『こどもの一生』開幕!Sexy Zone松島聡、初舞台主演で右肩上がりに急成長


2022年4月3日(日)に東京・東京芸術劇場 プレイハウスにて、『こどもの一生』が開幕した。本作は、中島らもが生んだ傑作コメディホラー。初日前には公開ゲネプロが行われ、会見には主演の松島聡(Sexy Zone)、今井朋彦、丸山智己、田畑智子、川島海荷、ROLLY、朝夏まなと、升毅、そして演出のG2が登壇した。

『こどもの一生』は、1990年に「“今”を切り取った作品を」とG2が中島らもに依頼し、1990年、1992年、1998年、2012年と上演し続けてきた作品。中島らもの生誕70周年でもある今年は、初演時にはなかった技術やアイテム、精神環境を取り込み、設定を大幅にアップデートして「令和」の今を浮き彫りにするように、G2がリライトを行い、5度目の上演を迎えた。

物語は、超わがままな製薬会社社長の三友(今井)と秘書の柿沼(松島)が、心のケアが専門の孤島のクリニックを訪れるところから動き出す。共に治療を受けるのは、デジタル庁勤務のエリート藤堂(丸山)、コールセンター勤務の淳子(田端)、現役地下アイドルの亜美(川島)。院長の木崎(升)と看護師長の井手(朝夏)のもと、5人はストレスを取り除くため、10歳の「こども」に返り、共同生活を送ることになるが・・・。

主演の松島は、「こういう時期(コロナ禍)なので、無事に初日を迎えられることは奇跡だなと思っています。なので、この奇跡に感謝しながら、約1ヶ月を過ごしたいと思います。とにかく精一杯がんばりたいと思います」と無事に幕が開くことへの安堵を語った。

松島は、本作が舞台初主演。しかし「座長らしいことは何もできなかったんです」と言い、「むしろ、共演者の皆さんに甘えさせていただいたので・・・なので、これから座長らしいことを一つくらいしたいなと思っています」と語ると、その言葉に全員が顔をほころばせた。

中でも「楽しみだなぁ」とニコニコしていた今井は、「右肩上がりで成長していくので、置いていかれないようにしないとと思っています」コメント。若手の成長を微笑ましく、頼もしく見守っているようだ。

中井はコロナ禍になってから舞台に初めて立つそうで、「当たり前だったことを当たり前にやることがこんなに難しいのかと、ひやひやしながら作ってきました。お客さんの前でできることはこんなにありがたいことなのかと、今まで以上に感じています。この気持ちを伝えられたらと思います」と、しみじみ噛み締めていた。

川島は「ずっと稽古していたいなと思うぐらい、いい雰囲気で本番を迎えられています」と座組の雰囲気の良さを言葉にした。さらに、稽古場では、「あだ名を付け合いました」と明かした田端。田端は「ばたやん」、丸山は「丸ちゃん」、川島は「海ちゃん」、朝夏は「まーちゃん」、そして松島は「そうちゃん」。さらには演出のG2にも「ジーちゃん」というあだ名が付けられたという。

しかし、「あんまり呼んでもらえなかった」とG2がボヤくと、「僕は稽古への合流が遅れたから、いまだに今井さんなんです」とさらなる悲しみを告白。ここで募集したいと言うと、「今ちゃんは?」「今っちは?」とすぐに案が飛び出し。「それで!」と採用されていた。

「ROLLYさんがもうあだ名」というROLLYからは、「35年くらい前、たまたま小学生と仲良く話しているのを見た地元の仲間の間で、ロリコンと言われたのがきっかけで・・・」と、まさかの名前の由来告白も。

そんなROLLY、舞台には謎の兵卒役として登場する。軍人姿を見て「(自分の)おじいさんにそっくりだ」と思ったそうだが、G2からは「中島らもさんに似ていると言っていただいたんです。物語を生み出した人に似ていると言われるのはすごく嬉しいですし、励まされているような気持ちになりました」と喜んだ。

朝夏は、本作が宝塚歌劇団退団後初のストレートプレイ出演となる。「本当に素敵な皆様と初めてのストプレを経験させていただき、稽古場からお芝居をすることが楽しくて仕方なかったです。私の役は、結構毒づく女性なんですが、お客様がどういう反応をされるのか、ワクワクしながらやっています」と、胸を高鳴らせている様子。

