木村達成「もっと愛を注ぎ込んでいきたい」KARA CROSS 第四弾『スラップスティックス』取材会


2021年12月25日(土)に東京・シアター1010にてKARA CROSS 第四弾『スラップスティックス』が開幕する。本作は、サイレント映画からトーキーへ転換期を迎えるハリウッドが舞台。激動の時代に映画作りに情熱を注ぐ人々を、映画への愛と希望に溢れる一人の青年を通じて描く作品。この取材会に、木村達成と桜井玲香、小西遼生、演出の三浦直之が出席した。

劇作家・演出家ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)により、1993年にナイロン100℃で初演され、2003年にはオダギリジョー主演で再演された本作。今回は、主人公の若き助監督ビリー・ハーロックを木村、ビリーの恋人アリス・ターナーを桜井、そして18年後のビリーを小西が演じる。

木村は、自身の役柄について「このサイレントコメディの時代に映画を愛し、そしてこの時代の環境に振り回されながらも、映画に熱を注ぎ込む助監督役です。ピュアな青年で、でもおっちょこちょいで愛されるキャラクターになっています」と説明。稽古は現在(取材当時)、第2幕の冒頭を作り上げている段階だそうで、「1幕はその時代の背景やサイレントコメディ映画を作る会社の中での和気あいあいとした空気など、映画に熱を注ぎ込んだ人たちを描いているので、僕たちも楽しく演技ができました。ですが、ここからはある事件についてのお芝居を作る過程になっていくので、苦しかったり、時には泣いてしまったりと熱を帯びた芝居になっていくのかなと思います。(それが)楽しみでもあり、不安でもあります」と心境を語った。

一方、桜井は「KERA(ケラリーノ・サンドロヴィッチ)さんの脚本なのでKERAさんの色もありつつ、(演出の)三浦さんらしい演出をつけていただいて、お二人のいいところどりというお芝居になっています。これからどういう作品ができあがっていくのか、楽しみつつもたくさん悩んで作っていけたらと思います」と笑顔。小西は「人生で初めて『中年、中年』と言われて、初めて自分が中年だということを自覚しております」と話して笑わせると、「物語はビリーとアリスが中心となって動いていきますが、その時代に生きた“味”のようなものを舞台上で出していきたいと思います」と意気込んだ。

また、演出の三浦は「この作品はKERAさんが若い頃に書いた作品ですが、当時、どういう気持ちで書いたんだろうと思いながら今、演出しています。作品からは、KERAさんがサイレントコメディを本当に愛しているんだということをすごく感じます。KERAさんが当時、どういう風に(サイレントコメディを)愛しながらこの作品を書いたかを大事にしたいと思っています」とコメント。
 
さらに、演出面では「1920年代を舞台設定にしていますが、KERAさんがこの作品を書いたのが1990年代です。今、この作品を上演するにあたって過去のものに対してどう向き合っていくか。過去と現在をどう繋いでいくか。KERAさんが当時見ていた景色を、現代にどう繋いでいくか。それが(演出する上での)大きなモチベーションです。それから、全体を見ると群像劇だと思いますが、ロマンティック・コメディーと銘打たれているのでその部分も強めて見せたい」と思いを述べた。

今回、木村はビリーの青年期、小西はビリーの中年期と、同じ役を演じ分けることになるが、木村は「ビリーを演じる人も変わりますが、物語上も、時代も世の中の流れが変わっていきます。何もかもが変わりますが、でも、喜劇映画やサイレントコメディが好きだという思いは変わらない。そこが残っていれば(ビリーに違うところがあって)いいという共通認識を持って演じています」と話す。

小西も「僕たちが自分の過去を見返した時にも、今の自分とだいぶ違うと思います。だからビリーも変わっていていい。人はみんな、若さや時間というものによって変化していくんです。それに、映画の中に出てくる個性豊かな役者たちと比べたら、ビリーはすごく普通の人間なので特に癖があるわけではない。なので、(お互いに寄せて演じなければいけないような)特徴はないんです。達成が演じているのを見て実直な部分は落とし込んでいこうと思っていますが、それ以外はすり合わせというものは必要ないと思っています」と同調した。

取材会の最後に、木村は改めて「この作品を見て、お客さまに笑ってもらうことに命をかけて常に前を向いて走ってきた人たちがいることを知っていただきたいと思います。そんな彼らが、映画の転換期を迎えてどうなっていくのか。それぞれのキャラクターがそれを体現していく作品です」と本作を評し、「この作品にもっともっと愛を注ぎ込んでいきたいと思いますのでぜひ劇場にお越しください」と呼びかけた。

KARA CROSS 第四弾『スラップスティックス』は、以下の日程で上演される。

【東京(千住)公演】2021年12月25日(金)・12月26日(土) シアター1010
【大阪公演】2022年1月8日(土)~1月10日 サンケイホールブリーゼ
【福岡公演】 2022年1月14日(金)~1月16日(日) 博多座
【愛知公演】2022年1月28日(金) 日本特殊陶業市民会館ビレッジホール
【東京(日比谷)公演】2022年2月3日(木)~2月17日(木) 日比谷シアタークリエ

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