古田新太、尾上右近のW主演で『衛生』「汚いミュージカルをやろう」


古田新太、尾上右近のW主演でミュージカル『衛生』~リズム&バキューム~の上演が決定した。本作は、2018年に『あたらしいエクスプロージョン』で岸田國士戯曲賞を受賞し、連続ドラマ『あなたの番です』の全話を執筆した福原充則による新作書き下ろし作品。排泄物を肥料として扱う業者一家の悪行三昧を、ポップかつグロテスク、かつ、あっけらかんと、音楽に乗せて描く異色ミュージカルに仕上げる。

「汚いミュージカルをやろう」そんな構想が膨らんだのは2015年。古田が出演し、福原が脚本を手がけた舞台『いやおうなしに』の上演をきっかけに、本作の企画はスタートしていたという。

福原がミュージカル作品を手掛けるのは、これが初。脚本・演出だけでなく、全ナンバーの作詞も手がける。音楽は水野良樹(いきものがかり)と益田トッシュに決定。透明感のある旋律が、悪行を積み重ねる家族の横暴ぶりといかに重なり合うのか。

主演は、本作の構想にも関わった古田と並び、歌舞伎俳優であり、唄い手として清元栄寿太夫を襲名した尾上右近がW主演として、汲み取り業を契機に、事業を拡大する「諸星衛生」の経営者親子を演じる。

そして、元宝塚歌劇団雪組トップ娘役の咲妃みゆが対照的な二役を、石田明(NON STYLE)、村上航、佐藤真弓、ともさかりえ、六角精児らも名を連ねた。

ミュージカル『衛生』は、7月9日(金)から7月25日(日)まで東京・TBS 赤坂ACTシアター、7月30日(金)から8月1日(日)まで大阪・オリックス劇場、8月9日(月)から8月11日(水)まで福岡・久留米シティプラザにて上演される。

あらすじ

和33年、水洗トイレが普及する前のお話。
し尿の汲み取り業者「諸星衛生」は、社長の良夫(古田新太)、息子の大(尾上右近)を中心に、利益を出すためなら殺人も厭わないという経営方針でのし上がってきた。地元の政治家・長沼ハゼ一(六角精児)をバックにつけ、庶民のわずかな資産を吸い尽くすべく、さらなる経営の拡大を画策している。
一方、諸星衛生のモテない従業員・代田禎吉(石田明)は、恋心を寄せる事務員・花室麻子(咲妃みゆ)を、大に身勝手な理由によって奪われたことでモテない恨みをくすぶらせていた。麻子が、お腹の中に命を宿したまま悲惨な最期を迎えたことで、禎吉のモテない恨みはさらに加速する。
昭和50年 、麻子の残した娘・小子は1 8 歳になっていた。諸星衛生の経営は、良夫から大へと事実上の実権が移り、地元の経済を隅々まで制圧していた。その裏で、かつてのライバル業者だった瀬田好恵(ともさかりえ)が、逆襲の機会を窺って、怪しい組織を率い、その規模を拡大。

そんな中、庶民からの搾取の効率化を進める長沼は、大を起用する一風変わった計画を進めることになる。計画を聞きつけ、水面下で諸星衛生に復讐を誓う者たちが集い始める。好恵、禎吉、そしてまたひとり――。

コメント紹介

◆福原充則(脚本・演出)
古田新太さんと舞台『いやおうなし』でご一緒した際、「世界一汚いミュージカルをやろう」という話になったことがきっかけで『衛生』の実現に至りました。昔気質の悪党たちが跋扈する内容で、人間の欲望を描くとすれば、“排泄”を題材にできないだろうか、と思案して書いたのがこの作品です。この作品には悪人しか出てきません。多少の個人差はあっても、だれもかれもが、悪いやつです。けれども、そんな悪いやつらがどこかヒロイックに見え、圧倒的な悪で突き進みながらも、音楽の力が加わり高揚感に包まれる̶。これまで音楽の要素を含んだ芝居はたくさん作ってきましたが、本作で初めて「ミュージカル」と謳います。わざわざ謳わなくてもいいのですが、出演者は全力で歌います。

◆水野良樹音楽)
本を読み“始めて“「えらい仕事を引き受けてしまった!」と思いました。台本を読み“終えて“「・・・。すごい仕事を引き受けてしまった・・・」と思いました。この作品を通る前と、通った後とで。心のなかにうごめく感情の密度の違い。台本の文字からさえもモクモクと立ち込める、咳き込むくらい濃い、悪と欲望の煙。それらに飲み込まれて、舞台が終わったあと僕らは何に呆れるでしょうか。結局、生きることを肯定するためなら、悪も正義も、違いはないんじゃないか。悪も正義も、汚いものも美しいものも、本音も取り繕いも、すべてが混濁して混ざり込んでいるような、まさしく人間らしい主題曲をつくろうと思っています。

◆益田トッシュ(音楽)
すみません、「悪」に実は凄く興味があるんです。ちゃんと安全な所に帰って来られるのに、毎日悪と共に創造活動が出来るなんてとてもワクワクします。今回のストーリー&キャラクターの中に存在する底なしのエネルギー、ほとばしる感情、ダイナミックなカオス感、それらすべてと自分の作るサウンドがひとつになることの喜び!音楽がみなさまの感情の引き金となり、何かを感じて頂ければ嬉しいです。Rhythm and Vacuumって、これはとんでもないことになりそうですね!

