杉村春子賞の小瀧望「胸がいっぱい」第28回 読売演劇大賞贈賞式レポート<1>


2021年2月25日(木)に帝国ホテルで行われた「第28回読売演劇大賞贈賞式」。本レポートでは「杉村春子賞」を受賞した小瀧望のスピーチを紹介する。小瀧は、昨年10月から11月にかけて上演された『エレファント・マン』での演技を高く評価され今回の受賞に至った。

小瀧は、「ジャニーズWEST」のメンバーとして2014年にデビュー。現在24歳。2015年に舞台『MORSE-モールス-』で初主演を務めた。『エレファント・マン』は約5年ぶり、2度目の舞台主演作。19世紀のロンドンで、見世物小屋に立たされていた異形の青年という難役を、184センチの長身をゆがめ、呼吸するのも苦しそうな体勢を取りながらも知性的な演技で見事に演じきり、俳優としての新境地を見せた。

「杉村春子賞」は、文学座の協力のもと第6回より設けられた賞。新劇の名女優・杉村春子氏の業績を称え、これからの活動が期待される新人に贈られる。前年は『カリギュラ』で菅田将暉が受賞した。

杉村春子賞の小瀧望「胸がいっぱい」第28回読売演劇大賞贈賞式レポート<1>
プレゼンターとして登壇した菅田は、「昨年の受賞は、先の見えない不安もありつつも喜ぶという不思議な感情でした。昨年は、1日しか上演できなかった、稽古をしたけれど上演できなかった、稽古もできなかった・・・という話をたくさん聞きました。想像を絶する大変なことがあったと思いますが、こうして授賞式が開催されることは本当に素晴らしいことだと思います。皆様、おめでとうございます」と一言。

その言葉とトロフィーを菅田から受け取った小瀧は、「(『エレファント・マン』出演の)お話をいただいたのはちょうど1年前で、その時はまさかこのような素晴らしい賞をいただく舞台に立てるとは思っておらずでした」と、胸いっぱいの様子で挨拶した。

5年ぶりの舞台出演に不安と緊張もあったというが、「演出の森新太郎さんをはじめとする皆さんに支えられ、導かれ、走り切ることができたました。この作品との出会いは、僕の人生においてかけがえのない財産です。美しく、儚く、悲しくもあり、それでいて愛に溢れている作品でした。ジョン・メリックという青年を演じられたこと、この作品に出会えたことに、とても感謝しております。『エレファント・マン』がこの先も長く語り継がれ、これからも上演されることを願っています。関わってくださったすべての方々に感謝したいと思います」と語った。

菅田は、杉村春子賞のほか、優秀男優賞も受賞。審査員の一人である中井美穂は、「技巧に走るのではなく真摯に自分の全てでメリックになっていった真っ白さは、舞台俳優として大きな武器。ぜひ多くの舞台に立ってほしいと願っています」と評している。

(写真提供/読売新聞社)

(C) 読売新聞社

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