音楽座ミュージカル35年の歩みが生む『JUST CLIMAX(ジャストクライマックス)』稽古場レポート


2022年2月12日(土)・2月13日(日)に東京・草月ホールにて音楽座ミュージカル『JUST CLIMAX(ジャストクライマックス)』が上演される。本作は、音楽座ミュージカルが35年の歩みの中で作り出してきた作品の楽曲をピックアップしながら、新たな物語として創出したもの。その稽古場を取材した。

1987年に旗揚げされた音楽座ミュージカルは、『シャボン玉とんだ宇宙(ソラ)までとんだ』『マドモアゼル・モーツァルト』『リトルプリンス(星の王子さま)』『ホーム』『メトロに乗って』『21C:マドモアゼル モーツァルト』などのオリジナルミュージカルを作り続けてきた。

この『JUST CLIMAX(ジャストクライマックス)』では、それらの作品から楽曲を抽出。コンサートではなく、一人の女性が見つめ続けた様々な“人生”の物語として再構築し、新たな作品として織り上げた。既存のミュージカル楽曲使って、まったく別の作品する――そんなことができるのは、音楽座ミュージカルが一貫して同じテーマに取り組み続けてきたから。

また、本作は令和2年度文化庁子供文化芸術活動支援事業対象公演として、各地の小中学校での公演も行ってきた。今回の草月ホールでの公演は、もともとこの文化庁の公演とはチームを分け、まったく違うセットリストを用意していたそうだが、文化庁公演の仕上がり上々を受けて、良いところを取り入れていくことにしたという。取材日は、そのすり合わせを中心に行われていた。

このような柔軟な作品作りを可能にしているのは、音楽座ミュージカルの創立者・相川レイ子によって確立され、創立時より続けてられている「ワームホールプロジェクト」という独自の創作システム。ワームホールプロジェクトでは、音楽座ミュージカルの代表が中心となって総合演出プランとして骨格を作り、これをカンパニーメンバーたちが関わりながら形にしていく。

この日、試行錯誤が行われていたのは、『メトロに乗って』の楽曲からの流れの部分。もともと用意していた構成から、「文化庁では~」と別チームが作り上げた動きや立ち位置などを照らし合わせ、「こっちの方がいい」「いや、そこは変えない方がいい」と意見を出し合って、一つ一つのシーンを調整。

「場面転換の時に、もっと大きな動きがほしい」という意見が出れば、そのシーンで転換に回れる人数を決め、セットの角度なども細かく直す。このほかにも、「舞台上の人数が多く感じるのでスペースとの比率を考えた方がいいのでは?」「振付が自分たちに合っていないのならば変えた方がいい」など、誰もが主体性と同時に客観性も持ち、意見を出し合う。

最も大胆な話し合いが行われていたのが、「楽曲の追加ができないか」。同じリズムが続くことを打破したいと、ある楽曲を差し込めないか?と言うのだ。確かに、その方が物語の伝えたいことがぐっと浮き上がってくるのかもしれない。しかし、物語の流れも変わるし、尺の問題も出てくる。

それでも「とりあえず聞いてみよう」と、みんなで輪になり音楽を繋いで流してみる。自然と誰かが口ずさみはじめると、次々と歌の輪が広がる。つなぎにメリハリができていい感じだったが、よくよく聞いてみると、希望のある歌詞の楽曲に一気に絶望的なシーンがやってくることに・・・。これには一同爆笑。

楽曲の性質上、途中までというのも難しい。同じ作品の楽曲が続いてしまうのも再構築する意味がない。「なにかいい方法はないかな・・・」とみなで知恵を出し合うも、取材時間には結論が出なかった。果たして、完成形となる本番ではどのような選択がなされているのか、楽しみだ。

音楽座ミュージカルは、変化を恐れない。積極的に、より良い作品になることを追求し続ける。迷い、苦しみ、それでも希望を見いだし、それぞれが生きる“人生”――。本作には、物語を通して音楽座ミュージカルが35年間大切にしてきた精神のすべてが詰め込まれている。同団体の作品は繰り返しブラッシュアップされ、東宝などの外部にも貸し出されて上演されている。

同作も過去に公演が行われているが、2022年の『JUST CLIMAX(ジャストクライマックス)』には、音楽座ミュージカルの“今”を刻むだろう。

上演は、2022年2月12日(土)・2月13日(日)に東京・草月ホールにて。

(取材・文・稽古場撮影/エンタステージ編集部 1号、舞台写真/オフィシャル提供)

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