◆古田新太
「糞尿の神様」と崇められる諸星衛生の社長・諸星良夫(もろほし・よしお)役
人間というか、動物なら必ずしてしまう糞尿。
それをお金儲けにしようとする人々。
それを楽しいミュージカルにできないか。
できるかできないかはこれからだ。
できるかな、できないかな。

◆尾上右近
諸星家の長男、純粋培養された悪者・諸星大(もろほし・まさる)役
僕は「歌舞伎界のプリンス」とメディアで紹介して頂く機会が多ございます。実際は黒さや品のなさが内在した一人の人間です。今回のお役を通して自分の中の闇や毒をここぞとばかりに曝け出し、元来の歌舞伎にもある、ダークな内容やタブーにどんどん触れ、観る人の心に突き刺さるよう、本当の歌舞伎役者スピリッツに則ってこのお芝居にチャレンジさせていただきたいと思います!

◆咲妃みゆ
諸星衛生の事務員・花室麻子(はなむろ・あさこ)/大の娘・諸星小子(もろほし・しょうこ)役
開の地に踏み出すような高揚感に包まれています。台本を読ませて頂く中で、個性豊かな登場人物たちの破茶滅茶な思考に私個人としましては共感しづらい瞬間が多々ありましたが、何故か最後には“直向きな人々の勇ましい姿”が印象に残りました。不思議なパワーに満ち溢れた作品だと感じます。演じさせて頂く2役は私にとって相当な新境地ですが、苦戦することすらも楽しむ覚悟で務めさせて頂きます! どうぞ宜しくお願い致します

◆石田彰
諸星衛生の従業員・代田禎吉(しろた・ていきち)役
「衛生」で代田貞吉役をやらせていただくことになりましたNON STYLE石田です。今回、ミュージカルということで僕は怯えていました。正直、歌が得意でないので心底怯えていたんです。ですが、先日台本が届き、僕の心は軽くなりました。「思ってたミュージカルと違う!」正直、1ページ目で笑ってしまいました。ただ笑ってしまうだけでなく、人間の本質の部分がたくさん描かれていて演じるのが楽しみです。

◆ともさかりえ
諸星家のライバルで瀬田肥料社長夫人・瀬田好恵(せた・よしえ)役
とんでもない座組みだなと今からドキドキが止まりません。ミュージカルファンの私は、歌ありの芝居には絶対立ち入ってはいけないと心に固く誓っていたのですが・・・とうとう誓いを破ってしまいました。どうなるのか恐ろしくてたまりませんが、憧れの福原さん、大好きな古田さんをはじめ、すてきな皆様とご一緒できることは素直に楽しみに感じています。『衛生』の一員になれるよう、精一杯つとめさせていただきます。

◆六角精児
平塚出身の政治家・長沼ハゼ一(ながぬま・はぜいち)役
「悪役」という言葉の響きとその存在が大好きな自分にとって今回、舞台上でなんの気兼ねも無しに思う存分、汚れた悪役を表現出来る機会を与えて頂いたことは喜び以外の何物でもありません。華と実力を備えた共演者と経験豊富なスタッフが創る、優しさや癒しなぞ何処吹く風の物語は、必ずや観客を魅了し、生きる勇気と明日への清々しい希望を与えてくれる筈です。「甘口の出し物はちょっとなぁ」と仰る皆様、劇場に御来場あれ。

ミュージカル『衛生』~リズム&バキューム~公演情報

上演スケジュール

【東京公演】2021年7月9日(金)~25日(日) TBS 赤坂ACTシアター
【大阪公演】2021年7月30日(金)~8月1日(日) オリックス劇場
【福岡公演】2021年8月9日(月)~8月11日(水) 久留米シティプラザ

スタッフ・キャスト

【脚本・演出】福原充則
【音楽】水野良樹(いきものがかり)、益田トッシュ

【出演】
古田新太 尾上右近 咲妃みゆ 石田明(NON STYLE)
村上航 佐藤真弓 ともさかりえ 六角精児
稲葉俊一 今國雅彦 尾上菊三呂 甲斐祐次 加瀬澤拓未 久保田武人後東ようこ 高山のえみ 竹口龍茶 新良エツ子 八尋雪綺江見ひかる エリザベス・マリー 落合佑介 かにえゆうき 鏑木信三 高橋伶奈

【公式サイト】https://musical-eisei.com/

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