そして、2012年版以外はすべてに出演し、様々な配役を経験している升は、最初の頃は「ちょっと外側からみんなのことを見ていた」そうだが、「そうこうしているうちに、稽古が進むと自分の役のことが何もできていないことに気づいて(笑)。そこから必死になってがんばっているが、まだみんなに追いついていない気がするんです」と、座組の成熟を表現。

初演から本作を演出し続けているG2は、今回の上演に「全部リセット」を掲げていたという。「自分としても思い入れがあり、毎回好評をいただいてきた作品だけに、5度目で失敗するわけにはいかなくて。でも、俳優さんもダンサーさんもスタッフさんも、みんな素敵な方が集まってくれたし、リセットは以外と難しいことだけれど、みんな食らいついてくれました。本当に助けてもらいました。いいものになったという実感もあります」と手応えを口にした上で、「(松島だけでなく)全員、右肩上がりで!」とリクエストもしていた。

本作は、もともとは八乙女光(Hey! Say! Jump)が務める予定だったが、突発性難聴の病気療養のため降板し、松島にバトンタッチした。稽古中、八乙女から連絡があり「一緒になって悩んでいこうよ」とメッセージを受け取ったという。「稽古中、楽しく悩んでいたんですが、光くんが『行き詰まるかもしれないけど、G2さんの演出にハマって、いい化学反応が生まれたら良いねって言ってくれて』と、その言葉に助けられたことを明かした。

また、演出のG2にも印象的な言葉を投げかけられたという。「一緒に冒険する相棒になろうよって言ってくださったんです。今、ちゃんと冒険できているか分からないんですけど・・・」と、控えめに打ち明けると、「冒険しまくりだよ!」とG2。松島は、喜びに思わず大きく月ポーズを見せた。

八乙女からバトンを受け取り、舞台初主演に向け気合を入れた松島は、稽古用にスーツを新調(スーツはAOKIのもの)。「稽古場では皆さんラフなので、一人だけスーツ姿なのは恥ずかしかったんですが、僕は“社会人に見える”ことが一番の課題だったんです。舞台上で『松島、ちゃんと社会人になれてるじゃん』って思ってもらえるように」と、稽古初日から最後まで、そのスーツでやり通したという。

また、主演ということで楽屋のれんも制作したそうで、「初舞台でご一緒した桐山照史(ジャニーズWEST)くんにお願いをして、デザインしてもらいました。すごくかわいいので、ブログで皆さんにお見せしようかな」とのこと。

本作は、“大人がこどもに返る”ことが物語を大きく動かす。10歳の役作りについて、松島は「こどもをどう演じるかより、こどもになりすぎないことを意識しました。大人の部分をちゃんと作ってからこどもを演じた方がやりやすいのかなと思って。なので、こどもを演じることよりも、そのバランスを保つ方が難しかったです」と言っていた。酸いも甘いも知り尽くした大人たちがどのように“こども”を演じるのか、注目だ。

最後に、松島は「皆さん、毎回ちょっとずつ芝居が変わっていたりするんですよ。目の圧力とか、声の大きさとか。それによって自分の芝居も変わっていかなきゃいけない。食らいついていくのはすごく大変だけど、それがすごく楽しいです。演劇というエンターテインメントを通して、やり遂げたいいろんな想いがあるので、ぜひ劇場にお越しください!」と挨拶し、会見を締めくくった。

中島らもが本作を産み落とした32年前と、2022年となった今は大きく変わっている。しかし、むしろ戯曲に時代が追いついたようにも感じる。色濃く映しだされた「今」が、コメディホラーとしての強度を上げている。

『こどもの一生』(2022)は、4月3日(日)から4月28日(木)まで東京・東京芸術劇場 プレイハウス、5月6日(金)・5月7日(土)に大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホールにて上演。上演時間は約2時間10分(休憩なし)を予定。

(取材・文・会見写真/エンタステージ編集部 1号、舞台写真/加藤幸広)

 

『こどもの一生』(2022)公演情報

スタッフ・キャスト

【東京公演】2022年4月3日(日)~4月28日(木) 東京芸術劇場 プレイハウス
【大阪公演】5月6日(金)・5月7日(土) COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール
【宮城公演(※中止になりました)】2022年5月18日(水) 東京エレクトロンホール宮城

【作】中島らも
【上演台本・演出】G2
【出演】
松島聡(Sexy Zone)
今井朋彦 丸山智己 田畑智子 川島海荷 ROLLY
田中朝子 仁田晶凱 山口将太朗 山根海音 吉﨑裕哉
朝夏まなと/升毅

【パルコステージHP】https://stage.parco.jp/
【キューブHP】https://www.cubeinc.co.jp/



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