大地真央、神田沙也加らの誕生日サプライズに涙『ローズのジレンマ』まもなく開幕


“ブロードウェイの喜劇王”ニール・サイモンの晩年の傑作『ローズのジレンマ』が、大地真央主演で2021年2月6日(土)に開幕する。初日前日には公開ゲネプロが行われ、大地のほか、神田沙也加、村井良大、別所哲也が登壇し、公演への思いを語った。

本作は、経済的危機に瀕している大物女流作家のローズが、最愛のパートナーだった作家ウォルシュの亡霊に提案され、助手アーリーンや売れない作家クランシーと共に彼の未完の遺作を仕上げる中で、残された人生と向かい合っていくさまをユーモラスに描いた作品。翻訳・演出は小山ゆうなが手掛けている。

ローズを演じる大地は、「1月4日からお稽古が始まりまして、明日いよいよ初日を迎えることとなりました。ニール・サイモンの晩年の作品ということで、非常に独特なものがあります。私は昨年、(同じくニール・サイモンの)『おかしな二人』をやらせていただきましたが、その作品とは全く違う感じの作品です。皆さまにいろいろな意味で楽しんでいただける作品に仕上がっていると思います」と挨拶。

さらに、コロナ禍での開幕に際し、「こういう時代だからこそ、上演してくれてありがとうというお言葉もいただきました。自粛でなかなかお家から出られないという方も、なるべく自宅にと思っていらっしゃると思いますが、ぜひ劇場にお運びいただいて、私たちと時間を共有していただき、明日への活力源としていただけたら役者冥利に尽きます」と思いを述べた。

ローズの助手であり、一番の理解者であるアーリーン役の神田は「今年初の出演作品ということで感慨深いところもありますし、普通のお芝居と何か違う感じがして、台詞にしてもお話にも考えさせられるところがあります。大地さんとも久しぶりに共演させていただきますが、勉強になることが多かったです」と稽古を振り返った。

作家クランシー役を務める村井は「作品世界の中に飛び込んで、楽しみながら、1ヶ月間後に無事幕が下ろせるように願います。こういう時期ではありますので、なかなか笑い声は出せないかもしれませんが、マスクの下を笑顔にできるようにがんばりたいと思います」と意気込んだ。

ウォルシュ役の別所は「世界中で映画・演劇人が試行錯誤をしている中、ここ東京で一歩一歩前に進めること、作品を上演できることを嬉しく思っています」とコメント。「ニール・サイモン作品は、僕にとっても念願です。2021年が、皆さんにとって、演劇で笑いと感動がもう一度甦る、そして一歩一歩前進できる希望の1年になればと思いますし、劇場でそういう空間を作っていきたいと思います」と語った。

また、初日前日が大地の誕生日だったことから、神田から花束が贈られる一幕も。サプライズだったため、大地は「まさかこの場でこんなお祝いをしてもらえるとは・・・」と喜びの涙を浮かべた。それを見た神田は、もらい泣きしながら「誕生日当日に、毎年おめでとうとお伝えしてきましたが、共演できて、この日にこうして舞台上で一緒にいられることをすごく嬉しく思っています。(大地さんは)女性としても、役者としても、これからもずっと追いかけていたいし、いろいろなことを教わりたい方です。本当に本当におめでとう、大好きです」と大地を祝福した。

最後に、大地は「健康に気をつけて、コロナに負けないよう、そして皆様に夢と希望をお届けできますよう、がんばりたいと思っておりますので、ぜひ劇場に足をお運びください!」と力を込めて呼びかけ、会見を締めくくった。

ステージには、ローズの自宅リビングがセットされており、ここが物語の舞台。あちこちに花束が飾られたセット、そしてローズのおしゃれで華麗な衣裳の数々によって、それだけでも気分が華やぐ。

ウォルシュは、ローズにしか見えない(ローズの頭の中に存在する)ため、ローズとウォルシュが会話していても、アーリーンやクランシーにしてみれば、ローズの独り言にすぎない。その設定が笑いを生んでいく。ローズとウォルシュの台詞のやり取りも絶妙で、大地のコメディアンヌぶりが存分に味わえる作品に仕上がっていた。

また、神田が「一番尊敬している」と公言し、私生活でも交流のある大地との良き関係性が反映しているように見えるローズとアーリーンの会話も見どころの一つ。ポンポンとスピーディに小気味よく進むテンポ感が気持ち良い。

クランシーの不良っぽくてチャランポランな雰囲気を漂わせた役柄も魅力的。村井のイメージにはない意外な役どころを好演している。

『ローズのジレンマ』は、2月6日(土)から2月25日(木)まで東京・シアタークリエにて上演。その後、2月27日(土)から3月1日(月)まで大阪・新歌舞伎座、3月3日(水)に愛知・刈谷市総合文化センター アイリスを巡演する。上演時間は2時間25分(休憩25分含)を予定。

あらすじ

ローズ(大地真央)はかつて著名な作家として名を馳せていたが、5年前に最愛の恋人であり自身も人気作家であったウォルシュ(別所哲也)を亡くして以来、新作を書くことができず、破産の危機に陥っていた。助手のアーリーン(神田沙也加)は、贅沢な生活を顧みずに、負債だけが増えていくローズの経済状況を見かねて、必死にローズに新作を書かせようとするが、ローズは毎晩のように、彼女にしか見えないウォルシュの亡霊と過ごしていた。

ある日ウォルシュは、彼の未完成の小説「メキシカン・スタンドオフ」を若手作家クランシー(村井良大)と組んで仕上げ、印税を稼ぐようローズに提案する。なぜウォルシュがクランシーを推薦したかわからないローズと、売れない作家である自分がなぜ選ばれたかがわからないクランシー。二人の共同作業はうまくいくはずがなかった。

ところが、ローズの預かり知らぬところでクランシーとアーリーンはお互いに惹かれ合っていた。後日、再びローズの家に現れたクランシーは、思わぬ発想でアーリーンを驚かせる。
そして、アーリーンはローズにある告白をする――。

公演情報

『ローズのジレンマ』
【東京公演】2021年2月6日~2月25日日(木) シアタークリエ
【大阪公演】2021年2月27日(土)~3月1日(月) 新歌舞伎座
【愛知公演】3月3日(水) 刈谷市総合文化センター アイリス

【作】ニール・サイモン
【翻訳・演出】小山ゆうな

【出演】
大地真央、神田沙也加、村井良大、別所哲也

(取材・文・撮影/嶋田真己)

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