『終わりよければすべてよし』蜷川幸雄の命日に開幕!藤原竜也、石原さとみ、吉田鋼太郎らが飾るシリーズファイナル


『終わりよければすべてよし』が、2021年5月12日(水)に埼玉・彩の国さいたま芸術劇場にて開幕した。本作は、1998年から続く彩の国シェイクスピア・シリーズ第37弾にして、フィナーレを飾る作品。出演は、藤原竜也、石原さとみ、溝端淳平、正名僕蔵、山谷花純、河内大和、宮本裕子、横田栄司、吉田鋼太郎ら。

1998年のスタート以来、芸術監督・蜷川幸雄のもとシェイクスピア全37戯曲の完全上演を目指してきた彩の国シェイクスピア・シリーズ。新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、第35弾『ヘンリー八世』が終盤4公演、第36弾『ジョン王』全公演が中止となったため、シリーズの上演としては約1年3ヶ月ぶりとなる。奇しくも、シリーズ最終作の初日は蜷川幸雄の命日である5月12日(水)に初日を迎えた。

2016年に2代目彩の国シェイクスピア・シリーズ芸術監督として就任した吉田が、本シリーズを演出するのは『アテネのタイモン』『ヘンリー五世』『ヘンリー八世』に続き4作目。シェイクスピア作品の中でも問題劇と評される本作であるが、バートラムとヘレン、それぞれの成長物語としてフィナーレを飾るにふさわしい大団円に仕上げた。

俳優として数々のシェイクスピア戯曲に向き合ってきた吉田だからこそ、長大なシェイクスピアの台詞であっても、一つひとつの言葉を観客に伝わるよう演者に指導し、最終舞台稽古まで細かい修正を重ねた。個性豊かな登場人物は、現代に生きる私たちにも重なる部分が多く、大きく共感できる作品に仕上がった。

舞台一面に曼珠沙華(彼岸花)を咲かせる幻想的な劇場空間は、まさに“冒頭3分で観客の心を掴む”蜷川演出を彷彿させ、シリーズ最終作への吉田の意気込みを感じる。曼珠沙華の中を縦横無尽に行き来しながら、スピード感ある場面転換で話が展開する演出は秀逸だ。

藤原が演じるのは、自分の意志に従い自由に生きる、血気盛んな若き伯爵バートラム。物語の軸として、ヘレンや王侯貴族たちに慕われ、存在感ある魅力が必要な役どころだ。藤原は蜷川幸雄に鍛えられた感性をいかんなく発揮。吉田からは「最後の作品には竜也がいなくては」と藤原に対する信頼と期待が大きい。

バートラムに恋する美しい孤児ヘレンを演じるのは、シリーズ初参加の石原さとみ。稽古開始当初はシェイクスピア独特の言い回しに戸惑いながらも、演出の吉田はもちろん、藤原ら共演者に積極的に相談し、身分違いの恋に悩みながらも強い意志で道を切り開くヘレン像を見事に造形し見応え十分だ。

そして、溝端、横田、宮本、正名、山谷、河内ら、本シリーズに欠かせない実力派俳優陣が、バートラムとヘレンの異色の恋物語に彩りを添える。彼らは強烈な個性を放ちつつ、時代を超えて愛されるシェイクスピアの人生哲学を我々に訴えかける。

『終わりよければすべてよし』は、5月29日(土)まで埼玉・彩の国さいたま芸術劇場 大ホールにて上演。その後、宮城、大阪、豊橋、鳥栖で公演を行う。上演時間は約2時間40分(1幕:1時間15分/休憩:15分/2幕:1時間10分)を予定。

埼玉公演のチケットは、各公演の開演2時間前までSAFオンラインチケットにて販売中。劇場窓口での当日券の販売はなし。
【SAFオンラインチケット】https://ticket.aserv.jp/saf/

コメント紹介

◆藤原竜也(バートラム役)
23年続いたシェイクスピア・シリーズの最後の作品なので、ばっちり締めたいと思います!
今回演じるバートラム伯爵はかっこよく、演じるほどに面白い役です。
鋼太郎さんたちと台本に向き合い、丁寧に稽古してきたので、千秋楽まで精一杯頑張りたいと思います。

