生田斗真主演で『てなもんや三文オペラ』ブレヒトの音楽劇を鄭義信が大胆翻案


2022年6月から8月にかけて、パルコ・プロデュース2022『てなもんや三文オペラ』の上演が決定した。本作では、ベルトルト・ブレヒトの『三文オペラ』を、鄭義信の作・演出するもの。主演は生田斗真が務める。

1928年にブレヒトが生んだ『三文オペラ』は、差別と貧困・資本主義社会を痛烈に風刺した音楽劇の名作。描かれるデタラメでアベコベな世界は、一見矛盾に満ちているが、何より金がモノを言う現代の本質を捉えている。

鄭は、今作では設定を1950年代の大阪とし、原作の舞台・ロンドンの貧民街は、今回は第二次世界大戦で破壊された大阪砲兵工廠(現在の大阪城公園・森ノ宮地域にあった大規模な兵器工場)の跡地に置き換えられる。

鄭と生田は今回が初顔合わせ。生田は、本作の主人公で盗賊団のボス、マック(通称:マック・ザ・ナイフ)を演じる。タイトル『てなもんや三文オペラ』が表すように、登場人物は全員、全編関西弁での演技になる予定だ。この他の出演者などの詳細は、続報を待とう。

パルコ・プロデュース2022『てなもんや三文オペラ』は、6月8日(水)から6月30日(木)まで東京・PARCO劇場にて上演される。その後、宮城、福岡、大阪、新潟、長野を巡演予定。

コメント紹介

◆鄭義信(作・演出)
「三文オペラ」は乱暴に言うと、盗賊と乞食と娼婦の世界の話です。原作をあらためて読み返すと、思った以上に、猥雑で、下ネタも満載・・・それでも、当時、この作品が大受けしたのは、時代のなせる業もあったでしょうが、登場人物たちの「どっこい生きてる」的なたくましさに、観客は大いに拍手したのではないでしょうか。
今回、一九五〇年代の大阪造兵廠を舞台に選んだのは、当時のアパッチ族と呼ばれた人々の生きざまが、「三文オペラ」の登場人物たちとだぶって見えたからです。彼らを舞台にあげることで、どこまで猥雑で、どこまで生きることの活力にあふれた人たちを描けるかどうかはわかりませんが、コロナですっかり活力を失った生活の、ささやかな精力剤になれればと、思っています。
生田斗真さんとのタッグを組むのは、今回、初めてです。もの静かな中にも、燃えるような闘志を感じさせる彼と、ひと癖もふた癖もある共演者たちが、どんな化学反応を起こすのか、今から楽しみにしています。

◆生田斗真(主演)
憧れのPARCO劇場で一カ月お芝居をさせていただけること、大変光栄です。
東京の若者文化のど真ん中・渋谷に面白い芝居を上演している劇場が存在することは、とても大切な事だと思っています。
生田初パルコ。気合十分です。
そして仙台、福岡、大阪、新潟、長野と今回初めて舞台に立つ場所もあり、今からワクワクしています。
台本を拝見したら、戦後の大阪に舞台が置き換えられていて、セリフがすべて関西弁でした。関西弁での演技は、ドラマ・映画も含めて、今回が初挑戦になります。
そして、三文オペラは音楽劇ですので、歌唱シーンもたくさん山登場しますし、沢山稽古して、楽しい舞台になればと思っております。
先日初めてお会いした演出の鄭義信さんは「あれ!?意外とオジサンなんだ!」という第一印象でした(笑)。これまで拝見した作品から伝わる熱量で勝手に“若者”をイメージしていたので、衝撃でした(笑)。
そんな鄭さんも「必ず面白くします!」と仰っていましたし、僕自身も非常に楽しみにしております。
これまでにも多くの方が演じてきた名作「三文オペラ」を、鄭義信さん流にアレンジした『てなもんや三文オペラ』ご期待ください!

あらすじ

1956年(昭和31年)、秋、早朝。猫間川沿いの川岸には、トタン屋根のバラックが肩寄せあっている。
その目と鼻の先、川向うに、「大阪砲兵工廠」跡地が見える。かつて、そこはアジア最大の軍事工場だったが、アメリカ軍の空爆で、廃墟と化した。数年前に勃発した朝鮮戦争の「朝鮮特需」で、鉄の値段がはねあがると、「大阪砲兵工廠」跡地に眠る莫大な屑鉄を狙って、有象無象の人々がつぎつぎと集まってきた。彼らは、いくら危険だろうが、いくら立ち入り禁止の国家財産だろうが、おかまいなし。目の前のお宝を、指をくわえて見ている阿呆はいない。夜な夜な、猫間川を越え、環状線の鉄橋を越え、時に、弁天橋の警備員詰所を正面突破して、屑鉄を掘り起こした。そんな彼らを、世間の人たちは「アパッチ族」と呼び、彼らの住む場所を「アパッチ部落」と呼んだ―――。

「アパッチ族」の親分・マック(通称:マック・ザ・ナイフ)は、屑鉄のみならず、様々なものを盗んで盗賊団を組織していた。マックのことをよく思わない「乞食の友商事」の社長ピーチャムと妻のシーリアは、警視総監タイガー・ブラウンを脅し、なんとかマックを逮捕させようとするが・・・。

パルコ・プロデュース2022『てなもんや三文オペラ』公演情報

上演スケジュール

【東京公演】2022年6月8日(水)~6月30日(木) PARCO劇場
チケット一般発売日:2022年4月23日(土)
【宮城公演】2022年7月4日(月)・7月5日(火) 東京エレクトロンホール宮城
チケット一般発売日:2022年4月30日(土)
【福岡公演】2022年7月9日(土)~7月11日(月) 久留米シティプラザ ザ・グランドホール
チケット一般発売日:2022年5月21日(土)
【大阪公演】2022年7月16日(土)~7月24日(日) 森ノ宮ピロティホール
チケット一般発売日:2022年6月12日(日)
【新潟公演】2022年7月30日(土)・7月31日(日) 新潟テルサ
チケット一般発売日:2022年6月5日(日)
【長野公演】2022年8月6日(土)・8月7日(日) サントミューゼ 上田市交流文化芸術センター
チケット一般発売日:2022年6月5日(日)

スタッフ・キャスト

【作・演出】鄭義信
【原作】ベルトルト・ブレヒト
【音楽】クルト・ヴァイル/久米大作
【主演】生田斗真

【パルコステージ】https://stage.parco.jp/

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