『フェードル』開幕!大竹しのぶ・林遣都らが演劇で伝える“熱い”という皮膚感覚


2021年1月10日(日)に東京・Bunkamuraシアターコクーンにて、舞台『フェードル』が開幕した。本作は、本作は、フランスの劇作家ジャン・ラシーヌがギリシャ悲劇『ヒッポリュトス』から題材を得て創りあげた、17世紀フランス古典文学の金字塔的作品。栗山民也の演出のもと、大竹しのぶ、林遣都らが美醜入り交じる理性と狂気の物語を体現する。

なお、本作は1月8日(金)に開幕予定だったが、1月7日(木)に東京都などに発令された緊急事態宣言を受け、主催者及び関係者一同で協議した結果、来場者および出演者・関係者の安全を第一に考え、開催計画を再考。

収容率100%で開催予定だったが、販売済みのチケットを全て払い戻し、改めて収容率50%までに設定した上でチケットを再販売。また、20:00までに上演が終了するよう、上演スケジュールを見直した。

日本初演となったのは、2017年。栗山の演出、大竹の主演で上演された。大竹は、本作での圧巻の演技などが評価され、第52回紀伊國屋演劇賞で個人賞を受賞している。今回は、大竹、林のほか瀬戸さおり、谷田歩、酒向芳、西岡未央、岡崎さつき、キムラ緑子が出演。

物語の舞台は、ギリシャ・ペロポンネソス半島の町トレゼーヌ。行方不明となったアテネ王テゼ(谷田)を探すため息子イッポリット(林)は国を出ようとしていた。一方、テゼの妻フェードル(大竹)は病を患っていた。心配した乳母のエノーヌ(キムラ)が原因をききだすと、夫の面影を残しつつ、夫には失われた若さと高潔さに輝くイッポリットへの想いに身を焦がしていると白状する。

そして、苦しみの末にフェードルは義理の息子に自分の恋心を打ち明ける。しかし、イッポリットの心にあるのはテゼに反逆したアテネ王族の娘アリシー(瀬戸)。イッポリットはフェードルの気持ちを拒絶する。そんな中、テゼが突然帰還して・・・。

『フェードル』は、1月10日(日)から1月26日(火)まで東京・Bunkamuraシアターコクーンにて上演ののち、・石川・愛知・兵庫・静岡を巡演予定。上演時間は約2時間(休憩なし)を予定。

なお、東京公演1月20日(水)から1月26日(火)公演分のチケットは、1月14日(木)12:00より一般発売開始。

チケットぴあ:https://enterstage.jp/database/2021/01/75348.html

コメント紹介

◆栗山民也(演出)
とにかく、火傷しそうな芝居です。初日を終えての実感です。
この戯曲のもともとはギリシャ劇に根っこがあるので、神だの怪物だのと現在の科学からは程遠いものに縛られていますが、不可解なわたしたち人間の感情ということで言えば、その遠い昔と何も変わらず、全く同じに惑い、悩み、ぶつかり、愛し合うことを繰り返しているのです。
この120分の物語を埋め尽くす、ジャン・ラシーヌの言葉の熱く激しい温度に身を任せ、その体験を楽しんでください。コロナの荒涼とした時代の中で、この熱いという皮膚感覚は、とても貴重で素敵なものです。人間って、なんて乱暴で繊細で、でも最後まで強く愛してしまう生き物なのでしょう。その世界の、そこにいる人間たちの限りない不条理の美しさを見つめてください。

◆大竹しのぶ
初演の時に毎回感じた大きな濁流にのみこまれるような大胆で、スリリングな2時間。またあの体験ができると思う喜びでいっぱいです。この状況の中での幕開けは、正直に言って不安でもあります。それでも来てくださるお客様の為に一回一回を、一生懸命演じるだけです。うねる様な、湧き上がるエネルギーを同じ空間で共有できたら、それが明日への活力になるのなら、劇場のあるべき意味が伝えられたということになります。劇場は今、絶対に必要なのかと問われれば違うかもしれません。
それでも私たちは幕を開けることを選びました。
万全の対策でお待ちしていますとしか言えませんが、あとは舞台の上で必死に生きるのみです。がんばります。

◆林遣都
無事に幕が上がるか分からない状況の中で、初日を迎えられたことを幸せに感じます。
大竹さんが高めてくださった士気のもと、細心の注意を払いながら稽古を重ねてまいりました。
演劇の力を信じ、情熱に満ち溢れ、純粋にお芝居と向き合い続ける今回の座組の皆さんと過ごした稽古期間は、僕にとってかけがえのないものとなりました。
観に来てくださる方一人一人に感謝し、大切に演じていきたいと思います。

公演情報

『フェードル』
【作】ジャン・ラシーヌ
【翻訳】岩切正一郎
【演出】栗山民也

【出演】
大竹しのぶ、林遣都、瀬戸さおり、谷田歩、酒向芳、西岡未央、岡崎さつき、キムラ緑子

【東京公演】2021年1月10日(日)~1月26日(火) Bunkamuraシアターコクーン
【石川公演】2021年1月30日(土)・1月31日(日) 金沢市文化ホール
【愛知公演】2021年2月6日(土)・2月7日(日) 刈谷市総合文化センター
【兵庫公演】2021年2月11日(木・祝)~2月14日(日) 兵庫県立芸術文化センター
【静岡公演】2021年2月20日(土)・2圧21日(日) 三島市民文化会館

【公式サイト】https://www.phedre.jp

(写真/オフィシャル提供)

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