◆石原さとみ(ヘレン役)
もちろん舞台への怖さやプレッシャーはありますが、稽古がとてもとても楽しくて刺激的で学びが本当に多く、幸せな時間でした。舞台に立てる感謝と、そして何よりも足を運んでくださる皆様に心からの感謝を込めて全力でヘレンを演じさせていただきます。心から尊敬する演出家の吉田鋼太郎さんを最後まで信じ抜き、存分に楽しめたらと思います!
私演じるヘレンは藤原竜也さん演じるバートラムから嫌われています。身分の差をわきまえて生きてきた私ですが、知恵や知識や前向きさ、そしてなによりもバートラムが好きだから絶対に手に入れたいという力強さがあります。
藤原竜也さんの女好きなクズ男ぶり、横田栄司さんの化けの皮が剥がれる変化など、魅力的なキャラクターばかりの喜劇作品です。現実を忘れてシェイクスピアの世界を存分に楽しんで頂けたら幸いです。

◆吉田鋼太郎(演出・フランス王役)
コロナ禍の中、感染症対策を万全に行い、無事初日が開きました。これからも気を引き締めて、埼玉公演、地方公演を乗り切っていきたいと思います。
そして初日は、蜷川幸雄前芸術監督の命日です。今回は、彩の国シェイクスピア・シリーズ最終作ということもあり、本当に特別な作品になっていると思います。
藤原竜也さん、石原さとみさんはじめキャストは、渾身の演技で劇場にすごい風を巻き起こしています。最高の舞台になっておりますので、最後まで皆さんにお届けできるよう頑張ります!

あらすじ

舞台はフランス。ルシヨンの若き伯爵バートラムと家臣のパローレスらは、病の床にあるフランス国王に伺候するためパリに向かう。バートラムの母ルシヨン伯爵夫人の庇護を受ける美しい孤児ヘレンはバートラムに想いを寄せているが、身分違いでて打ち明けられない。
ヘレンは優れた医師の父から受け継いだ秘伝の処方箋で瀕死の国王を治療し、見返りに夫を選ぶ権利を与えられる。ヘレンはバートラムを指名するが、バートラムは貧乏医師の娘とは結婚しないと断固拒否、しかし国王に責されしぶしぶ承諾する。やむを得ず結婚したもののヘレンと初夜を共にする気のないバートラムは「自分の身に着けている指輪を手に入れ、自分の子を宿さなくては夫婦にならない」と手紙で宣言し、伊フィレンツェの戦役へ赴く。
ヘレンは巡礼の旅という口実のもと、彼を追ってフィレンツェへ。そこでキャピレット未亡人の家に身を寄せ、当地でバートラムが大きな戦功を上げたこと、そしてバートラムが未亡人の娘ダイアナに求愛していることを知る。ヘレンは真の妻となるためにダイアナとキャピレット未亡人に協力してもらい、ある計画を実行に移す・・・。

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『終わりよければすべてよし』

『終わりよければすべてよし』公演情報

上演スケジュール

【埼玉公演】2021年5月12日(水)~5月29日(土) 彩の国さいたま芸術劇場 大ホー
【宮城公演】2021年6月4日(金)~6月6日(日) 名取市文化会館
【大阪公演】2021年6月10日(木)~6月13日(日) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
【豊橋公演】2021年6月18日(金)~6月20日(日) 穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール
【鳥栖公演】2021年6月26日(土)~6月28日(月) 鳥栖市民文化会館 大ホール

キャスト・スタッフ

【作】W.シェイクスピア
【翻訳】松岡和子
【演出】吉田鋼太郎(彩の国シェイクスピア・シリーズ芸術監督)

【出演】
バートラム:藤原竜也
ヘレン:石原さとみ
デュメイン兄弟:溝端淳平
ラフュー:正名僕蔵
ダイアナ:山谷花純
デュメイン兄弟: 河内大和
ルシヨン伯爵夫人:宮本裕子
パローレス:横田栄司
フランス王:吉田鋼太郎

廣田高志 原慎一郎 佐々木誠
橋本好弘 鈴木彰紀(さいたまネクスト・シアター) 堀源起(さいたまネクスト・シアター)
齋藤慎平 山田美波 坂田周子
沢海陽子

【公式サイト】https://horipro-stage.jp/stage/owayoshi2021/

(撮影:渡部孝弘)



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