兎団〉】

【キャスト】
八月一日 蜜柑:久保亜沙香
皇 美瑠々:川村那月
南条 莉織:玉川来夢
西園寺 桔梗:新川悠帆〈ベニバラ兎団〉
鈴木 船:小林ひな実
青梅雨 夏芽:白石みずほ

八城 未来:水野伽奈子

八月一日 柑弍:Kいち

■日替わりゲスト
9/16〈金〉19:00 LAST FIRST
9/17〈土〉13:00 麻衣阿/18:00 麻衣阿
9/18〈日〉12:00 エリザベス・マリー/16:00 エリザベス・マリー

■ピアノ生演奏
アッコ〈オーロラタクト〉

【公式サイト】https://ameblo.jp/benibara-de-paris/
【公式Twitter】@benibarausagix

 






チケットぴあ
感情豊かに演じる女性たちが表現する“人生で大切なもの”。『異母姉妹』が見つける笑いと家族愛。ゲネプロレポート
最新情報をチェックしよう!
テキストのコピーはできません。